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啓介の涙

食料を買い終え啓介達は召喚術者が運営する貸出召喚獣ショップへ行った。そこはお客の目的に合わせ召喚獣を貸してあげる店だった。目的を達成した召喚獣は勝手に消えて店の主人である召喚術者の元にもどるため後始末も便利なのだ。啓介達がこの店に来た理由はこの町から東方向には魔物達の出現率が高くなるため馬車が運行しない、そこで移動手段を目的とした召喚獣を借りに来たのだ。啓介達は移動手段として馬魔を2頭を借りて馬車も買った。啓介はかっこよく馬魔の上に乗りたかったのだがエリとセシルは馬車に乗って気楽に行きたいとのことで多数決でまけ馬車を買ったのだ。


旅立ちの全ての準備を終え啓介達は町を出て東方向に向かった。啓介達の今日の目的場所は温泉の町とも呼ばれるアタカという名の町だった。今の場所からアカタ町までの所要時間は5時間だった。隣の町まで行くのに5時間も所要するほどこのアルミニア王国は広いのだ。昔アルミニア王国は神達が作ってくれたダンジョンを利用して沢山の衛兵を訓練させた。そしてダンジョンで強くなった衛兵達を戦争に送り勝ち続け領地を広げていたのだ。魔王が簡単にこの国を手に入れられないのもそれが理由だ。


啓介が馬車を引いてエリとセシルは馬車の中でゆっくりと休んでいた。

エリに命令され仕方なく啓介は馬車を引くことになったのだ。一日一回血を吸わせてくれる条件として今日の命令は馬車を引くことだった。その時の光景はツンツンしていた猫が餌を持っている飼い主に愛嬌を振りまくのと同じだった。

セシルは啓介とエリに出会いやっと自分の兄がいるオケストラ町へ行くことになりとても嬉しそうだった。


「セシル、お兄さんってどんな人?」

「子供の頃からシャーロックホームズのファンで剣術とバイオリンに夢中な人でした。それで大人になってはバイオリニストになりましたね」


エリとセシルはお茶を飲みながら親睦を深めていた。乗りたかった馬に乗れず馬車を引いてる啓介は死んだ魚の目をしながらつまらなさそうにしていた。


「啓介もう少し頑張って、アカタ町にたどり着いたら温泉でゆっくりできるから」

「温泉?」

「知らなかったの、アカタ町は温泉で有名な町だよ。」


エリは一人でつまんなさそうに馬車を引いてる啓介に話を掛けてあげた。地球で車を運転してる運転手が眠くならないように助手席の人が話を掛けてあげるみたいに、

しかし啓介は違う理由でいきなり目が覚めやる気に満ち溢れた。アカタ町がどんな町なのか知らなかった啓介はエリからアカタ町が温泉で有名だという話を聞いて混浴を想像したからだ。

死んだ魚の目をしていた啓介が温泉という話を聞いていきなりやる気に満ちた姿をみてセシルは怪しいと思った。


「啓介さん、まさか覗くきじゃないですよね。」

「馬鹿、俺がそんな人に見えるのか?俺は正真正銘真面目な男だぜ」

「昨日のこともあり変態にしか見えませんよ。」


話をしながらアカタ町に向かっていた啓介達の前に馬魔と共に冒険者達が20人ほど倒れていた。

彼らが倒れている理由を確認するため啓介達は馬車から降りて彼らのところに行った。

見たところまだ息があり彼らから匂う酷い悪臭からどう見ても毒ガスにやられて倒れている様子だった。

エリは新しく習得した浄化魔法を使い彼らの体から毒を消してあげていたが悪臭により死にそうな顔をしていた。エリの浄化魔法で匂を消すことは出来ないようだった。


「助けてもらいありがとうございます。あなたはプリーストですか?」

「まぁそんなとこです。それよりなにがあったんですか?」


浄化された冒険者の一人がエリにプリーストなのかを尋ねた。エリの浄化魔法は高レベルのプリーストしか使えないようなスキルだからだ。正体を隠す為エリは適当に誤魔化した。

