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ダンジョンの崩壊

「啓介これ被って。」


エリは啓介に黒いマントを貸してあげた。それは啓介の赤い目と金髪を隠して出掛けるためだった。もちろん彼女も自分がエルフということを隠すため黒いマントを被っていた。

啓介はエリからもらった黒いマントを被っった。宿から出るが黒いマントを被っていても不思議そうに見てる人はそんなにいなかった。それが疑問だった啓介がエリに聞いた。たまにアサシンの冒険者達が自分の装備を隠して戦うためこんな格好をしてるらしい。警察や衛兵に怪しまれたときは身分所である魔法手帳を見せれば理解してくれるらしい。


「どこいくの」

「言ってなかったけ、市役所に寄ってから君の武器とサングラスを買いに行くの」

「サングラスと武器ショップはともかく何で市役所に?」

「君の冒険者登録をしにいくの」


ギルドじゃなく市役所でも冒険者登録ができる。市役所で冒険者登録をするとギルドにはまだ所属してない冒険者扱いになるが身分証である冒険者用魔法手帳をただで貰えることができる。それは昨日エリが使ってた手帳だ。その手帳には金やアイテムなどを入れたり実体化させることもできる便利な代物だ。そして持ち主のレベルやステータス、スキルなども書かれる、冒険者には欠かせない魔法の身分証だ。失くしても魔法の注文を唱えると持ち主の手元に戻って来るし持ち主じゃないと手帳からアイテムや金をぬきだすこともだきない万能道具だ。


市役所に入り係員から手帳を貰い言う通りに魔力を注ぐ啓介、手帳には魔法により啓介の写真と国:アルミニア王国、名前:大和啓介、性別:男、歳:19、レベル:1、種族:バンパイア、天職:魔道剣士

ギルド:未定、能力値ー力:310、魔力:310、知能:100、運:?表示できません、

耐久力310、回復力510、固有スキル:吸血:他者の血を吸うと自己再生と回復、女性の血を吸うと超高速自己再生と超高速回復、吸血した相手の血の量により能力値増加、夜目:暗いところでもよく見える、夜力、暗い場所で能力値の上昇、魔法属性:血(他人の血を操り攻撃手段で使うと魔力を5分の1しか込めない)、(自分の血を攻撃手段で使うと全魔力を込めることが出来る)

スキル:血の形態変化、

次のページには金:0、アイテム:無しと書かれた。


「これで冒険者手続きは終了しました」


啓介は興味津々のエリに魔法手帳を渡した。


「どれどれ凄いな、この能力値はもう完全にチートじゃん」

「そんなに高いの?」

「高いというレベルじゃないわ。一般の冒険者の能力値と比べたら、、、


平均一般(男)冒険者の能力値レベル1

天職:人それぞれ

力:50、魔力:50、知能:100、運:50、耐久力:50、回復力:50、固有スキル:種族や人それぞれ

スキル:なし


平均一般(女)冒険者の能力値レベル1

天職:人それぞれ

力:30、魔力:50、知能:100、運:50、耐久力:30、回復力:30、固有スキル:種族や人それぞれ

スキル:人それぞれ


エリのレベル1の時の能力値

天職:ウィザード

力:30、魔力:500、知能:140、運:?、耐久力:20、回復力200

固有スキル:魔法属性:自然(全属性魔法)(古代魔法)、古代文字解読、

スキル:自然の形態変化:例え;酸素を水に、水を氷に変化させ攻撃できる。水の温度や風の風圧などの変化もできる。


啓介はシルビア女神から特にチート能力を貰ったわけじゃない。ただバンパイア種族そのものがチート並みに強い種族だった。一般の種族の冒険者に比べたらはるかにステータスが高いしレベルを上げるたび上がるステータスも一般的な種族とは比べ物にならないのだ。特に血のスキルを使うので血の補給のため回復力が高い。それにエリも啓介程じゃないが自然の力を操る古代魔法の使い手であるエルフ族なのでチート並みに魔力が高かった。ちなみに現在のエリのレベルは1じゃなく5だ。


