温泉町で新たな出会い
「ああぁ、誰か助けてください。」
セシルと啓介が旅館に戻る途中路地裏から女の悲鳴が聞こえてきた。
女の子の悲鳴を聞いた二人は急いで悲鳴が聞こえた場所に向かった。そこには剣を腰にぶら下げた侍の格好をしている狼獣人族4人が女の子一人を囲んでいた。その様子はナンパとかじゃなく誰も見ない暗い路地裏で性犯罪でも犯す気でもいるような雰囲気だった。元警察であり以上に正義感が強い啓介がそんな状況を見過ごす訳がない。特に今の啓介はその正義感が異常だった。悪人に母を殺されたのにも関わらず自分自身まで殺され転生して一目惚れした命の恩人すら失いそうだったからだ。
「そこまでだ」
何の躊躇もなく警察の制服を着ていた啓介が狼獣人族侍たちに警告した。啓介が馬鹿で何の躊躇いもなく彼らに警告したわけじゃない。今の自分の力だと彼らより圧倒的に強いという確信があったからだ。その確信は彼らの鞘から一切の誇りも見えないまれで大事に保管しといた宝石のようだったからだ。いくら頭が悪くなった啓介でもそれに気づけるくらい鞘が綺麗だった。こんな暗闇でそんな観察ができたのは啓介のバンパイアの目のおかげだった。バンパイアの目はコウモリと同じ夜でもじゃんと見えるからだ。
狼獣人族侍達は女の子から啓介とセシルへと視線を変更して刀を抜いた。その光景は啓介が死ぬ前路地裏でいじめられっ子を助けたときと同じ状況だった。違うんだとしたら相手が逃げないことと被害者が女の子というところだ。そして彼らは啓介の後ろにいたセシルにいやらしい視線を送った。さっきまで犯そうとした女の子に送っていた視線のごとく、セシルもその視線に気づき気持ち悪かったのか嫌な顔をした。啓介は自分の大事な仲間であり、今では妹のように思っているセシルにそんな視線を送る奴らにイラっと来た。
「邪魔してんじゃねぇよ、ぶっ殺されたいのか?」
「あいつの後ろの女結構可愛いぜ」
「そうだな、おいお前、君の連れ置いて帰れば命だけは取らないであげよう」
「お前らがゴミで本当に良かったわ、試したいのがあったんだ」
啓介は自分の右手の人差し指を噛んだ。人差し指から血が一滴一滴と流れ出た。そして啓介は一刺し指から出る血を右手の親指で4回弾け喋ってる狼獣人族た4人の口の中に自分の血を入れた。その命中率は凄腕のスナイパーのようだった。そしてサングラスを掛けていた啓介がバンパイアとも知らず彼らは自分の口に入った啓介の血を飲んだ。そして啓介は今まで一度も使ったことのないスキルである催眠を発動した。
「催眠発動」
催眠は自分の血を飲んだ相手が自分の目を見た瞬間発動できる。ここまでだとチートのようなスキルだが自分とのステータスの差や自分の血を飲んだ量により催眠の効力に差が生じる。つまり啓介より遥かに強い相手だと啓介が出血死で死ぬくらいの血を飲まない限り催眠はかからない。逆にいうと啓介より遥かに弱い相手だと一滴の血でも飲めば催眠がかかるとのことだ。
「家に戻り自分の刀で自分のちんちんを切断して死なないように治療して今夜起きたことは全部忘れろ。」
「はい、分かりました。」
啓介の命令を聞いた3人の狼獣人族達は家に帰った。彼らは啓介の一滴の血で催眠にかかるほど啓介より遥かに弱かったのだ。綺麗な鞘をみてまともに戦ったことのない連中だという啓介の推測が正しかったとのことだ。啓介は最初あいつらに死ねと命令しようとしたのだが殺人犯になりエリ達と一緒にいられたくなるのが嫌でそれでもあいつらの性欲により女性の被害者を出したくなかった。それで啓介は性犯罪者達がいや男達が一番大切にしてるものであるちんちんの切断を命じたのだ。啓介は自分が命じたのを彼らが家に帰って実行するのを想像したら同じ男してこれからの人生可哀想だとも思い自業自得だとも思った。