彼の言葉によると馬車に乗り前に進んでいたがいきなり見えない何かにぶつかって、その見えない何かが爆発しそこから出た毒ガスに麻痺され倒れたとのことだ。啓介達は彼から事情だけ聞いて4メートルくらい離れた。彼ら全員から死ぬほど臭い匂がしたからだ。


「君、すごいね、僕の毒を消すなんて、でも意味ないよ、そいつら馬鹿だからまた僕の毒ガスにやられちゃうもの。」


気配もなくいきなり姿を現した魔物が冒険者達を愚弄した。その魔物は軍服を着たデカいスカンクだった。

可愛い見た目とは違い相当うざそうだった。セシルの言葉によると20階層のボスであるスカンキらしい。

しかしその見た目からみて啓介が倒した10階層のボスであるサムギョプサルよりも弱そうだった。

スカンキを見て一千万バリスが自分の足で転がって来たと思い啓介は剣を抜きスカンキに突進した。


スカンキの方に突進していった啓介は見えない何かに触れた。「パン」その瞬間見えない何かが爆発してひどい悪臭の毒ガスを周りの空気中に散らかした。毒ガスに直面して全部吸っちゃった啓介は悪臭でブサイクな顔をしながら毒に麻痺され体が重くなり倒れた。


「お前も馬鹿だったな、お前の頭は飾りだな、死にたくなかったら帰りな、頭を飾りとして飾ってるようなお前らみたいな馬鹿は僕みたいな天才には勝てないぞひっひひっひ」


スカンキが啓介を揶揄っている隙を狙いエリはスカンキに草原のことも頭に入れ炎魔法以外の遠距離魔法で攻撃したが素早い動きで全部避けるのであった。それでサムギョプサルの時のように氷の魔法で足を凍らせ動きを封じようとしてもスキルの範囲外だったため効力が弱かったのかスカンキは簡単に氷をぶち壊した。氷魔法の範囲内に入れば多分おなら爆弾があると思い下手に前に進むことも出来なかった。

しかしスカンキとの距離を稼いだため浄化魔法で啓介の毒を消した。啓介が無事に立ち上がるのを確認してエリは啓介から遠ざかった。啓介からさっき毒ガスにやられた冒険者達と同じひどい悪臭が体に染みついていたからだ。自分から遠ざかるエリを見て心臓に針でも刺されたように心に傷を負う啓介だった。

そしてその原因であるスカンキが死ぬほど許せなかった。


「このスカンクめぇ、殺してやる、お前だけは絶対殺す。」

「まだ分かんないのかしらこれだから馬鹿は、ここではお前は僕に指一本触れられないの、何故だと思う、分かんないよね、じゃ分かりやすく説明してあげるね。

この広い草原には僕のおなら爆弾が設置されてるの、もちろんおならだから目には見えないよ。

それとお前何かはおなら爆弾が無くっても勝てそうだから一つ教えてあげよう

今俺の前にはおなら爆弾がない、だからかかってきな」


「言い残したことはそれだけか?じゃ今から殺してやろう」


透明なおなら爆弾が少しは見えるかと思い啓介はサングラスを外しポケットに入れた。そのあとスカンキの方に突進した。しかしスカンキの言う通りおなら爆弾は存在しなかった。

それでチャンスだと思った啓介はスカンキを殺すためどんどん近づいた。啓介に怯えたのかスカンキは逃げた。


「捕まって見ろよ」


スカンキは自分のお尻を叩きながら啓介を愚弄した。啓介はそんなスカンキを必死に追っていたがまた見えない何かつまりスカンキが設置したおなら爆弾に触れちゃった。サングラスを外しても何の意味もなかったのだ。おなら爆弾の毒ガスにより啓介はまたたおれてしまう。

