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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕〔ガールズラブ要素〕が含まれています。

キミの正体を知った日。

作者: byakuya
掲載日:2024/01/08

「明日、来ると思う?」

私の問いに君は、「来るよ。」とまるで知っているかのように答えた。私は、知っている。明日が、来ることを。君ももちろん知っている。だって、私達には、ある理由で知れるんだからー。

「はぁ。」

暇だ。そして、退屈だ。私ー内川愛は、とってーも!暇で退屈なのだ。

「どうしたのよ、愛。ため息なんかついて。」

声をかけてきたのは、幼馴染で親友である相川優だ。

「だって〜、暇なんだもん〜。大好きな小説が書けないだなんて〜。」

「はい、はい、愛ちゃんは大変ですね〜。」

ムカッ。知らないでしょ。私がどんなに小説好きか!

「そんなこと言ってないで、はやくご飯食べよ!」

私は、強引に話題を変えた。

「う、うん!そうだね。」

パカッ。お弁当の中身は、ご飯、鶏そぼろ、だし巻き卵、タコさんウインナーと種類が豊富だ。

「わ〜。美味しそう!」

優が目をキラキラさせた。

「あ、祐介君だ〜!」

声がした方向を向くと、祐介君こと谷川祐介がいた。祐介は、クラス一の人気者。そして、頭も良くて、運動神経抜群!運動神経抜群で、頭は平凡な私とは、大違いだ。

「よ!愛ちゃん!」

「祐介〜!愛ちゃんと呼ぶのは、やめてって言ってるでしょ!愛でいいから!」

祐介もまた幼馴染。私を愛ちゃんと呼び、私に何かといたずらしてくるやつだ。心底むかつく。

「はいはい、愛ちゃんが怒っていまーす」

「あぁ、もう良い!知らない!」

「あ、ちょっと愛ー!?」

そんな、優の声を無視して、私は教室を飛び出した。


「ちょっと、祐介。流石に、あれは酷いんじゃない?」

私が居なくなったあと、優が祐介を叱っていた。

「そうか?俺は、何とも思わないが?」

「全く、デリカシーがない男ね。なんでモテるのかしら。」

「あんたらだけじゃないのか?そんなに気にするの。」


はぁ。祐介、デリカシー無さすぎ。本当に困る…


そんな気持ちを抱えたまま、放課後を向かえた。

「愛。帰ろ。」

優が、声をかけてきた。

「うん。」

教室を出て、学校を出て、家までの道のりを歩いた。はぁ、いつまで、私はこの道を歩けるのだろう。意外とはやいかもしれない。明日かもしれない。

歩いていたら、あったという間に家へ着いた。

「優。また、明日。」

「うん。また、明日。」

そう、二人で言い合って家へ入っていった。


「ただいま〜」

「あら、おかえりなさい。ご飯出来てるよ。」

この人は、私のお母さん!自慢なんだ!

「はーい」

「ただいま〜、ゆり〜。」

我が家の犬、ゆりにご挨拶。

ペロペロと私の頬を舐めた。

「キャハハハ!やめて」

「愛。手、洗ってきなさい。」

「はーい。」

不服そうな感じで答えてしまった。


「「いっただきまーす!」」

今日の夕飯は、ご飯、味噌汁、肉巻きポテトと私の大好物ばかりだ。

「美味っしい!」

「はは、良かった。」

「ただいま〜。」

「あら、お父さん。おかえりなさい。今日は、はやいのね。」

「愛、真菜。ただいま。」

「おかえりなさい。お父さん。」

「ゆりもただいま〜。」

「ワンッ!」

「そうか、そうか〜、偉いぞ〜。」

「あなた。手を洗って、ご飯食べて。用意するから。」

「おー、分かった。」

はぁ、父親の事、私嫌いなんだよな。酒癖悪いし、お母さんなんでこんな奴と結婚したんだろう?まぁ、興味無いけど…

「お〜!やっぱり真菜の料理は、美味いな〜!」

「あら、嬉しいわ。」

「愛。お酒を持ってきてくれ。」

はぁ?何で、私がやらなくちゃいけないのさ。ここで反論すれば、後でアーダコーダ言われそう。

「はいはい。」

「おい!はいはい、とは何だ!」

うっわ、最悪。こいつ、ホント嫌い。居心地悪っ!