「もうチートじゃん、バンパイア族が強いとは聞いていたがここまでとはな」

(お前も十分チートだけど)「バンパイア族がそんなに強かったのに何で滅びたの」

「馬鹿、いくら強くっても全種族と全世界を敵にまわしちゃ勝てっこないでしょ」

「そうか、何で運は?なの、どう見ても俺の運は最悪だと思うけど(いやエリと同じ屋根の下で過ごすし最高かも)」

「私も?だけど理由は分からないわ」

「それより魔法はどう使うの」

「手帳に書いてあるから読んで」


*魔法の使い方

自分が使おうとするスキルのイメージを思い浮かびスキルの名を叫ぶこと。(詠唱などは要らない)

スキルのダメージは術者のレベルによって決まる。

人と転職によって使えるスキルは違う。つまり他人のスキルを学ぶことも使うこともできない。


啓介の冒険者身分手帳を作り終え二人はダンジョンの近くに並んでいる武器ショップへ行った。自分の武器は自分が選びたい啓介はいろいろ見てみるが中々選べられなかった。何故なら死ぬ前、日本にいたとき銃以外の武器を使ったことがないからだ。

そんな彼にエリは大剣をおすすめしてくれた。読んでみた本に昔のバンパイアたちの魔道剣士が主に使ってた武器が大剣だったとかなんとか、理由はバンパイアの基本能力値が高いし魔法を使いながら接近戦をする魔道剣士には丁度いい武器だという。

納得した啓介は大剣を買った。しかし思ったように重くは感じなかった。それは転生してから人間の力をはるかに上回る力を持っていたからだ。啓介はかっこよく日本刀のように腰に装着しようとしたのだがそれは大きさ的に無理があり背中に大剣を装着した。そのあと啓介はサングラスも買って掛けてマントを脱いだ。


「啓介行くわよ」

「家にもう帰るのかよ、ちょっと観光したいのだが」

「何言ってんの、ダンジョンに行くのよ」


エリは啓介を連れてダンジョンに向かった。初めてのダンジョン攻略にドキドキしながらも少しはビビってる啓介。見たこともない魔物と戦うことになるからだ。そんな啓介に心が落ち着くようにとエリは「一番上層の魔物は弱いから心配しないで」と優し気に声をかけてあげる


「あのさ上層のモンスターはスライムみたいなものか?」

「ダンジョンにはモンスターなどないわ」

「はぁ?」


ダンジョンにはモンスターはなく魔物が存在する。魔物を討伐すれば魔物の中にある魔石を集めダンジョン案内所で金と交換ができる。そして何より魔物と戦い成長して自分のレベルを上げればステータスも上がる。レベルを上げたら新しいスキルを自動的に習得できる。

モンスターは地球に存在する動物や昆虫のように町や森などに存在している。魔物のように強くも狂暴でもないが退治するのが混乱で被害にあってる住人や国はクエストとして冒険者達に討伐の依頼をする。依頼を達成した冒険者は報酬とアイテムなどを支給される。つまりレベルを上げ強くなりたいのならダンジョンの魔物を討伐すること。しかし魔物から出た魔石を売って少しの金ももらえる、それと強い魔物からでる魔石はかなりの値段がする。

大金だけが目当てならクエストを解決するのがいい。


「だから私たちは今速く強くなるためクエストよりもダンジョン攻略が優先だよ」

「つまり貧乏生活が続く訳か」

「仕方ないでしょ、私たちのレベルじゃまだ強い魔物を倒すことはできないし、それに早く強くならないと」

「ちなみにエリのレベルは?」

「レベル2だよ」


ダンジョン案内所に着いた二人はダンジョン入場登録をした。理由は冒険者の死による人口変化と死んでも自分の責任だという署名みたいなものだった。

ダンジョン入場登録を終えダンジョン案内所の裏口に入った。ダンジョン案内所の裏口からダンジョンの入り口まで繋がってるらしい。エリは初めての仲間とダンジョンに潜ることに笑みを隠せず微笑んでいた、啓介は未知の領域に足を踏み入れることでドキドキしていた。まるで絶叫マシンに初めて乗る子供のように