啓介が戦う姿を見た冒険者達はこの先に進むことは無理だと判断した。しかしエリは彼らとは違いスカンキを簡単に倒せると確信した。殺気に満ちた今の啓介を回復させたらまた馬鹿の一つ覚えのように突進すると思ったエリは啓介の回復を後にしてスカンキのところに行った。


「君は何者だい、回復スキルをみてプリストだと思ったらウィザードのスキルも使ったりして、でも全部無意味さ、分かったんならパンツ見せて、許してあげるから」

「死にたいようね」

「君はもうちょっと賢そうに見えたのだが馬鹿女だったか、残念、賢かったら私の嫁にしてあげようと思ったのに」

「言い残したことはそれだけかしら」


エリは全身に浄化魔法をかけた。そして氷の魔法の範囲内に入る為スカンキの方に突進した。

突進してくるエリが自分の前にあるおなら爆弾に触れるのを見るためスカンキは逃げずに立っていた。

スカンキの期待通りエリがおなら爆弾にふれておなら爆弾が「パン」と爆発した。その衝撃でエリが被っていた帽子が後ろに飛んで行った。しかしエリは何ともなくスカンキの動きを封じる氷魔法の範囲内に入った。


「その耳、君はエルフだったのか、だから僕のおなら爆弾が聞かなかったのか」

「そうよ、死ぬ準備はできたのかしら」

「待って、じゃ何で最初から私を殺さなかった。」

「いくら毒が効かなくっても君のおなら爆弾の匂が体に染みついちゃうのが嫌だったの、だから啓介が倒してくれるのを待ってたのに2回も君に倒されたから、仕方なく私が君を倒すことにしたの、じゃさよなら」



「形態変化」エリはスカンキの周りにいた酸素でスカンキの体を足から上半身までジョジョに凍らせた。そして空気を形態変化と性質変化させ凄い風圧を持った風を凍ったスカンキに飛ばした。

凍ったスカンキの体は氷とともににバラバラになり魔石だけを残してガラスが粉々になるように消滅した。

エリはスカンキの魔石を自分の魔法手帳に入れた。


20階層ボス スカンキ討伐完了ースカンキの魔石獲得:1千万バリス

エリ:スカンキ退治による全ての経験値独占ーエリレベル20達成

啓介とセシル、周りの冒険者達:得た経験値ZERO



エリ レベル20

天職:ウィザード

固有スキル:古代文字解読、魔法属性:自然(古代魔法) 

スキル:自然の形態変化&性質変化、浄化、

スリープヒール:相手を眠らせ治療と共に癒しを与える(衰弱した相手にしか通じない、自分自身にも使えない。)


スカンキを倒したエリは毒により苦しみながら倒れている啓介に余り残ってない魔力で浄化魔法を使った。

啓介の体から毒が消え真っ青になって死にかけた啓介は少しずつ回復していった。啓介とは逆に魔力を使い切ったエリは意識を取り戻している啓介の隣でゆっくりと倒れた。


「エリぃ」


意識を取り戻したどたん自分の横で倒れるエリを見て啓介は頭が真っ白になった。

地面に膝をついた状態で倒れているエリの顔を見ながら「エリ、エリ、エリ、エェリ、、」とエリの名前を呼ぶ啓介だった。

彼の目から静かに透明な雫が流れ出した。流れ出した啓介の透明な雫はエリの顔に一滴一滴と落ちた。

幾ら名前を呼んでも目を開けないエリを見て啓介は何もかも終わったと思った。


「いやあああああああああああ」


広い草原は啓介の大きな叫びで震えた。啓介はその瞬間エリを殺した魔王軍への殺意が芽生えた。

「殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺してやる」と言いながら啓介の目はどんどん邪悪で怖くなっていった。その邪悪な目は勇者を殺す時の魔王の目と似ていた。