彼らにいやらしい目で見られたセシルは微笑みながら啓介によくやったぜ見たいな視線を送った。満足したそうな笑みを浮かべているセシルを見て啓介は女に男の痛みなど理解できないだろうなと思いながらも親指を立てグッジョブポーズを取った。
自分を囲んでいた狼獣人族達がどこかに走っていくのを確認して女の子は危険が無いと判断し路地裏の隅っこから啓介に近づいてきた。
近づいてくる彼女を見て啓介は自分の目を少し疑った。彼女がjkの制服であるセーラー服を着ていたからだ。そしてもう一つの理由は彼女の背中にある翼だった。その翼は魔王の翼とよく似ていたが魔王よりは小っちゃかった。そんな彼女の翼を見て悪魔なのかそうでないのかを考えながら彼女の尻尾を見て悪魔じゃないと確信した。彼女の尻尾の端っこがハートの模様をしているのを見て啓介は彼女が悪魔じゃなくサキュバスだと確信した。アダルトショップの店主であるサキュバスと同じ尻尾をしていたからだ。
アダルトショップの店主のサキュバスと似たのはピック色である髪色だった。啓介は彼女を見てそれがサキュバスの地毛の色だなと確信に変わった。
そして啓介は彼女の体や服を観察して脱がされた痕跡も暴行を受けた傷跡も無かったので安心した。
警察であった時から犯罪がおき被害者が被害を受けてからだと犯罪者を捕まっても何の意味もないと考えていたからだ。そんな考えをすることになったのは啓介自身の母親が殺され、その犯人が捕まっても母が死んだことも自分の心の痛みもなくなることがなかったからだ。
しかし啓介のそんな目線を横で見ていたセシルはサキュバスをいやらしい目で見ていると誤解した。それもそのはず彼女のおっぱいは男ならだれでも誘惑できそうな武器のようにデカくって綺麗な形をしていたからだ。おっぱいが見えるわけではないがセーラー服の上から見てもそれが分かるくらいの美しくって大きいおっぱいだった。セシルとは違い正面から啓介の目を見ていたサキュバスの女の子は自分を心配してくれてる目だと分かった。
「助けていただきありがとうございます。」
彼女は犯されそうになった自分を助けてくれた啓介に頭を下げお礼を言う。
「あなたはやっと見つけた。やっと見つけた。」
下げた頭を上げた彼女は啓介を見て泣きながら抱き着いた。まるでずっと探していた恋人に会えたように。
彼女の柔らかくって大きいなおっぱいが自分に当てられて喜びづつも彼女が怖い思いをしたんだろと慰めるために彼女のピンク色の頭をなでなでしてあげた。
啓介のなでなでにより少し落ち着いた彼女は涙を拭いて啓介の全身を観察した。啓介の目とは違い普通の亜人は人間と同じ暗闇の路地裏ではしっかりと見えないのだ。
「やはり日本のお巡りさんですよね?」
「そうだけど、その制服、君も日本から転生した子なのかい?」
「はい」
彼女は一週間ほど前冒険者の町に転生してこの町に来たという。レベルも低い彼女がどうやってこの町までたどり着いたのか気になった啓介だが彼女がじゃんと説明してくれた。彼女は日本と似たこの町なら自分と同じ転生した日本人に会えると思い空を飛んできたとのことだ。そしてこの町にたどり着いた彼女はセーラー服の姿でいろんな人にこの服を知っているか尋ねたとのことだ。自分が着ているセーラー服を知っていれば日本から転生した人に間違いないからだ。そんな時さっきの奴らに絡まれ路地裏に連れられ犯されそうになったという。
