少年
少年は林道を駆ける。
生い茂る草木の中をかき分け意味もなく駆ける。
何も意味はない。
ただ楽しいから駆ける。
子供の体力というものは恐ろしいもので、何時間でも走っていられる。
林道を駆ける。
少年は意味もなく空を見上げる。
空いっぱいに広がる青模様、それを塞ごうとする緑章、ところどころに現れる純白、すべてを映し出す曇りなき黒眼、子供の心は暖かい色で満ち満ちている。
残念ながら享楽の時間は終わったようだ。
鳥が終了の音を上げ始めた。
少年は急いで戻る、周りが黒に染まる時、少年は無の恐怖を覚える。
背後に何かいる。
しかし何もいない。
あの暗闇には何かがいる。
しかしあるのはただの道。
少年は戻る。
焦燥が押し寄せる。
目の前に光が広がる。
一直線に伸びた光である。
やがて轟音をたて光は過ぎる。
気づけば既に目の前はぼんやりとした光しか残っていない。
電灯に明かりがともる。
そこにはもう少年の居場所はない。
周りには巨人しかいない。
皆煌びやかな格好をして街に繰り出す。
その先に何が広がっているのか少年は知らない。
少年は戻る。
先ほどまでの焦燥感はもうない。
ゆっくり歩く。
少年は戻る。




