政権交代? 閣外協力? 国民民主党のキャスティングボートとしての立ち位置について
◇石破内閣は取り敢えず続くと思われる
筆者:
本日は当エッセイをご覧いただきありがとうございます。
今回は「閣外協力」と「キャスティングボート」について語っていこうと思います。
質問者:
そもそも自公で絶対安定多数から過半数割れするほど大敗したのに、
政権を継続しようとする精神がよく分かりません……。
筆者:
2007年の参議院選挙で当時の第一次安倍内閣が大敗した際に石破氏は党の総務会で、
「選挙に負けたにも関わらず、続投するのは理屈が通らない」
と発言したそうです。
大ブーメランが返ってきていることを自覚しているのかは知りませんが、
普通ならこれだけの歴史的大敗があれば、「民意が明らか」とも言えるので辞任ですよね。
ただ、岸田前首相もそうですが最近は図太く居座り続けるのが「政治家の新しい形」なのかな? とも思います。
石破氏はもしかすると「自分は選挙区で通った」「比較第一党だからOK」ぐらいまで思っているのかもしれません。
このメンタリティを分析するのであれば、いよいよ内閣不信任でも成立しないと辞任しないのではないでしょうか?
今のまま辞任ですと「短命内閣ランキング」で歴代1位ですから、メンツをかけてでも1日でも長い時間粘るでしょうね。
質問者:
嫌ですねその「政治家の新しい形」やメンツって……。
筆者:
ただ、総裁選を戦った高市氏を支援していた安倍派も選挙で半減したので直ちに「石破降ろし」があるのか? と言ったら不明です。
高市氏は当選後に新党を作ることは否定されていますので、次の参議院選挙までギリギリ踏みとどまる可能性もあります。
◇協力相手として国民民主党が選ばれる理由
質問者:
石破内閣は現時点においては読売新聞などによりますと国民民主党に対して閣外協力を求めています。
対する国民民主党も
「政策実現に全力をあげるので連立はありません」
「政策ごとにいいものには協力するし、駄目なものは駄目と貫いていく」
と玉木代表は発言されているようですけど、
どうして協力を求める相手が日本維新の会じゃなくて国民民主党が一番手に挙がっているんでしょうか?
筆者:
これは公明党の意向が強く反映されています。
これまでの衆議院選挙では大阪の小選挙区において公明党の候補者を立てた地区に日本維新の会は候補者を立てませんでした。
しかし、今回は、日本維新の会は候補者を立て、さらには公明党が全員落選したために、公明党が簡単に言えば日本維新の会に対して「ブチ切れている」という事なのです。
自民と維新のみでは無所属を復党させても234人と233人の過半数ギリギリのラインになります。
不祥事などで抜けたり、無所属が復党するかどうか分からないためにかなり不透明になってしまいます。
また、地方議会との連携関係や公明党の組織票600万票は非常に魅力としてあります。
今回議席を8減らしたとはいえ、公明党の意向と言うのは非常に大きいのです。
質問者:
なるほど、流石に公明党に抜けられたら全国規模で崩壊するので、
まだ関係がマシな国民民主党に限定されているわけですか……。
※ただし、公明党の石井代表は小選挙区で国民民主党に敗れているので必ずしも良い感情は無いはずです。
次に「連立」と「閣外協力」の違いって何ですか?
筆者:
連立は簡単に言えば「その政党から大臣を出す」という事を意味します。
閣外協力はそれに対して、大臣は出さずに是々非々で判断するという事です。
質問者:
そうなると閣外協力ってあんまりメリットなくないですか?
大臣になれるものなら大臣になった方が良いような……。
筆者:
いえ、そうとも言えませんよ。
今、どう見ても石破政権は不人気です。
それでも退陣しない意向を見せており今後さらに支持率は低下するでしょう。
次の参議院選挙の時まで持てばいい方で、必ず短命に終わることは目に見えています。
そんな「ザコ内閣」と「一体として見られる」ということはかなりデメリットと言えるのです。
ここでキャスティングボートとして存在感を発揮し、
国民民主党が今回選挙で掲げていたような「手取りを増やす」政策に関与すれば「政策を実現」ということで次の参議院選挙にも繋がります。
入閣することなく政策に関与できるなんてこんな「美味しいポジション」は無いわけです。
質問者:
なるほど、「泥船」にしか見えない石破政権には乗らないという事ですか……。
政権があまりにも弱いと、大臣になるより閣外協力の方が良いってこともあるんですね……。
筆者:
この流れからすると恐らくは玉木代表自らが総理大臣になる以外の選択肢では入閣することは無いと思います。
そのために「少数自公政権」として石破内閣は続くことが、現時点では有力です。
◇キャスティングボートを握ることの強み
質問者:
国民民主党は立憲民主党と一時は同じ釜の飯を囲んだ仲だと思うのですが、
立憲民主党と組んで連立する可能性は無いのでしょうか?