啓介達は暗い路地裏で自己紹介や事情を聞くのもなんだから彼女を連れて旅館に戻った。深夜にも関わらず女将さんが旅館の入り口に座っていたのでサキュバスの宿代を啓介が払ってあげた。この旅館は一日泊まれる費用はかなり高かったのだが魔王幹部であるサムギョプサルを討伐して手に入れた報酬によりお金持ちになった啓介にとっては安い格だった。自分を悪党どもから助けてくれたあげく宿代まで出してくれる啓介に少し申し訳なさそうにしていた。
「ごめんなさい、痴漢から助けてくれたあげく旅館代まで払ってくださるなんて」
「気にするな、町の住人を助けるのが警察の仕事だからな」
「でも、」
「それでも気が済まないんだったら今日俺が君を助けたように君もいつか困ってる人がいたら助けてやれ
それでチャラにしてあげるから」
「はい、ありがとうございます。」
サキュバスは自分を助けてくれた啓介の今の言葉により心がドキッとした。彼女が一瞬で啓介に惚れるのも無理はない。痴漢から助けてくれたイケメン警察、そのあげく旅館代まで払ってくれて優しい言葉まで掛けてあげた。まだ一度も男経験がない女子高生にとってはまるで白馬の王子様にでもあった気分だろう。
そんなサキュバスの女の子の気持ちなどまるで気が付かずに啓介は部屋に向かうがセシルはサキュバスの気持ちに気付いてこれからどうなるんだろうと思いながらため息を吐いた。
3人の中で一番早く部屋に着いた啓介が光の水晶を作動させ部屋を照らした。しかし部屋にはエリがどこにもいなかった。こんな夜中に部屋からエリがいなくなり心配になった啓介は探しに行こうとするがセシルに止められちゃった。
「エリどこ行っちゃったんだ?」
「だからエリに嫌われるんだよ」
「何がだよ」
「女性がトイレに行ってる時は気づかないふりをしてあげるべきだよ」
「そうか、トイレ行ったのか、余計な心配しちゃった。」
「本当デリカシーの欠片もないんだから」
部屋にいないエリを心配していた啓介だがセシルからエリはトイレに行ってるはずだと言われ心配し過ぎた自分が恥ずかしくなった。エリが誰なのかもまだ分からない里奈はただ何事かと思いながら二人を見つめていた。
二人はエリが戻ってきてから里奈の事情を聞こうと待っていたが10分くらい待っても戻ってこないエリだった。エリがトイレに行ったと啓介を罵ったセシルすら戻ってこないエリが心配になった。啓介とセシルは里奈を連れてエリを探しに行こうと部屋から出た。そして最初に向かったのは女子トイレだった。セシルが女子トイレに入りエリを探してみるがいなかった。もしかして温泉に入ってるんじゃないかと思い女湯に探しに行くことにする。まだエリの顔が分からない里奈と男である啓介は女湯の前で残ることにしてセシルが一人で入った。着替え室と露天風呂のあっちこっち探してみるセシルしかしエリはどこにもいなかった。
女湯から出てきたセシルからエリが女湯にもいないと聞いた啓介は心配になり始めた。
「どこにいったんだ?もしかして俺達が出かけてる間いなくなった俺達を探しに行ったんじゃ?」
「それもあるよね、旅館の中は全部探したし、外に探しに行こうか?」
「いや、まだ男湯は確認してない。」
「あんた馬鹿、男湯にエリが入ってる訳ないでしょ?」
「念のため俺が確認してくる。もしいなかったら外へ探しに行こう」
啓介はまだ確認してない男湯にエリを探しに行こうとする。もしかしてエリが寝ぼけて男に入った可能性もあると判断したからだ。そしてもしエリが男湯にいたとしたらエリの裸を見ることもできるからだ。
「あんた何考えてるの、変態、もしかしてエリが男湯に入ってると思ってるわけじゃないでしょ」