その二人とは違いダンジョンから冒険者達が急いで次々と出てきていた。その様子は逃げているというより見たいテレビ番組の放送時間に間に合うよう急いでるようだった。二人はそんな冒険者達の様子が気になった。


「あの、すいません。何かあったんですか?」

「今勇者様が100階層に到達寸前らしいよ。それを案内所の外にある水晶から見られるらしい。」


ダンジョンの入り口から出た冒険者の一人はそう言って急いで走り去った。気になったエリと啓介も来た道をまた戻り外に出た。

冒険者達が集まっているところに向かった、冒険者達はダンジョン案内所の建物に設置された巨大テレビの

ような水晶を眺めていた。しかし水晶には何も映ってなどいなかった。

それでも冒険者達は何かを待つようにキラキラした目で水晶を眺めていた。まだこの世界に来て間もない二人は水晶に何が映るのか気になり始めた。この世界に関して何の知識もない啓介はもちろん、博識であるエリすら知らなかったのだ。


「あの、一体なにが起きるんですか」

「今まで一度も映ったことのない伝説の水晶に100階層にたどり着いた勇者と魔王の戦いを映るんだってよ。、、、」


冒険者の説明によるとあのデカい水晶には誰かが100階層に入ったときその時の映像が映るらしい。

冒険者達が集まったのはもうすぐ勇者が100階層にたどり着き魔王と戦うことになるのを勇者のギルドの一員である知り合いから連絡を貰ったからだ。

冒険者以外の町の住人もそんな噂を聞きづけて虫のように集まって来た。


5分くらい経過し透明だった水晶に何かが映り始めた。それは聖剣を持った凄まじいオーラを放つ勇者と勇者のギルドの人達だった。

そして彼らの前に立ちふさがる魔物と魔物達がいた。魔物達の後ろには黒い尻尾と黒い羽根が生えた悪魔のような魔王がいた。邪悪なオーラが溢れる魔王も強そうだったが100階層の魔物達も上階層の魔物とは比べ物にならないほど強そうだった。啓介はまだダンジョンに入ったことが無いため一度も魔物を見たことが無いが水晶に映ってる魔物達の強さがとんでもないと直感した。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「お前たちは魔物達から道を開いてくれ、俺が魔王に近づけるように」

「「「「「「「「「「「任せろ」」」」」」」」」」」」」


勇者の仲間の冒険者達が100階層の魔物達に突撃した。そしてドンドン隙間ができた。しかしそれは魔物達がわざと勇者を魔王のところに行かせるために隙間を作ってるように見えた。罠でも設置してあるように、それでも勇者は空いた隙間に走り抜け魔王のところにたどり着いた。


「ずっと待っていた。勇者が俺のところにたどり着くのを」


魔王は嬉しそうに微笑みながら椅子から立ち上がり背中にある鞘から大魔剣を抜いた。


「そうかい、俺もオマエを殺せるこの日を待っていたぜ。」

「一つ聞いていいかい、オマエは何で俺を殺したがる?」

「願いを叶うためさ。俺は今まで自由に楽しく生きて来た。欲しいままにな。 そして寿命を終えもう一度転生した時も欲しい物は何でも手に入れ幸せに暮らす。だからお前には死んでもらうよ。俺の来世のため。」


そう、勇者も日本から転生してこの世界に送られてきたものだった。勇者は日本で財閥の御曹司に生まれわがままに何の不自由なしで生きて来た。しかしキャバクラで酒を飲みすぎた後車に乗り家に帰る途中交通事故で死んだのだ。その時の勇者の飲酒運転により何人かの使者が出た。