筆者:
玉木代表の胸中次第ではあるのですが、基本的には無いと思っています。
確かに自民党と連立を組むよりは大臣ポストが増えることは間違いないです。
しかし、影が薄いですが、法案を通すためには参議院を通過する必要があります。
参議院で否決された場合は衆議院で3分の2以上の賛成が無ければ法律が成立しません。もちろんこれは無理なので成立しないと見て良いでしょう。
そのために立憲民主党を中心とする政権と言うのは特別国会で指名されたとしても、
法律が参議院でことごとく弾かれるので、元も考えが違う人たちの集まりでもあるので、一瞬で瓦解するんです。
質問者:
なるほど、政権交代が起こるのは最低でも参議院選挙以降なんですね……。
筆者:
仮にそれより前に立憲民主党を中心とした首相が政権を取るなら、
総理大臣が毎月のように変わるかなり混迷の政治情勢になるでしょうね。
そのトリガーを国民民主党としては引きたくはないでしょうからね。
そんなにもリスクを背負った行動を取るとはちょっと考えにくいです。
ただし、それまで低支持率で頑張っていた岸田政権が突如として終わったり、
石破首相が非合理的な選択を取り続けて選挙で大敗したように、
最近の政治家の方って僕の読みの範疇を超えているんですけどね(笑)。
質問者:
特権階級に長くい続けると感覚がおかしくなっちゃうんでしょかね……。
筆者:
玉木代表はそうで無いと思いたいところですけどね……。
閣外協力で「法律の成否が国民民主党で決まる」となれば、注目度も上がります。
知名度が課題だった国民民主党としたら党勢拡大のためには閣外協力と言うのは最善手に近いと言えます。
「キャスティングボートを握る」ということは双方向から接触があり、共感を大きく得ることができれば、「引き抜き」もできて党勢の拡大にも繋がりますからね。
◇「アメリカ様のご意向」で首相指名選挙に変化も
質問者:
11月11日には特別国会が開かれて、首相指名選挙が行われます。
これまでの話を踏まえますと、基本的には石破さんが首相継続と言う方向なのでしょうか?
筆者:
国内の様相だけを見ると確かにそうなんですけど、
日本に大きく影響を及ぼすアメリカ大統領が11月5日に交代という事を考慮しなければいけません。(ただし正式就任は25年1月上旬)
今現在、現職のバイデン氏は認知能力が怪しく、ハリス氏もトランプ氏も大統領選挙のことで奔走しており日本のことなんて眼中にありませんが、
いよいよ大統領に決まったとなれば話は変わってきます。
そこで「○○君だとやりやすいなぁ」と“圧力“をかけることによって一気に形勢が一変する可能性があります。
現在の自民党が少数与党の状況ならなおさら、「アメリカ様」が影響力を上がっていくでしょう。
質問者:
なるほど、日本国内だけを見てもダメなんですね……。
でも事実上の内政干渉はかなり問題な状況のような気も……。
筆者:
短期的に見れば政権がどう転ぶか分からない・内閣がコロコロ変わるかもしれないという不安定な状況はかなり問題なんですけど、「安定して日本が衰退」するようなこれまでの10年の状況の方が問題だったと考えます。
むしろ国民の声を聞いてくれる可能性が上がったと前向きに捉えるべきであり、
国民民主党などに対して政策提言をしていくことが国民にとって大事な動きかなと思います。
質問者:
憲法改正(緊急事態条項などの権力強化を含む)の可能性も低下しましたし、
国民民主党の働き次第では本当に手取りが増えるかもしれませんからね……。
筆者:
そういったプラス面を今後の日本のためにも期待したいですね。
という事でここまでご覧いただきありがとうございました。
今後も政治状況や経済について個人的な解説をしていきますのでどうぞご覧ください。