「あなた。もうよして。」

「あぁ、そうだな。真菜、愛してるよ。」

「あら、私だけ?愛のことは?」

「そうだよ。僕が愛しているのは、君だけさ。愛は、知らないよ。」

「ッツ!」

乱暴にドアを開けて、飛び出した。

「ちょ、愛!?」

というお母さんの声を無視して。

「はぁ。」

一生懸命に走って着いた先は、海だった。

「さて、これからどうしよう?いくら夏だからって、夜は寒くなるよね。う〜ん?」

そんな事を考えていた直後、急に睡魔に襲われた。

「ん?」

次に目が覚めたのは、見覚えのない部屋だった。その場所にいるのは、私だけ。とにかく、動こうとしても、中々動けなかった。よく見ると、縄で拘束されている。

ガラリ、と音がした。ドアの音?

ドアの方を見るとサングラスをつけ、全身黒の男の人がいた。

「内川、愛だな?」

その声は、野太い声だった。それに、私の、名前を?

「あ、う、うん。あなた、誰?」

「私は、X。お前は、今からあることになってもらう。」

「X?ていうか、ここは、どこ?あることって何?私は家に帰れるの?」

「それを今から、説明する。」

「ある事とは…、お前は、明日から『世界を知るスパイ』になってもらう。」

「はぁ?世界を、知るスパイ?そっか、これ夢か!良く出来てるわ〜。」

「夢じゃないぞ。ちなみに、世界を知るスパイの事何だが、このパソコンを使ってもらう。」

何で、私が?私、機械音痴だよ?

「じゃ、そういう事だからよろしくな。」

そのままXは、立ち去ろうとした。

「ちょっと、待ちなさいよ。」

「まだ、何か?」

「他にも、いるの?」

「あぁ。」

「そう。」

「じゃ、これからよろしくな。」

そう言って、Xは立ち去った。

その後、私は強烈な睡魔に襲われ意識を手放した。


ぴよヨヨヨ。七時を知らせる目覚ましだ。まだ、眠い…もう少し、寝かせてくれ…。

「愛ー!!起きなさーい!」

ん?お母さん?はぁ。げんなりして、ベットから身を起こす。ん?あれ?自分の、部屋?さっきのは、夢か。ホッと、息をついた。部屋をぐるりと回した時、違和感を覚えた。それは、自分の勉強机にあるパソコンだ。え?私、パソコン持ってない…。じゃあ、これはー!Xが言ってたパソコンの事?私、世界を知るスパイに…。なんか、ショック。

とりあえず、パソコンを開いて見た。すると、ホーム画面に移動した。「パスコードを入力してください。」って、書いてある。パ、パスコードって何?暗証番号の事?うーん。とりあえず、愛をローマ字で打ってみた。すると、「ようこそ!世界を知るパソコンへ!」と出てきた。スペースキーを押してみた。「アルゼンチンのビデオを観て、気付いた事を送れよ。」はぁい?アルゼンチン?って、時間!と思ったら、今日は休日だった。はぁ、危なかった…皆勤賞が失われるところだった。良かった。まぁ、部屋でやるのも落ち着かないから海の浜辺でやろうか。


ザザーン。海の塩っぱい匂いと砂浜のキュッという音がして、あぁ入りたいなという気持ちになる。

あれ?先客がいる。誰だろう?そこには、見ない顔をした人物がいた。

「あの、もしかして世界を知るスパイさん、ですか?」

急に話しかけられたからびっくりした。

「あ、はい。」

「俺も、そうなんです。」

その男の子ー今川真君は、私と同い年で、明日転入するらしい。

「真君は、なんの依頼?」

「俺は、アルゼンチン。」

奇遇にも同じだった。

「あのさ、真君じゃなくて、真でいいよ。」

「ま、真?」

「うん。俺も愛って呼ぶからさ。」

「わ、分かった。真。」

「うん。あ、後俺明日君の学校に転校してくるよ。」

「えっ?」

「じゃーね!」

えぇ?ちょっと、待ってー!?