そして死んだ勇者は啓介の担当の女神であるシルビアのところに行った。勇者の担当女神も性格最悪であるシルビアだったのだ。

勇者のクズみたいな性格が気に入ったシルビアは彼にチート並みの力を与え転生させた。

そして転生した勇者は天職として勇者とになり勇者という職業のチート能力値で英雄になったのだ。


勇者は話が終わったどたん魔王に剣を振るうがそれを余裕でかわす魔王、魔王は闇属性の魔力を剣に注ぎ勇者は光属性の魔力を注ぎお互い攻撃と防御を繰り返した。これじゃきりがない考えた勇者は一歩さがり聖剣に自分の全魔力を込め光の塊放つ「エクスカリバー」。その魔法は勇者が詠唱なしで放てる最強魔法であった。詠唱を唱えるもっと強力な魔法を使うとその隙に殺されると判断したのだ。

自分の力に自信があった勇者はこの一撃で魔王を倒そうとしたのだ。

しかし魔王は防御をせず闇属性の魔法を勇者の方に放つ。勇者の魔法は魔王の魔法に抑えられ勇者は魔王の魔法をもろにくらい倒れた。倒れた勇者は今何が起きたという一切の余裕のない顔で立ち上がり自己回復魔法を自身にかけた。

魔王は勇者の回復する暇を与えず凄い速さで近づき聖剣を握っている勇者の腕を切る。


「あああああああああああああああ、俺の腕があああああ」と悲鳴を上げる勇者、魔王はそんな彼の首を左手で握り締めた。それを見た勇者の仲間達は必死に助けに行こうとするが魔王の部下である魔物達に邪魔され身動きすらできなかった。むしろ勇者に視線をそらし隙が出来た。魔物達はそれを逃さず勇者の仲間達を殺した。こんなにあっさり魔物達にやられることには理由があった。

この100階層にたどり着けたのは勇者のチートステータスがあってからであり決して彼らが強すぎてからではなかったからだ。それでも50階層は突破できるくらいの名前をあげた冒険者達だった。

勇者が現れるまでは50階層以上を超えたものはほんの一握りだったからだ。


魔王の手により首を絞めつけられた勇者は抵抗も出来ずあっけなく窒息して醜い姿の死体となった。

勇者が何もできずに魔王に殺される姿をみて勇者の仲間達は戦う気力を喪失して魔物達に次々と殺され全滅した。それと同時に魔王は片手で勇者の体を貫き心臓を取り出し食った。

「力が溢れてくる、これならダンジョンの結界を破れる」

死体から用を済ませた魔王は勇者の死体を魔物達に投げ餌として食わした。バラバラになって魔物達に食われていく勇者の姿は見てる冒険者達の記憶に恐怖として刻まれるだろう。


魔王は100階層の入り口の方に向かいダンジョンの入り口の結界に剣を振る。魔王の一撃により結界が破れた。その結界は魔物達がダンジョンから出られないように神が作った結界であった。

魔物達は喜びの歓声とともに魔王の後ろをついて99回層に向かった。そしてそこでも入り口の結界を破壊して魔物達は上層に上がって行った。次々と結界を破り魔物の群れを連れ上層に上がる魔王、ダンジョンの中にまだ残っていた冒険者達は魔物の群れに殺されていった。


その映像を見ていた外の冒険者達や町の住人はやっと今何が起きているか実感し恐怖で慌てながら逃げ始めた。ダンジョンから近い所にいた啓介とエリも一番後ろの列から必死に逃げようとした。啓介とエリ達の後ろにいたのは20人くらいの冒険者しかいなかった。それほど後ろにいたのだ。