倒れているエリの体の上に啓介以外の二人の人間の影が映った。その影の主はセシルとエリの浄化魔法によって助かった冒険者達の一人であった。セシルが倒れるエリを見て速急で隣にいた冒険者達の中でプリーストを連れて来たのだ。プリーストはエリの体の状態を知る為ボディスキャンという魔法を使った。ボディスキャンと言う魔法は名の通り相手の体に異常などを分かる為のプリーストの医学魔法だった。言わば病院で使ってるレントゲンのようなものだ。ボディスキャンを終えたプリーストはエリからエリの顔を見て絶望している啓介の方に視線を変えた。


「魔力を使い切り疲れて寝てますね」


頭が真っ白になり自分だけの世界に落ちていた啓介にプリーストの今の一言は一条の光芒のようだった。

プリーストの一言により元の精神状態を取り戻した啓介は「はい?」とプリーストにもう一度のエリの状態に関する答えを求める。


「魔力を使い切り疲れて寝てますよ。」


啓介は自分が求めていた返答がプリーストの口から出て体から力が全部抜けていった。邪悪に染まっていった啓介の目安らぎを取り戻しもう一度一滴の涙が流れ落ちていった。セシルは啓介の目から流れ出た最悪の絶望と最高の喜びを込めた一滴の涙を見て涙が出た。啓介の一滴の涙は自分の心の全てを語ったのかセシルにも伝わったのだ。


啓介は涙を拭いて寝ているエリをお姫様抱っこして馬車に戻り寝かせた。今の啓介を見て何て声を掛ければいいのか分かんなかったセシルは馬車に上がりエリの頭を自分の膝に乗せ静かに看病した。


啓介はアカタ町に向かうため馬車を引き始めた。そしてゆっくりと心が安静して平常心を完全に取り戻した今更さっきの自分の行動がセシルに全部見られたと認知し死にたいほど恥ずかしくなった。


「セシルちゃん」

「はぁい」

「えっとねぇ」

「何?」

「さっきの事なんだけどエリには言わないで」

「啓介、さっきの事って何のこと?」

「えぇ何でいきなり呼び捨て?」

「いいじゃない仲間だしそれに啓介には敬語使うよりダメ口の方が気楽でいい」

「まぁ好きにして、それよりさっきのことだけど」

「詳しく話してくれないと分かんないよ」


平常心を取り戻して恥ずかしがってる啓介が可愛くってセシルはからかい始めた。今まで変態だとしか思ってなかった啓介のエリへの一途な思いを知り見直したのだ。セシルはあそこまで自分を一途に思ってくれる人がいるエリのことが少し羨ましかった。


「だからエリが倒れて俺が泣いて」

「エリやっと起きたの」

「うう、えぇ私いつ寝ちまったんだろ」

「啓介泣いて何?」

「なな何でもない、エリ大丈夫か?」

「あ、思い出した。私魔力使い切って意識が遠くなり寝ちゃったわ」

「啓介心配しないでエリは元気だから」

「何で俺がそんなのんきに昼寝してる奴を心配しなきゃいけないんだよ」

「ははははははぁ」


啓介のエリへの気持ちを知ったセシルは正直じゃない啓介の発言を聞いて面白くって爆笑した。

自分が眠っている間啓介とセシルの仲が良くなったのを見て何が起こったのか気になるエリだった。


「何かあったの?」

「実はねぇ啓介がエ」

「ああああああああああああああああああああああああ」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



スカンキとの戦いでお互いの事をよく知り強い絆ができた3人は酷い悪臭と共に温泉の町であるアカタ町へやっとたどり着いた。本人達は悪臭をずっと吸い続け鼻が麻痺されたのやら自分達の匂に気付かずにいた。

一緒にスカンキに襲われた冒険者達も悪臭を漂わせながら後ろについてきた。さっきのプリーストが自分達の馬車から降りてきてエリに帽子を渡した。その帽子はスカンキの時飛んで行った彼女の帽子だった。


