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深海  作者: 水嶋


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忌々しい人

光太郎はあの人と因縁があるようです。

2年生の時、友達…の様な連中の中の1人、私にピルについて聞いて来た奴が予想通り彼氏に妊娠、中絶をさせられていた。




「香織、大丈夫?」



「うん…やっと最近落ち着いて来た所…」


暫く学校を休んでいたがもうすぐ春休みに入る学期末となっている最近漸く復帰していた。


中2で付き合い出して相手も当時は高校1年、お互いまだ子供だった。


今もまだ中3と子供だが…


相手は高等部の男だった。

家がお金持ちらしく、中絶費用などは勿論だが示談に持ち込まれ金で口封じされたらしい。


その結果、診察でこの先妊娠は難しいと診断されたらしい。


今後2度と接触させないと約束させられていた。

聞こえは良いが結局は都合よく弄ばれて、都合よく捨てられた訳だ。


香織は自殺未遂までしていた。



大っぴらには公言出来ないが、親しくしていた私を含めた数人の仲間内には吐き出していた。



私も相当だったが、この子も相当な経験をさせられていた。


まだ私は身体に一生残る傷で無い分マシな方なのかも知れない…



つい、自分と重ねてしまって尋ねた。


「そいつはどんな奴だったの?」


「今は高等部2年の…御子柴隼人って人…」


「そう」


「その人は…リオナグループの会長の息子で…婚約者もいるけど…香織といる時だけが本当の自分になれるって…その子と別れて香織と一緒になりたいって…信じてたのに…」


「そう…」


自分の事になると見えないが、他人の事になるとよく見える。


本当の自分…欲望のまま避妊もせず、自分より格下の人間を道具か玩具の様に扱っていたのだろう。


反論もしない、自分の好みに健気に合わせてくる香織はさぞ思い通りになる都合の良い玩具だったろう。


まるでかつての私みたいに思えた。

田所も私をこんな風に見えていたんだろう。




「でもね…お母さんが…」


「?」


「なんとかするから…噂で仇を取ってくれる人がいるって聞いたから…」


「へえ。そんな人いるんだ…どんな人?」


「よく分からない…多分聞いても教えてくれないと思う…」


「そうなんだ…」




私はその謎の人物に興味を持った。





○○○○○○○○○○○





「そう言う人が居るって知ってる?」


「さあ?」



私はカフェで光太郎に聞いていた。


相変わらずの対応だ。

まあ、期待はしていなかったが…


特に女の私に対しては塩対応だ。

分かりやすい。

まあ、その方が変に色目を使われるより此方も気楽で良いが。



「香織の相手ってのが御子柴隼人って人らしくて、リオナグループって会社の会長の…」


「御子柴ぁ〜〜!?」


「えっ!?何!?」



光太郎が今まで聞いた事ない大声を出して来た。



「御子柴ってあの梟介の…兄貴の方か!?」


「さ、さあ…誰それ?弟?居るとか何も知らないし。」


「梟介…いっつもいっつも!俺の前に!ハッキングコンテストでも!サイバーコンテストでも!プログラミング大会でも!いつも俺より上に立ちやがって!あー!腹立つ!」


「そ、そうなんだ…」


「あの何て事有りませんが何か?って涼しい顔したドヤ顔!!」


「へえ…」


「お前なんか眼中に有りませんがって俺を見る蔑んだあの目つき!」


「それはそれは…」


「くそっ!思い出しただけでイライラしてきた。ちょっと精神安定剤買って来る!」




そう言って席を離れてシナモンロールとアップルパイとホイップとソースがたっぷりかかったキャラメルマキアートを買ってきてむしゃむしゃ食べ出した。



てか、光太郎ってこんなよく喋るんだ…

私は今は過食嘔吐は落ち着いているが、他人の食べてる姿は見てるだけで胸焼けしてくる。



「分かった。その忌々しい梟介の兄貴に捨てられた女の仇打ちを依頼されてる人物ね」


「そう。」


梟介とやらは多分関係ないと思うけど何かしら因縁つけたい様だ。



「まあ、調べてみるよ。分かったら連絡する。じゃあ、今日の相談料はここの奢りね。」



「はいはい。」





ちゃっかりしてる。まあ、かつての私の過食してた量に比べれば可愛いもんか。


吐き出さずにちゃんと胃袋に収めてるし。



隼人…お前はあちこちに色々と爪痕残して…


隼人と梟介については「幸せを知らなかった少女は深く愛されて愛を知る」「探偵前物語」「イヌネコ幻想曲」等を参照下さい。

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