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1回目。俺は15歳になった!

 これは夢だったのか、現実だったのか。

 もう思い出せない。


 ずっと昔、小学一年?

 いや、もっと前か?

 保育園とかそのあたり。


 俺は近所を一人で散歩するのが好きだった。

 時間が有れば歩き回っていた。

 小さな路地や古い空き家を見つけては、探検と称して入り込んだりしていた。


 考えられないだろ?未就学児が一人でふらふらしてるとか。

 いまだと大問題だよな。

 虐待とか何とかで。


 でも当時は問題にもされなかったし、現実的にはそうせざるを得なかったんだ。


 ――俺の家に俺の居場所はなかったんだから。


 平日はよかった。

 共働きの両親に入れられた保育園にいられたから。

 問題は土日。

 保育園も両親ともに仕事は休みだ。


 俺の家は両親の仲が絶望的に悪かった。

 物心付いた時には怒声が響き渡っていた。

 俺を気にかけてくれるなんて余裕は両親になかった。


 だから俺は1人で”散歩”に出てたわけだ。


 ある夏の日曜日。


 尿意で目を覚ました俺は、寝室の壁にかけてある時計を見上げた。

 短い針が7のところにある。

 隣の母親はまだ眠り込んでいる。

 いつものことだ。土日の仕事が休みの日は昼近くにならないとおきてこない。

 母親を起こさないように物音を立てないようにしてトイレに行き、そのまま寝室には戻らずリビングへ移動した。

 母親が用意していた食パンにジャムを塗り牛乳で腹に流し込む。

 パジャマを着替えながら俺はワクワクしていた。


「きょうはどこにいってみようかな」


 土日のルーティーン。

 ぶら散歩だ。


 俺はまだ清浄な朝の空気が残った町にどこに向うともなく歩き出した。

 静かな世界だった。


 平日だと商店が動き始めるが、今日は日曜日。

 部活に向う高校生くらいしかすれ違う人はいない。

 時々近所の年寄りが俺を見止めるが、あえて関わろうとはしないようだった。

 DV家庭の子など、厄介でしかないもんな。


 俺は気にもせず、”天王社”という近所の神社に足を運んだ。

 ここは無人の神社で裏手に鎮守の森がある。

 街中にありながらカブトムシやクワガタの捕れる熱いスポットだ。

 小学生までの男子に絶大な人気を誇る場所である。


「かぶと、くわがた」


 俺は歌いながら境内に入った。

 陽は昇っていたがまだ朝早い。


 鎮守の森には大きなクヌギの木が沢山ある。

 きっとどこかにいるはずだ。

 俺は森の入口付近にある木をじっくり(といっても背が低いのでお察し)見て回っていた。


 その時だ。


 女の子が声をかけてきた。

 赤い不思議な服を着た女の子だった。

 背は俺よりは高かったが、まだ小学生低学年とかその程度だったように思う。


「カブトムシとかクワガタが欲しいんなら、今日は無理だよ。この時間にはもういないよ。もっと早くこないとダメ」

「ええぇ。そっかぁ」


 俺は涙目になった。

 悲しかった。

 楽しみにしていたのに、保育園の子にこれはつらいよな。


 どんどん涙はたまっていく。

 でも俺は泣かなかった。

 いや正確には泣けなかった。

 当時の俺は泣くと父親にぶたれていたから。

 我慢する癖がついていたんだ。


 女の子は困った顔をして優しく俺の頭を撫でた。


「泣かないのえらいね」

「えらくないもん。……なくとパパがぶつから。なかないの」

「……」


 女の子は黙り込んだ。

 幼児から虐待の告白とか戸惑うよな。

 しばらくして、女の子は言った。


「君が十五歳まで頑張ることができたら、一つだけお願いを叶えてあげるよ」

「ほんとぉ?」

「うん。つらいことも、痛いことも、悲しいこともいっぱいあるかもしれない。死んじゃいたいって思うこともあるかもしれない。でも、十五歳まで頑張ったら君のお願い絶対に一つ叶えてあげる」

「わぁい。ぼくがんばるね! おねがいってひとつだけ?」

「そう一つだけ。欲張っちゃだめ」

「わかった!!」


 女の子は微笑んだ。


 これは俺の古い記憶。

 女の子が誰だったか、それから一度も見ることはなかった。

 何度も神社を覗きにきたけど、探し出すことは出来なかった。


 なぜこんなことを思い出したかって?


 今日俺は十五歳になったんだ。

こんばんは。

ゆえろんです。


ライトで楽しい物語を書きたいなっと思い書き始めました。


ブクマ・評価・感想どんとこいですw

むしろよろしくお願いします!!!

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