「エルフさんよ帽子忘れていったぞう」

「ありがとうございます。」


プリストは彼なりにエリに少しでも助けてもらった恩返しがしたかったようだ。彼らはエリ達に挨拶をして先に町の中へ入って行った。プリーストはエリと啓介の正体を知ってても種族差別などしないで礼を言える紳士であった。彼らは温泉が待ち遠しかったやら先にアカタ町の中に入って啓介達と別れた。

彼らに続いてアカタ町に入った啓介達の目に映ったのは着物と下駄を履いている亜人達の姿だった。まさに日本の江戸時代の町に亜人達が生活している光景だった。江戸時代の日本に住んだことはないが何か日本に戻ってきたようで懐かしく感じちゃうエリと啓介だった。セシルはこの町の衣装や建物が不思議だったのか目をキラキラ輝かせていた。


今夜の寝床である旅館を探しに啓介達はアカタの町中を歩いていたが町の住人達が逃げていった。

それで啓介はサングラスを掛けていないのか確認してエリは帽子をかぶっているのかを確認した。

しかし二人共じゃんと帽子とサングラスを着用し変装していた。何で正体がばれてるだろうと思考しながら自分達を避ける町の住人達を見ていた。町の住人達が鼻を摘まんでるのを見て3人の中で一番頭がいいエリは気づいた。スカンキのおなら爆弾の悪臭が自分達の体にまだ染みついていることと自分達の鼻が悪臭をずっと吸い続け麻痺されていることを、啓介とセシルも気づいたようだった。


3人は早く体を洗い流すために適当に近い旅館を探し入って行った。3人を迎えてくれる旅館の女将さんも啓介達から漂う悪臭がひどかったのやら部屋よりさきに温泉に案内してくれた。女将から今はこの旅館の夕食の時間の為申し訳ないが部屋に料理を準備しとくので料理が冷める前に体を洗って出てくれと頼まれた。3人女将さんから浴衣を渡されたあと啓介は男湯に、エリとセシルは女湯に入って行った。

啓介は更衣室で服を脱いでそのままゴミ箱に服を捨てた。スカンキのおなら爆弾から染みついた臭いを消すことが出来ないと判断したからだ。もちろんセシルとエリも服を脱ぎゴミ箱に捨てた。


啓介は温泉の中に誰かいると思い騒ぎにならないようとサングラスを掛けて温泉に入ってきたのだが誰もいなかった。エリ達が入った女湯にも誰もいなかっだ。旅館の夕食時間だったので客は全員食事中のようだ。

啓介はサングラスを外して長い旅で疲れた体と精神を癒していった。そんな時隣の女湯からエリとセシルの声が聞こえてきた。


「エリの肌白くって綺麗」

「セシルの肌も白くって綺麗じゃん、セシルの尻尾触ってみていい」

「尻尾敏感だから優しく触ってね」

「いい感触だね」

「あぁぁもっと優しく触って」



女湯と男湯は竹の壁だけで分けられていたため丸聞こえだった。セシルとエリの話を聞いて興奮した啓介はお湯から出て竹の壁から覗こうとした。しかし中々隙間が無くって覗けられなかったがそれでも必死に探した。そんこともしらずセシルとエリは二人で盛り上がっていた。


