#56 前兆
久しぶりだな
「お邪魔しまっする」
「は?」
ドゴーン!!
「よっ、ヴァーミリオン、久しぶりだな」
「俺の城壊すなって前も言ったよね…」
俺はヴァーミリオンの家に遊びに来ていた。
「それで雄伍、何の用?」
「遊びに来ただけ」
「そんなしょうもない目的のためにわざわざ城破壊すんなよ…」
すいません。
「あ、そうだ、これあげるわ」
俺はそう言って一つの指輪を取り出した。
「ん?これって……まさか!」
ヴァーミリオンは一瞬で気づいたみたいだ。さすがだな。
「アルテミス謹製の指輪だぜ!!この前倒したカオスドラゴンの素材使って作った」
俺が渡した指輪には全属性耐性に加えサイズ自動調節、そして状態異常無効が付与されている。
さらにアルテミスの技術向上に伴いドラゴンの皮を薄く加工できるようになったためなかなか綺麗な仕上がりになっている。
「チートかよ、んなもんもらっていいの?」
「あー、アルテミス大量に作りすぎちゃってさあ。だからもらってくんね?」
「まあいいけど…ドラゴンの俺が装備できるかわかんないよ?」
その点は問題ない。
「そこらへんは大丈夫。サイズ自動調節機能あるし」
「……もう突っ込まないよ」
ヴァーミリオンが呆れ顔で言う。
「まあとりあえず、はい」
俺は指輪をヴァーミリオンの指にはめる。
「ん、ぴったりだ。ありがとね雄伍」
「おう、気にすんな。じゃあ俺帰るわ」
そう言って俺は高速移動で城から去った。
やっぱ進化してから動きやすいわ。
空飛ぶの気持ちぃ!!Fu~~~!!
Side ヴァーミリオン
「そういえばこの指輪ってどうやってつけるんだ?」
ヴァーミリオンは疑問に思った。だ
が、それはすぐに解決することとなる。
「まあいっか。ちょっと外し……」
ポロリと薬指から落ちる。
「え?」
『マスターを特定しました』
すると指輪が変形してヴァーミリオンの指にジャストフィットした。
『登録が完了しました』
「……え?」
もういちいちつっこむのもめんどくさくなってきた。
Side 雄伍
空を飛んで家に帰っていると、若干の異変に気づいた。
空から、黒い柱が出てきている。
なにか良からぬことがありそうだ。
俺は愛刀の黄金薙、碧丸を両手に握る。
魔力を通して戦闘態勢を取ったが、先にヴァーミリオンや仲間たちに連絡するのが先だと思い直す。
俺は警戒しながら、ヴァーミリオンの方へ向かった。
ズゴーン!!
「急遽応援をお願いする」
「……今回ばかりは許すよ、行くぞ」
俺はヴァーミリオンと共に黒い柱へ向かった。
待てよ。
あれってまさか、俺の家の近く…図書館!?
「まずい、ヴァーミリオン、いそぐぞ!!」
「了解」
そして俺は全速力で進みだした。
Side 豆人
何だ、これは。
黒い柱が見えて出てきてみたらこれか。
辺りが燃えている。
全てを焼き焦がす衝撃の黒炎が、建物を大破させていた。
「ぎゃぁぁぁぁ!!」
逃げ惑う人々の悲鳴。
俺は急いで結界を張った。
「…まじか」
黒炎の攻撃力は思ったより高いようだ。
俺とアルテミスで二重に属性を重ねているのにも関わらず、結界が壊れかけている。
俺は銃を構え、黒い柱を狙撃した。
魔力を込めた炎の弾が飛び出す。
そしてそれはまっすぐに、黒い柱を直撃した。
だが、すぐに炎の弾は消える。
この消え方、間違いない。
邪神の力だ。
そして図書館が対象。
ということは間違いない。
奴だ。
第一天使メルル。