「俺はただ、念のため確認するだけだ。」
もし男湯にエリがいたらと想像してた啓介が微笑んでるのを見て啓介の意図を気づいたセシルが啓介をゴミでも見るような視線を送る。啓介は男湯にエリがいることを願いながら着替え室に入った。着替え室に入り自分の前を疑う啓介、目の前には着替え中の下着姿のエリがいたからだ。
こんな夜中に自分以外誰が入って来たんだろと思い振り向くエリは啓介と目があった。啓介と目があったエリは顔が赤くなり左腕でブラをつけている胸を隠し、右手でパンツを履いてる大事なところを隠す。
「あんた、何で女湯に入ってくるのよ?」
「それはこっちのセリフだ。ここ男湯だぞ」
「あんた馬鹿なのここの旅館深夜になると男湯と女湯変わるんだよ。」
「マジで」
「さっさと出ていけ、水の形態変化」
エリは自分の体をじろじろ見ながら話してる啓介に水魔法を使い啓介のぶっ放した。エリの水魔法をもろに食らった啓介は更衣室からセシルたちがいる廊下までぶっ飛び壁にぶつかった。そしてレベル20のエルフの魔力が強すぎて中々立ち上がれない啓介だった。廊下までエリの叫びが聞こえてきてセシルは何が起きたのか大体予想がついた。
「啓介さん、大丈夫ですか?」
里奈は女湯の更衣室からぶっ飛んできた啓介を心配した。隣にいたセシルは溜息を吐きながらこの二人(エリと啓介)は本当にうまくいかないんだなと思った。
着替えを終えたエリが廊下に出てきた。そして倒れている啓介とその横にいるセシルと知らない女の子を見かけた。
「こいつ女湯に入って覗いたんだよ」
「そこ男湯だよ」
「セシルもか、ここ深夜になると男湯と女湯が変わるんだよ。ここに書いてあるでしょ」
エリの指がさしてる男湯と女湯の間には深夜の時間男湯と女湯の変更と書いてあった。
「ごめん私が付いていながら」
「セシルは悪くないわ、この変態が悪いのよ、それより隣の女の子は?」
「話が長くなると思うから事情は部屋で話すよ。」
「うん、部屋に戻ろう。」
「啓介は」
「あんなやつ、自業自得よ」
「でも啓介は部屋にいなくなったエリをすごく心配して探してたんだよ。」
「そ、へ、そうなんだ。」
啓介に自分の下着姿を覗かれ怒ったエリは啓介をほといてセシルと里奈を連れて部屋に戻ろとするが、セシルから自分を心配して探したという啓介の話を聞いてちょっと悪かったと思い啓介を連れていくことにする。立ち上がれない啓介の右足をエリが左足をセシルが引っ張って部屋に戻った。まるでゴミでも引っ張ってるように。里奈はそんな3人を笑いながら楽しそうに見ていた。
「お前ら俺の扱いひどすぎだろ」
「覗き魔は黙ってろ」
自分の扱いに対して文句をいう啓介だがエリの怖い目線に黙らせられた。
里奈が部屋の扉を開けセシルとエリが啓介を部屋に引っ張って入れた。
部屋にやっと4人全員が集まり話を進めることにした。最初はお互いの自己紹介であり次は一人づつ事情を話すことした。セシルもさっき啓介に言った自分の正直な過去と兄を探してる理由をエリと里奈に説明した。次はエリと啓介、最後が里奈だった。
ダンジョンがなくなってからこの世界に来た里奈はまだ何も知らず魔法手帳すら持ってないとのことだ。
つまり自分が使える魔法や能力、そしてこの世界に関する知識すら全く分からないとのことだ。
そんな彼女のためこの世界に詳しいエリとエリよりも三か月くらい早く転生して種族の差別を受けなかったため自由に暮らしていたセシルが説明してあげた。まだ転生して二か月くらいしか経ってない啓介の出る幕はなかった。
里奈はこの世界の知識や魔王に関する話などを聞いてエリ達に自分もパティ―に入れてくれと頼んだ。