「あのさエリ、啓介のことどう思ってるの?」

「いい馬鹿で正直じゃないけどいいやつだと思ってるよ」

「じゃ異性としてはどう思ってるの?」


啓介は自分の話をしているのを聞いて竹につけていた手が滑り「ぴしーー」と音を出してしまった。

セシルとエリはその音を聞いて啓介が盗み聞きてるんじゃないかと思った。

セシルは啓介が覗いているか確認できる良い方法を思い付いたのでエリに合わせれくれと頼んだ。


「エリがスカンキを討伐したあと寝倒れたとき何が起きたと思う」

「何か起きたの?」

「啓介がねぇ寝倒れているエリの前で泣」

「ああああああああああああああああああああああああ」


啓介はセシルの話の続きをエリの耳に入れさせないために大声で叫んだ。

啓介なら何としてでも自分の口を止めに来ると思ったセシルの計画通りだった。


「盗み聞きしたら今日血吸わせないわよ」

「それだけは、もうしませんから」


3人はお風呂から上がって浴衣に着替えた後女将に部屋まで案内された。部屋には美味そうな御馳走が用意されていた。セシルにとっては和食を見るのは初めてのようでエリと啓介が名前や食べ方などを教えてあげた。


「二人はこの町に来たことがあるの?何か詳しいね」

「まぁな、昔何回か来たことあるよ」

「私もよ」


日本で死んで転生したとも言えないので二人はセシルに適当に誤魔化した。

セシルは和食が気にったようだった。でも橋の使い方が少し難しかったのやら食事をしながら一人でイライラしていた。そんなセシルが可愛いかったのやらエリが焼き魚とかを食べさせてあげていた。

啓介はこいうのも悪くないなと思いながら日本酒を飲んでいた。食事を終えた後3人は観光するために旅館からでた。3人の体からの悪臭がなくなったため啓介達を避けたり逃げてる人はもういなかった。

町には刀を腰にぶら下げ丁髷をしている妖精侍や啓介達のように浴衣や着物を着ている様々な亜人がいた。

もしかしたら自分達のように日本から転生した人がこの町で暮らしてたりするんじゃないかなと啓介とエリだった。いたとしても自分から直接日本から転生してきたと言わない限り分からないけど、

啓介は浴衣姿のセシルとエリを後ろで見ながら少しずつ吸血衝動に絡まれ始めた。浴衣を着ている二人の首筋がとても美しく美味しそうに見えていたからだ。


「エリ、血吸わせてくれないか」

「もう少し我慢して、旅館で吸わせてあげるから、」

「よっしゃ」

「変態」


啓介は今が無理でも後で吸わせてくれるというエリの言葉を聞いて嬉しかった。好きな女の子の血を吸える許可を貰い喜びすぎる啓介を見てセシルが変態でも見るような視線を送った。

エリからの許可ももらい今はセシルとエリとの3人デートを楽しむことにした。


9時くらいになり店も閉め始めて介達は旅館に戻った。

部屋に戻った啓介達はまず布団を敷くことにした。エリとセシルは仲良く布団をくっつけて敷いた。そして啓介はエリとセシルの命令により端っこの離れた場所に布団を敷いた。啓介がエリに逆らうと血を吸わせてあげないと言ってくるのだ。


エリがベランダに出て椅子に座り啓介を呼んだ。


「昨日のように胸触ったら二度と吸わせないからね」

「それは自己だって、じゃ吸うよ」

「噛まれるとき一瞬痛いから優しくしてね」

「うん」


エリは浴衣の共衿を掴み肩まで下ろした。それをみた啓介は吸血衝動が抑えられずにエリの首筋を噛んだ。そして流れ出す血を舌で舐めまわしながら吸う。啓介に首筋を舐めまわされエリも恥ずかしいのか顔が赤く染まっていった。そんなエリの後ろから血を吸いながら啓介の視線はエリの胸元いった。共衿が肩まで下りてきていったため少しだけど見えていたからだ。昨日よりもちょっと長く吸ってる気がしてエリは正面からが啓介の目に視線を移した。そして啓介の視線が自分の胸元に固定していることに気が付いた。