そんな冒険者達を逃げる前に殺そうとしたのやら魔王は魔物達より先に一人でダンジョンから出た。


「笑えるな、今まで遊び半分で殺してた魔物達から必死に逃げる冒険者の姿は」


魔王は久しぶりの外の世界の空気を吸いながら何かの感想に浸っていた。

魔王は昔この世界に悪魔族として転生したものであった。悪魔として周りから嫌われひどい目に合った彼は冒険者になり悪魔族のチートなみのステータスでダンジョンを攻略し100階層にたどり着いた。しかしそこで彼が目にしたのは魔剣を自分の腹に刺して死んだ姿の魔王だった。魔王が何で自殺したのか彼にとってはどうでもよかったが願いを叶うことができないことには絶望した。そんな時魔王の力を吸収して自分を嫌ってた冒険者達に復讐する発想を思いついた彼は死体となった魔王の心臓を取り出し食べた。彼の固有スキルは相手の心臓を食うと心臓の持ち主のステータスを吸収できるのであった。

しかし魔王の心臓を食べた彼は結界により100階層から出られなかった。つまり新しい魔王の誕生だった。新しい魔王になった彼は何十年も自分の部下である100階層の魔物達を食べながら今まで生きて来た。(彼の固有スキルでは心臓がない(魔石)魔物をいくら食ったってステータスは上がらなかった。)彼はやっと全魔王が自殺をしたのか分かった気がした。強い力を持っているにも関わらず外にも出られないという不自由と食料もないため魔物達を食べながら生活を送るのはまさに地獄だった。しかしチートなみの能力値を持つ勇者を食べてやっと結界を壊せる力を得ることが出来たのだ。そのためだけに今の魔王は勇者が来るのを待っていたのだ。


動き出した魔王は凄まじいスピードで逃げてる冒険者達に追いつき一人一人と殺した。魔法で殺せばあっという間に何十人を殺せるにも関わらず殺人を楽しむように殺した。

冒険者達は生きるために前の人達を押しながら必死に逃げた。後ろにいた人に押されて啓介が転びすぐ後ろに迫っていた魔王が啓介を殺すため近づいた。「ふふふ、死ね、」と言うのとともに魔王は啓介を切ろうとする。啓介は倒れていた死体の血を形態変化させ盾を作り防御した。

「何、このスキルは、バンパイアの、何で絶滅したバンパイアが、そうか、お前は、、ははは」

魔王は直感で分かった。啓介が昔の自分と同じようにシルビアという女神によって転生された人間だということを、

「お前、この世界にいつ転生された。」

「よよよ四日前です」もうすぐ死ぬと思った啓介は魔王の以外な質問に震えながら答える。

「この世界をどう思う?、転生してからひどい目にあっただろう。そして今もそうだ。お前を囮にするかのように押して逃げる連中をどう思うんだい?」

「いつか殺してやる、この世界は腐ってる、そしてこんな世界を作った神も」


魔王は自分が求めていた返答を啓介から聞いて満足しそうな笑みを浮かべた。その瞬間魔王の周りの地面が粉々になり魔王を襲った。まるで魔王を石の塊に閉じ込めるように

それは啓介の後ろにいたエリの魔法攻撃だった。


「彼の元から離れなさい」

「馬鹿逃げろ」


魔王は自分を閉じ込めた石の塊を壊し何ともなかったのように啓介の後ろにいるエリを凝視する。

「これは古代魔法、もしかして君はエルフかい」

自分を攻撃したエリに対し殺意じゃなく興味を抱く魔王、それは啓介の時と同じ理由だった。

魔王は啓介とエリを見て楽しそうに笑った。同じ境遇の仲間でも見つけて嬉しかったのやら、


「これは楽しみだ、今日はここで去ろう、君たちはいつか自らの足で俺のところに来るだろう。」


魔王は彼らが自分の仲間にでもなるようなことを言ってダンジョンから1頭ずつ出てくる魔物達の群れの方へ向かった。そして詠唱を始め空中に大きなゲイトを作り出した。魔王と魔物達はゲイトの中に入りどこかへ消えた。魔王が去るのをみて力が抜けた二人は地面に座り込んだ。圧倒的な力の差を持つ相手から生き延びたことに生きた心地がしなかったのだ。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