断る理由もなくむしろ一人でも戦力を増やしたかったエリだが危険だとも思い魔王との戦う理由や覚悟がなかったらパティ―には入れないことにした。
「里奈ちゃん、魔王軍と戦うのは危ないわ、何の理由も覚悟もなしで戦わない方がいいわ」
「理由ならあります。私も啓介さんのように誰かを助ける人になりたいです。だから魔王軍からこの世界を守りたいです。」
自分の質問に対して里奈の口から思わぬ理由を聞いたエリだったがパティーに入れてあげることにした。
そして話に出てきた啓介を見るが里奈の話を聞いて頭をぐしゃぐしゃ触りながら照れていた。
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「ここがこの町の市役所か」
1日が過ぎ啓介達は里奈の魔法手帳を貰うことと、エリが討伐したスカンキの魔石を金と交換する為市役所に来た。この町の市役所は日本の江戸時代風の町らしく大きな寺のようだった。
啓介達は扉に向かうが扉にポスターが貼ってあった。そのポスターの内容は今日のよる花火大会をやるとのことだ。市役所まで来るとき何故か浴衣姿の人や露店などが多いなと思った啓介達だがやっと納得した。
花火大会のポスターを見て盛り上がる女子達、啓介は保護者のように後ろで彼女達を見つめながら微笑んでいた。
最初会った時寂しいそうにしていた彼女達が花火大会を楽しみにしながら盛り上がり楽しくしてる姿を見て分かり合える友達が出来てよかったなと思った。
啓介達は寺のような市役所へ入り先ずは里奈の魔法手帳を作ることにする。世話好きのエリが里奈を連れて身分登録所の窓口に向かう。もちろんセシルもついて行くが自分までついていかなくってもいいと思った啓介は窓口の正面にある椅子に座り休んでいた。
里奈は係員から魔法手帳を貰い魔法手帳の自分の魔力を注入した。そして魔法手帳には魔法により注いだ魔力の持ち主である里奈の情報が書かれた。
名前:高崎里奈
レベル:1
年齢:16
身長:158
種族:サキュバス
天職:クルセイダー
固有スキル:精気吸収:男性の体に接触して魔力を吸収ー回復
クルセイダーの恩恵:耐久力上昇
スキル:♥属性魔法の形態変化&性質変化 誘惑:相手を一時的に誘惑して自分に惚れるようにする(レベルが高い相手には一時的しか効力を持たない。)
冒険者手続きをするため彼女の魔法手帳をもう一度受け取る係員は驚いた。
彼女のサキュバスだと思えないくらいステータスが高かったからだ。その驚きさに見ていた啓介も何ごとかと思いエリ達がいる窓口に歩いてきた。そして彼女のステータスを見るが最初のレベル1の時と比べてステータスは劣っていた。もちろんエリよりの最初のステータスよりも劣っていた。しかしそれは啓介とエリが特別なレアな種族だからなのであって普通の種族と比べたら以上に高い数値だという。
エリと啓介はもちろん本人である里奈すらステータスの高い理由が分からなかった。
そんな3人を見てセシルが神から何も聞いてないのか啓介達に聞く。
「皆神様から聞いてないの?」
「何を?」
「死ぬ前に特別に良いことをした経歴を残して死んだ人はこの世界に転生したときに高いステータスを持って転生するんだよ。」
「マジで、俺達の担当の髪はクズで何の説明もなかったからな」
セシルは自分の担当の神様からこの世界に転生するまえに色んなことを教えてもらったという。
人間が生きてる間悪事を繰り返すと神達が決めたマイナスの数値が上がりその人が死んでから転生したとき悪い状況に陥るとのことだ。逆に言えば善意のあることを重ねればその分高いステータスを貰い転生するとのことだ。特に人助けなど大きなことを成し遂げればはるかに高い能力値を貰い転生ができるらしい。
