それぞれの出口
「私がママに、八神先生にレイプされ続けていた事をこの録音を聞かせて訴えました。」
「そしたら、ママは物凄く怒って…八神先生をメールで、話があると家に呼び付けました。」
「私は怖くなってクローゼットに隠れていました。」
「八神先生が家に来て、暫く怒鳴り合いをしていました。」
「こっそりクローゼットから覗いたら八神先生はママを裸にしてレイプしていました。」
「その後、八神先生が家を出て、クローゼットから出たらママが…息をしていなくて…」
「怖くなって失禁してしまいました…」
私は横山から教わった迫真の演技で警察の取り調べに答えた。
録音した音声も渡した。
その後、八神の家を家宅捜査されて、パソコンから少女をレイプしている動画や画像が発見された。
何故か私の画像などは見つからなかった。
指名手配された八神はその後発見され、警察に追われて逮捕される時に隠し持っていた薬物を飲んで自殺した。
八神は容疑者死亡のまま書類送検となった。
犯して来た罪から逃れて死ぬとは最後まで卑怯で、無知な少女しか相手に出来ない様なくだらない男だった。
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「今回は光太郎くんがかなり頑張ってくれたよ。」
「お世話になりました。有難うございました。」
「ども。」
噂の、弟なのに太郎という男と遂に初対面をした。
歳は私の3つ上らしく、高校生だ。
雰囲気は幸次郎と似ているがタトゥーやピアスが無いので随分優しそうに見えた。
てか、兄が見た目怖すぎだ。
「因みに光太郎くんも女だめみたいよ」
どうでも良い情報を田所が追加して来た。
「光太郎くんはね、ハッキングが出来るから八神先生のパソコンやスマホに侵入して、麻里奈ちゃん関連の物を全て削除してくれたんだよ。」
「そうだったんですね…」
て事は私の痴態を見られた訳だが…
まあ、女に興味ないならいっかと諦めた。
諦めるのは得意だ。
「後はね、横山って人に弁護士を装って麻里奈ちゃんの事訴えてみたら面白い程白状したらしいよ。やっぱり八神先生とやってる事が似てる人は同類で臆病者だね。」
「成る程…」
それであの事実が分かった訳か。
「っす。」
しかし本当に必要最低限しか喋らない人だ。
私も人の事は言えないが更に上を行っている。
田所が居ないと会話が成立しない。
「田所さんも、今回は色々有難うございました。」
「まあ、僕も助かったし、お互い様かな。」
「?」
「父親の病院、廃業になったし、八神先生が居なくなってくれたおかげで、無事後釜に収まれたよ。麻里奈ちゃんには感謝だね。」
「成る程…」
最初からそのつもりで私に近づいたのかも知れないな…
中々食えない男だ。
しかし、見習うべき人間なのかも知れない。
ただ言われるままに虐げられるだけで無く、利用して這い上がる…
色々と指針になる人物なのかも知れない。
「麻里奈ちゃんはこれからどうするの?」
「まあ、卒業までは生活面は父親に頼ります。多分父は新しい女に忙しいでしょうが。その後はまだ分かりません。芸能人になるつもりも有りません。」
「成る程ね。やっぱり麻里奈ちゃんは深海魚…リュウグウノツカイみたいだね」
「?」
「海面に上がると軽い水圧に耐えられず浮き袋が膨らんで醜い姿に破裂してしまう感じだね。深海に潜っている時の姿が本来の姿…優雅で禍々しく美しい。」
「それはディスられてるんでしょうか?」
「いやいや、やっぱり僕に似てるんだよね。だから麻里奈ちゃんには僕のノウハウを伝授するよ。あの体験を知ってしまうと後戻り出来ないだろう?」
「そうですか。」
「立派に意志を継いで欲しいな。」
「まるで遺言みたいですね。」
「まあ、いずれ僕も死ぬだろうしね。麻里奈ちゃんよりは確実に先に」
「それは分かりませんが…」
「まあ、年も近い光太郎くんとも仲良くしてね。」
「嫌です。面倒。」
光太郎に先に言われてしまった…
こう言う時は喋るの早いんだな…
その後田所は八神の後釜に収まりあの警察病院の精神科医となった。
そして私は定期的に田所にカウンセリングの名目で会い、レクチャーされた。




