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テーマ詩集:天体望遠鏡

流れ星なんて もう流れるな

作者: 歌川 詩季

 流星群、見たい!

 流れ星なんて もう流れるな

 どれだけ(とな)えたって 叶わないの知ってるから

 流れてくのは あたしの願いのほう

 流れてくのは あたしの涙のほう



 七夕(たなばた)には

 大陸じゅうのパンダを招待しよう

 ササの葉なんて 食べつくせ!


 食後は ひとばんじゅう

 あたしと いちばんハンサムなパンダで

 オセロと 五目ならべと

 ルールのよくわからないチェスをさすのだ



 カラフルな短冊(たんざく)のいらない

 ここは なんてモノクロの世界


 ああ すごくロマンチック

 虹色のクジャクが これは これは ごていねいに

 おみやげのマカロンを

 紙袋にぶらさげて やってきても

 なかまになんて いれてやるものか



 いちばんハンサムなパンダとの

 十番勝負に けりがついたんで

 ひといきついて 星空を見あげてみる


 流れてる星は いないか?

 ぴくりとも流れたら 見逃さないわ


 どの星も じっとしてることを たしかめたあたしは

 満足したんで それじゃあ ふたたび

 いちばんハンサムなパンダとの

 つぎなる(たわむ)れへと 身をひるがえす


 ひらりん



 星どもめ またすぐに見あげてやるから

 気をぬくんじゃないわよ

 これは あたしと パンダたちと 星どもの

 オールナイトでくりひろげる だるまさんがころんだ


 流れ星なんて もう流れるな

 どんなに あなたが流れたとこで 

 ほんとに 流れてくのは あたしの願いのほう

 ほんとに 流れてくのは あたしの涙のほう

 パンダも見たい!

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― 新着の感想 ―
こちらにもパンダさんが! 願いが叶わないから星流れるな、なんて言葉だけ見ると哀しい気がしますが、その痛みと向き合ったりなんやかんや折り合いをつけて日々をサバイバルする強さのようなものを感じました。 星…
[一言] すごく好きです! 冒頭で少し悲しい作品かなと思っていたのですが、その後の主人公の語りが軽快でポジティブで。ラストの言葉が冒頭とはまた違ったように聞こえました。 カラフルと戦うモノクロな私とパ…
[良い点] 最初の一節目 流れていくのは〜 の表現が素敵です [一言] もうハンサムパンダと付き合っちゃいなよ。 いや、妄想だけども。 オールナイトでだるまさんがころんだ…… リミットは、空が明るく…
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