啓介は今まで自分がバンパイア種族だからこそステータスが高いと思っていた。女神から何も聞いてないからだ。もちろんエリもだ。啓介のステータスは最初から平均のバンパイアのステータスを遥かに超えていた。だからレベル7にも関わらず10階層のボスであるサムギョプサルをいとも簡単に討伐できたのだ。レベル7である普通のバンパイアでもダンジョンの中にいた10階層のボスサムギョプサルは倒せたはずだが現在ダンジョンから出てきたサムギョプサルには勝てなかったはずだ。サムギョプサルを含め魔物達は高い知力を持ち何故か全ステータスが大幅に上昇したからだ。
しかし啓介と違いエリは他のエルフと似たようなステータスを持っている。エルフ自体が何回転生しても清らかな心を保った人にしかなれないため普通にステータスが高いためだ。エルフの存在が希少すぎて比べらる相手がいないためエリもセシルの言葉を聞いて自分も普通のエルフよりステータスが高いと勘違いする。
里奈が魔法手帳を受け取り後はエリのスカンキの魔石を金1000万バリスとの交換だけが残った。
エリは身分登録所の窓口から左に3メートルくらい離れてある魔石交換窓口に向かった。
もちろん全員ついて行った。啓介も市役所ではボス魔物の魔石を金に交換したことがなかったため気になりついて行った。
そこの係員は目が細いキツネ獣人族の若いおねいさんだった。エリは魔法手帳からスカンキの魔石を取りだし彼女に差し出した。
「あのすいません、魔石交換お願いします。」
「はい、ここれは」
エリが差し出したスカンキの魔石をみて係員は細い目が丸くなるほど驚いた。
そして魔石とエリへの視線を行ったり来たりしながら何回も細い目を丸くしながら見つめた。
「あのスカンキを倒すなんてすごいですね。」
「いえいえそんな、」
係員の言葉によるとそのスカンキ自体は弱くって直接的な被害はなかったが町と町の間におなら爆弾の設置により運送業などが難しかったという。それで国からも報酬を500万バリスを上乗せしてくれたという。
つまりスカンキの魔石の今の値段は1500万バリスとのことだ。
係員はエリに1500万バリスを差し出しながら頭を下げてお礼を言う。1500万バリスを魔法手帳に入れるエリ。
用事を全部済ませた啓介達は市役所から出て露店が集まってるところに向かった。
そこはもう今夜の花火大会に向けて賑やかに商売をしていた。
啓介とエリそして里奈は日本人だったので珍しくなかったがイギリス人であるセシルは何もかも初体験だったので興味津々で子供のような純粋な目をしていた。そんなセシルが金魚救いの露店に興味を示した。
「私あれやってみたい。」
「金魚救いか、やってみよう。」
セシルがやりたいというのでエリが彼女にやり方を教える。そして露店主からポイをもらい手に取るセシル。セシルは水槽の中にいる金魚モンスターを救おうとするが中々難しいようだ。
まるで白猫が自分の餌である魚に遊ばれているような光景だ。そんな彼女を見て可愛いと思い自分が手本を見せてあげようとする啓介。
「セシル、よく見とけ」
「うん、」
啓介は店主にお金を払いポイを受け取る。そして金魚をすくおうとするがポイが破れるばかり一匹も救えなかった。啓介も意地があり何回も何回も店主から新しいポイを貰うが一匹も掴めやしない。
後ろで見てたエリがそんな啓介を見て溜息を吐く。
「セシル、啓介の手本はマネしない方がいいよ。」
「私もそう思った。」
