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偽典-英雄邪道-  作者: あしゅけーね
火の勇者
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其の五

すごく眠い

 数日が経ち、私もミトンもある程度は回復した。私は軽めの戦闘であれば問題なく出来るし、ミトンの方も激しい運動は出来ないが魔法使いとしてなら戦える。マオもイルミナ女史もそう言うから間違いないだろう。


「では依頼に行こうか」


「話の流れが見えないのだが」


 いきなり病人の部屋に来るなり何を言い出すのだろうかこの女は。


「いや、お主らずっと横になってたから体鈍っておるだろう?ここいらで一度動かしておくべきだ」


「今は魔獣の相手など出来ないぞ?自分で言っていたことじゃないか」


 あまり詳しくはないが軽い戦闘のみというのでは魔獣相手の戦闘は無理だろう。魔獣の強さにもよるがまあ普通は軽くで済ませられない。


「安心しろ。魔獣の討伐依頼は掃討者出ないと受けられない。他の冒険者でも別の依頼中に魔獣に出会ったら倒してもいいことになっているがな」


 まあ、逃げることが推奨されているが……などと呟いたうえでクスリと笑う。ああ、これ偶然を装って魔獣をぶつけるつもりか。シャーレがいなければ鳥の魔獣で対空訓練を行うとか言っていたし魔獣を操る術があるのだろう。やはり倒しておくべきでは?


「何やら物騒なことを考えてそうだがまあ聞け。依頼と言っても簡単なものだし魔獣の目撃情報もない。我も魔獣と戦わせようとは思ってない。時代も出身も違う勇者が互いのことをよく知る為の機会になればと思っただけだ」


 なんだ意外とまともな理由……


「で、騙されるはずが無いだろう。アリベルのとき魔生を引き寄せたのはお前だしガレウスの時の魔獣もどうせお前が引き寄せたんだろう、マオ」


 アレンの時は……恐らく違うだろう。マオが本当に魔獣を操れるのならわざわざ人を殺す必要がない。


「いや、ガレウスの時は本当に偶然だ。でなければ我があんな醜態晒すわけが無いだろう」


 醜態だという自覚はあったんだ。まあ自分が呼び出した魔獣に捕まってました、だとしたら私なら恥ずかしさで死んでしまいそうだ。


「アリベルのときのことは言い逃れしないと?」


「一発殴られたのだから許してくれ。では後に食堂で」


 そう言って部屋を出て別の部屋へと入っていくマオ。結局依頼を受けることになっている……まあ私としては動くなと言われ不安ではあるものの、魔獣を殺すことが出来るのなら本望ではないだろうか。


 *


「貴女ね、これどこで拾って来たの?本物のミトン・ハンナリアの冒険者証なんて」


「どこでも何も私のよ。私がミトン・ハンナリアなの」


 私たちと違って、ミトンの持つ冒険者証は近年のものだ。そのため、身分を示すに足る能力がある。あってしまう。故にそれは今現在魔王城に封じられていることになっているミトンの冒険者証として認められ、それがこんな小娘が持っているのはおかしいと口論になっていた。


「嘘よ。だってミトン・ハンナリアは魔王討伐時十五でしょ?それから十七年経っているのだから今二十二よ。少なくとも貴女みたいな子供じゃないわ」


「子供扱いしてんじゃないわよ!!!」


 十五はまだギリギリ子供だと思う。


「いくら館長様の客人だからといって拾い物を使って嘘はよくないわよ。ねえ館長」


「……そうだな。だがそれが本物であるからには価値があるのは事実。我が貰い受けよう。ミトンについては冒険者証を取り直せ」


「ミトン?貴女ミトンって言うのね。だから名前が同じミトン・ハンナリアの冒険者証を使って成りすまそうなんて甘いわよ」


 まあ、普通は目の前の人物が本物だなんて思わないか。ここ二月で調べてみたところ魔王城が開かなくなったということを、多くの人間は魔王と勇者が相討ちになったと解釈しているようだからな。


「チッ、しょうがないわね。撮り直してあげるわよ」


 なお試験自体はすぐに終わった。特に難しいこともなく魔法の正確性と速度を見るために的当てを行っただけ。私の模擬戦と比べるべくもない。まあミトンの出した三秒で三回中央に当てるというのは私たちよりも凄まじいことなのだろうが。


「それでは依頼ヘ行ってらっしゃいませ」


 一悶着はあったものの特に大した滞りなく依頼を受けることが出来た。受けた依頼は定期的に出されるという領内の魔獣出現の調査依頼。おのれマオ、魔獣の目撃情報がないのは当然じゃないか。私達が第一発見者になるんだから。まあ今日はミトンの冒険者証の取り直しやらで遅くなったし実際に出発するのは明日になるか。

「まあ当然だよね。十七年前に死んだ有名人の免許を見せられても冒険者組合側としては困るよね。もう一回取り直したよ」

「まーた出発が遅れそうね」

「まあ厄災復活まで数ヶ月あるし」

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