あれから1か月が過ぎていった。しかしその一か月の間このアルミニア王国には様々な問題が発生した。

ダンジョンから脱出した魔王軍はアルミニア王国の宮殿の真逆に存在する町の一つを奪い魔王の拠点としたのだ。魔王の拠点となった町の住人は魔王軍と戦わず必死に逃げて死者の数はそんなに出なかったという。そして魔王軍の幹部つまりダンジョンでボスだった者達は次々と周りの町を襲っていった。何とか国の衛兵達が抑えているものの国の衛兵達が死んでいった。軍事力がへっていくと周りの国から攻め込まれる可能性があると判断した王国は冒険者の町に使者を送り冒険者達にクエストを与えた。


魔王討伐ー報酬:町1つ、王族としての地位、一億バリス

魔王幹部討伐ー報酬:1000万バリス  幹部の数20、(5層ごとにボス魔物がいたので)

部下魔物討伐ー報酬:魔石と金の交換



冒険者達は魔王幹部にかかってる賞金を稼ぐため冒険者の町を出て旅をする者たちが現れた。

町でダンジョンを攻略するのとは違い旅をする本当の冒険者になっていくのだった。

しかし魔王の討伐を夢みる冒険者は一人もいなかった。冒険者の町最強の英雄ともよばれた勇者があっけなく死ぬ姿を目のあたりにして魔王を倒せるという希望を捨てたのだ。ただ一度くらいダンジョンで殺したことがある上層の魔王幹部を討伐するため冒険をするようなものだった。しかしそれすら簡単ではなかった。ダンジョンからでた魔物達には理性が備わっていたからだ。特に幹部の魔物達には人並みの知力が備わって

何倍も強くなったのだ。ダンジョンにいたころの魔物たちは理性もなく知力も低い単純な攻撃をする力と攻撃力だけが強い魔物だった。しかし今となっては理性も知力も力も何もかも高い存在になってしまったのだ。


ダンジョンが崩壊して間もないころ魔王の力を一番まじかでみた啓介とエリは力の差で絶望していた。しかし自分達と魔王との大きなレベル差があるから仕方ないと考えた。それに自分達にはチート並みの能力とステータスを持っているからと心を切り替え魔王とのレベル差を補うため冒険を決意する。

そして現在二人は冒険の真っ最中であった。啓介も今は警察の制服じゃなく冒険者らしい服を着ていた、血を利用したスキルを使うため服に血がついても構わないようにするため赤と黒が主な服だった。

エリは白と緑色が主な服を着た。動くとき不便じゃないように少し短いスカートを履いて足が冷えないように白いニーソを履いていた。その姿は正真正銘エルフだった。


「デュラハンのおじさん、後ガグロ村までどのくらいかかる」

「あと1時間で着きますぞ、お客さん」


啓介とエリはこの一か月旅をしながら現れたザコ魔物達を倒してレベルを上げた。現在二人のレベルはこうだ。


啓介レベル7

固有スキル:吸血:他者の血を吸うと自己再生と回復、女性の血を吸うと超高速自己再生と超高速回復、

吸血した相手の血の量とステータスに比例して能力値増加、夜目:暗いところでもよく見える、夜力、暗い場所で能力値の上昇、溢れる血:スキル発動と共に回復力が上昇する

魔法属性:血、(他人の血を操り攻撃手段で使うと魔力を5分の1しか込めない)、(自分の血を攻撃手段で使うと全魔力を込めることが出来る)

スキル:血の形態変化


エリレベル9

天職:ウィザード

固有スキル:古代文字解読、魔法属性:自然(古代魔法)