「私がやるのよく見てて、おじさんポイください。」
エリは店主からポイを受け取り目つきが変わる。そして金魚をすくうため水槽にポイを入れる。
そしてポイ一つで何匹の金魚を救いだし始めた。それを見た啓介達はエリの凄さに驚いているが店主は嫌な顔をした。ほかのところに行ってくれと。
しかし露店主はもっとやってくださいとの表情に変わった。救った金魚を全部水槽にまた逃してあげた。
冒険中だから飼うことなど出来ないからだ。エリの凄さを目の当たりにしたセシルはもう一度挑戦するが駄目だった。
「エリ、すごいね、」
「昔は苦手だったんだけどね、何かできる気がしてやってみたらうまくいっただけだよ。」
金魚すくいを終えまた違う遊びを探す啓介達、そこで啓介の目に入ったのは射撃だった。
啓介は自慢の射撃で金魚すくいでの失態を取り返そうと考えたのだ。啓介は警官だったとき百発百中のカウボーイとまで言われた男だったからだ。
射撃の商品がぬいぐるみだったので女の子達も興味を示していた。啓介は今度こそエリにかっこいいところを見せて商品であるぬいぐるみをプレゼントし少しでもエリの気を引きたかった。
店主から銃を受け取り集中してぬいぐるみを狙い撃つ啓介だが全く当たらない。何でと思いながら女神から聞いた地球にいたときと能力が真逆になるとのことを思い出す。
射撃も全然ダメだったので気を落とす啓介、そんな啓介に気がある里奈が慰めてあげた。
「啓介さん、元気だしてください。」
「ありがとう。」
「デン、デン、デン」
啓介達が露店で楽しんでる時町の鐘が鳴り始めた。町に魔物が入ってきたようだ。
落ち込んでいた啓介と遊んでいたエリ達も町の住人が悲鳴を上げてる町の入り口に向かった。
そこには蛙たちが人を舐めたり食ったり吐いたりしていた。蛙たちの一番真ん中には5メートルくらいのでかい蛙がいた。どうみても蛙達のボスだろ。
啓介は町の住人を襲ってるザコ蛙たちを切り倒しながら血を集めた。集めた血を空中に浮かばせてボスの近くまで走っていく。空中に浮かばせた血の塊は啓介の動きに合わせてついてくる。
後ろにはエリ達が援護をしながらついてきた。そして町の入り口がある程度見えるところまで来たのだが蛙達の行動を見て啓介は羨ましいと思うがエリ達女子は気持ち悪かったようだ。
蛙は男達を長い舌で攻撃して倒した後、倒れた男を舌で巻き自分の口の中に戻して食っていた。逆に女の子には浴衣の帯を舌で解いて浴衣を脱がし女の子の体を舐めていた。舌の使い方が上手いやら脱がした女の子を舌で巻き口の中に入れ下着まで脱がした。そして脱がしたての温かい下着を全部飲み込み裸になった女の子を舐めまわした。舐めまわした女の子をガムのように吐く。蛙の口から女の子は蛙の唾液でヌルヌルになっていた。そんな光景を男達が興奮してみているとその隙を狙い男達を攻撃した。
蛙達が女の子達を脱がし舐めまわす姿をみながら啓介は興奮してみていたがエリ達は性犯罪者でも見たように怒り出した。エリは蛙達に風の魔法を使い攻撃してセシルは電撃魔法を撃ち放ち蛙達を攻撃した。
エリ達によりザコ蛙達が次々と倒れていくさまを見てボス蛙が前に出てきた。その蛙は魔王幹部でありダンジョンの30階層のボスナマクというらしい。ナマクは自分の前に現れたエリ達を見て喜んでいた。
「お前たち可愛いね、私のお嫁さんにして舐めまわしてあげるよ。」
「「「キモイ」」」
自分達のセクハラをするナマクにエリ達は気持ち悪すぎて表情が腐って行った。
後ろで見てる啓介は何で魔物達は理性が生まれてから変態何だろと思っていた。