「どこ見て吸ってんのよ」


エリの鉄拳が啓介の顎に炸裂する。エリの鉄拳を食らい啓介は畳の上に背中から落ちていった。


「二度と私の血吸わせないから」

「何で俺なんもしてないじゃん」

「さっき言ったようね胸触ると二度と吸わせないと」

「触ってないよただ見ただけだよ」

「じゃ何で見るのよ」

「血を吸ってたら目線がそこにたどり着くだろうが」

「分かったわ、じゃこれからは目を閉じて手は自分の背中に手を置いて吸って」

「そんな」

「そうしないと吸わせてあげないから、じゃお休み」


エリは部屋に設置されていた光の水晶の効力を消した。光水晶の効力が消され部屋は暗くなった。

拗ねていたエリは今日のスカンキの戦いで疲れたので直ぐ眠ってしまった。


30分程過ぎてエリとセシルが目を閉じ寝ているのを確認して啓介は部屋から出た。部屋の外の廊下には青い水晶が設置されていてトイレには行けるくらいの明るさだったがかなり暗かった。トイレに向かいこの世界に着てきた警察の制服に着替えた。夜の訓練をするためには浴衣は動きづらかったからだ。

動きやすい警察の制服に着替えた啓介は旅館から出て魔法手帳から自分の剣を取り出した。剣術を習ったことのない啓介は独学で少しでも剣を自由自在に使えるようになりたかったのだ。

啓介は剣術の訓練をしている中に自分を見ている誰かの視線に気づき警戒した。


「誰だ。隠れてないで出てこい。」

「私だよ」


啓介が警戒していた視線の送り主はセシルだった。セシルはなかなか眠れなくって目を閉じていたが啓介が部屋から出て戻らなくって心配になり見に来たという。啓介が剣を背中にある鞘に入れセシルの方に近づいたらセシルが何か驚く様子だった。


「啓介、その服は、アジアの警察の制服じゃない」

「何でそれを?」

「もしかして啓介も地球から転生した人?」


セシルはイギリスから転生した人だった。セシルも啓介達が転生した人だとは知らずに内緒にしていたのだ。セシルはイギリスでバイオリニストである兄と一緒にテロに巻き込まれ死んだという。それでこの世界に転生して兄もこの世界に転生したと思い探していた。それで魔王がダンジョンを壊して出てきた日の二日前にいきなり現れた天才バイオリにストという噂を聞き音楽の町に行こうとしたのだ。

しかしダンジョンが壊れてから町の外に魔物達が出現して音楽の町まで一人で行けずに仲間を探していたのだ。


セシルからの話を聞いて啓介も転生する前に日本で警察をしていたことや何でエリと一緒に旅をしていたのかを説明してあげた。それでセシルは珍しい種族であるバンパイアとエルフが一緒にいたことに対する疑問が解き、啓介もこの世界の人間とは違いエリと自分の正体を知ってても何ともないセシルに納得したのだった。そして事情を知ったセシルは魔王を倒す協力がしたいとのことだった。


「それで何で啓介は寝ないでこんな夜中に剣術の訓練してるの?」

「今のままじゃだめだと思って、俺早く強くなりたいんだ。」

「それって大好きなエリちゃんを守るため?」

「違うわ、ただ魔王を倒したいから強くなりたいだけだ。」

「本当素直じゃないんだから、今日私にあんな涙まで見せて誤魔化せるとでも思ってんの?」

「みっともない姿見せちゃったなぁ」

「みっともなくなどなかった。むしろ見直したわ。ただの変態だとしか思ってなかったのにエリの事一途に思う気持ちは素敵だった。」

「そういわれると恥ずかしいな」

「だから正直に言うって相談相手になってあげるから」

「そうだよ、好きなんだよ、あいつのこと、だからあいつの事魔王から守れるほど強くなりたいんだよ。」

「よろしい、やっと素直になったね、じゃ私も啓介の片思いが実るように協力してあげる。」

「エリには言うなよ、気まずくなるから」

「日本の男の子は本当ヘタレだね、でも啓介のそいうところ結構好きかも」

「馬鹿、褒めてもなんもでないぞ」


お互いのことをもっと知った二人は夜遅いし寝るため旅館に戻ることにした。



























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