「ただいま。」

「愛!?何処に行ってたの!?」

お母さんの高い声が響いて耳が痛くなる。

「ごめんなさい。」

「ごめんなさいで済む訳ないでしょ!?」

うぅ、もう嫌だ…。ここは、地獄だ。お母さんは、赤鬼。お父さんは、青鬼。ちょー嫌だ。家出したい…

「あーもう!いい!お母さん達なんて知らないんだから‼」

ダッシュで駆け出して自分の部屋へと行く。


「はいはい、皆さん転校生を紹介します。」

え?転校生?もしかして…

「はじめまして、大堀中学校から来た鳴瀬真です。」

真?そういえば、昨日転校してくるよって言ってたっけ?

「じゃあ、内川愛さんの隣ね、席は。」

「はい。」

「愛。よろしくね。」

「うん。真。」

「えーなになに?二人知り合い?」

優が、不思議そうに言った。

「うん。昨日、海で会って。」

「へぇ~。」

ニヤニヤしながら言う優。

「もう、そんな関係じゃないよ。」

「ふ〜ん。」

それから、真の人気は祐介を上回った。

転校してきて、翌日には女子だけでなく男子も真の席の周りに群がっていた。

「愛。一緒に帰ろう。」

「うん。」

真が誘った。

「おい、愛ちゃん。俺とは?」

祐介がまた邪魔をしてきた。

「おい。お前。愛に何かようか?」

真の普通の声とは違い、低く、野太い声だった。

「え、ぁ、す、すいません。」

流石に祐介も真の気迫に負けたらしい。

「愛。待たせてゴメン。」

「え、あ大丈夫。」

「真。ありがとうね。」

「え?」

「ああいうこと、昔っからあるんだ。」

祐介に嫌味を言われて、ギャン泣きしてごめん、の一つも無かったこと。今思えば、最悪だったな。

「辛かったね。頑張ったね。」

そう言って、真はそっと抱きしめ、その後、ふわりと唇に柔らかいものがあたった。それが、キスだと気が付いたのは数秒後だった。

「ただいま。」

「「おかえりなさい。」」

え?何で、父親の声もするんだ?もしかして、はやく帰ってきた、とか?うわ〜、嫌だな〜。

「お父さん。帰ってたんだ。」

せめて、父親の前では外面を良いようにしないと!

「あぁ、今日、半休貰ってな。」

「そうなんだ!」

「ほら、ほら。手洗って、ご飯にしましょ。」

お母さんが割り込んで、私は洗面台へと向かう。



「ごちそうさま。」

ふぅ。美味しかった。

ピロリン

メールだ。真から?

『話がある。海で待ってる。』

何だろう?


「真。」

「愛。来てくれて、ありがとう。」

「ううん。」

「あの、連絡が来た。みんな宛に。愛は、世界を知るスパイ、クビだって…。」

「何、で?」

「わからない。」

「とにかく、近いうちにパソコンXが取りにいく、かも…」

「そんな…」

ショックだった。もう、私は役目が無い…。

「あと、もう一つ黙っていた。」

「何?」

「俺は…」


真の話から翌日。

何でだろう。真が、Xだったなんて。信じられない。学校、行かなくちゃ。

「行って、来ます。」

「はーい。はい、おべんとう。」

そっか。今日、給食か。そうか。私、食物アレルギーがあることすっかり忘れてた。私は、乳卵アレルギーを持っている。とにかく、行かなくちゃ。

フラフラとした足取りで行く。


「愛?」

流石に優も不思議に思ったらしい。

「愛。」

ビクン。え?ま、真。逃げなくちゃ!

「愛!」

無視しなくちゃ。私は、君の正体をしても私は、私のままでいられない、かも…。


「愛。」

逃げた屋上の先にも真が来た。逃げようとする私に、「待てよ。」と手をギュッと掴んだ。

「何なの!?」

振り切ろうとしても、真の力が強くて抜け出せなかった。

「話、聞けって!」

「話、って何なの!?私に話すことなんてないでしょ!?」

「とにかく、聞けよ!」

っぐ。

「で、何?」

「俺は、Xだ。」

「知ってる。」

「だから、俺がX。あのさ、俺は愛のこと、凄く好きなんだ!」

え?好き?

「だから、俺と付き合って。」

額に汗が滲んでる。それぐらい、必死だって事が十分に伝わった。

「はい!ありがとう。そして、ごめん。」

「ううん。」



こうして、私ー内川愛と真ー鳴瀬真は、今日付き合う事になり、数年後、結婚。その後は、2児の子供を授かることになったのでした。


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