ナマクは自分の長い舌をエリ達の方に伸ばした。エリは風を形態変化させ空を飛び逃げセシルは電撃能力を自分の足に効かせ素早い動きで逃げた。戦いに慣れてない里奈もきもかったのかナマクが攻撃する寸前空を飛びかわした。
ナマクによりエリ達の裸を見たかった啓介だったがエリ達がナマクに舐められるのだけは嫌で集めた血を全部自分の剣に巻いてナマクに突進した。自分の方に突進してくる啓介に舌を伸ばして攻撃する。啓介は剣でナマクの舌を切ろうと剣を振る。しかしナマクの舌は固すぎて切れずにナマクが反撃する。ナマクの舌の攻撃の衝撃によりぶっ飛ぶ啓介だった。
「ああ、あの蛙の舌なんて固さだ」
「ははは、俺は自由自在に体の体質を変化できる。舌は舐める時は柔らかく、殴るときは固く」
ナマクは体を固くも柔らかくも自由自在に形態変化できるようだ。
動きを封じるためにエリがナマクの足を凍らせるために近づくが魔法を使う隙を与えず攻撃するナマク。ナマクに電撃を放つセシルだがナマクを自分の体をゴムのような体質に変化させまったく攻撃が効かなかった。ナマクは都合により体の体質を変化して戦っていた。
自分の攻撃をずっとかわし続けるエリ達にイライラするナマクはエリ達に口から唾を吐いた。猛スピードで飛んでくる唾に反応できずエリが撃たれる。唾がねばねばし過ぎて自由に動けないエリ、ナマクがエリを舐めようと舌を伸ばすが電撃の魔法で雷のような速さでエリを抱いて逃げるセシル、しかしエリについていたねばねばする唾がついてセシルも動きが鈍くなって立ち止まる。
「計画通り、やっと舐められる」
ナマクは計画通り自分の唾によりエリ達が動きが封じられて喜んだ。
「形態変化:柔らかく」
そしてエリとセシルに自分の舌を柔らかくして伸ばす。その瞬間空に飛んでいた里奈がエリ達を助けるため一度も使ったことのない魔法を使う。
「誘惑形態変化:ナマクから私に」
ナマクはエリとセシルへの攻撃を止め里奈へと攻撃を切り替え舌を伸ばす。それを狙ったように啓介が素早く突進してナマクの腹を刺した。里奈に誘惑されたナマクは里奈を舐めるため体の性質を柔らかくしていたため啓介の剣が簡単に貫通した。啓介の貫通した剣はナマクの心臓でもある魔石を撃つ。
「うううああ、もっと沢山の女の子を舐めたかったぜ」
今の啓介の攻撃によりナマクは消滅した。啓介がナマクを倒したのは里奈のおかげだった。里奈がエリ達から自分への誘惑魔法を使わなかったら啓介が攻撃してもまた体を固くして防御をしたからだ。
自分の攻撃が全く通じないのを思い知った啓介は市役所で見せてくれた里奈の魔法使われるのを待っていたのだ。
「里奈ちゃん、ありがとう、君のおかげで倒すことができたよ」
「いいえ、皆の力が一つになったららです。」
ナマクの討伐完了
啓介 レベル25 知力アップ
固有スキル:吸血、夜目、夜力、溢れる血
魔法属性:血
スキル:血の形態変化&性質変化、催眠
エリ レベル24
天職:ウィザード
固有スキル:古代文字解読、魔法属性:自然(古代魔法)
スキル:自然の形態変化&性質変化、浄化
セシル
天職:アークウィザード
レベル20
魔法属性:電気
固有スキル:電気を魔力に変換、電撃耐性
スキル:形態変化&性質変化、電体
里奈
レベル:15
種族:サキュバス
天職:クルセイダー
固有スキル:精気吸収、クルセイダーの恩恵
スキル:♥属性魔法の形態変化&性質変化 誘惑
今回のナマクとの戦いでは啓介と里奈の活躍が大きかったため二人の経験値上昇が大きかった。
逆にエリとセシルはあまり経験値を得られなかった。だとしても30階層のボスだったのである程度の高い経験値を貰った。