スキル:自然の形態変化


デュラハンの馬車に乗って啓介とエリは今日の寝床を探すため一番近い町へ向かっていった。

この世界では動物がない、つまり馬車を引く馬がないのだ。その代わりデュラハンたちが金を稼ぐため

自分達の魔馬を使って馬車引くらしい。魔馬もモンスターであることを除けば馬と見た目の差は大きくない


啓介はこの世界に来て一か月が経ちすっかり冒険者らしくなっていた。

少し性格がワイルドになってしまったというと理解しやすいだろう。


「退屈だな妖精達が、羨ましいぜ空飛べるし」

「もうちょっとだから我慢して」

「お客さん前に何かが」


デュラハンがいきなり馬車を止めた。彼が馬車を止めたのは太ったデブである豚魔物の群れが出現したからだ。魔物のボス達は魔王と同じくゲートという魔法を使えるため自分達の部下をどこかへ出現させることができるのだった。つまり魔物達はどこへでもいきなり現れるということ、とくに何の結界も張られてない町の外の草原などに現れる。

啓介達の目の前に出現した豚魔物はおよそ20頭くらいだ。

豚魔物は食べることがとにかく好きで人間もモンスターも腹が減ってると同族すら食う魔物だった。

しかも生じゃなく焼いたり調理をして食べるらしいのだ。

それは魔王がダンジョンから魔物達を連れだして行ってから理性が備わってからだという


「あそこに美味しそうな獲物がいるぜ、捕まっていただこう」


デュラハンは豚魔物から逃げるため逆方向に回ろうとするとき啓介がそれを阻止した。そして馬車から降り豚魔物の群れに突っ込んだ。


「腹減ってたのにちょうど良かった。」

「それは俺たちのセリフだ。」


啓介は背中にある大剣を引き豚魔物一頭の首を切った。したら死んだ豚魔物の切断された首から流れ出した血が空中にあがり泡のように浮かんだ。その血は啓介の頭の上から1メートルくらい離れたところにとどまった。そして一頭から集めた血はナイフの形に形態変化して周りにいた豚魔物達の体を突き抜けた。

その迷いのない動きはエリとあって間もないころの面影は全くなかった。

全部魔石に命中して死体も残らずに豚魔物達は死んだ。この世界の魔物達は魔石を攻撃されると消滅するが

頭を切ったり脚や腕を切り出血多量で死んだら死体となるのだ。

啓介はそれを狙い最初の一頭の首を切断して血を流させバンパイアである自分の血属性魔法を使ったのだ。

それもあるが腹が減って死体にして食べたいのもあった。


啓介が血が抜けた豚魔物の死体を馬車のとこまで運んできた。デュラハンは驚いた目で啓介を見つめていた。

「お客さん、そのスキル、バンパイアなのか」

「そうだけど何か問題でも」

啓介は堂々と掛けてていた黒いサングラスを外し彼に自分の赤い目を見せた。

それには理由があった。啓介とエリは5時間くらい馬車に乗って移動してここまでたどり着いたのだ。だから払う料金もかなりの値段である。つまりデュラハンが自分を見て逃げたら料金も払わずに済むってわけだ。しかもあと1時間くらいしか残ってない距離、

一か月前までの警察の格好をしていた真面目すぎる啓介の発想とは思えないくらいだ。

彼がこんなに変わっちまった切っ掛けは一度目の死から転生しての不運とそのあと魔王に殺されそうな経験をしてから変わったのだ。それはいつ死ぬかも分からない人生、真面目に生きるより他人に迷惑を掛けない範囲で自由で楽しく生きようとの単純明快な理由だった。


しかし啓介の予想とは異なりデュラハンは驚くだけであって逃げなかった。

デュラハンは絶滅したはずのバンパイアが何でここにいるのか啓介に聞いた。

啓介はこの質問に対して「戦争が起こり幼いころの俺を親が封印して隠した。生き延びるようにと」という嘘をこの一か月で生み出したのだ。デュラハンは啓介の嘘を信じて納得してるようだった。

今までの亜人とは違うそんなデュラハンに何で逃げずに平然としているのか啓介は尋ねた。

啓介の質問に応じデュラハンは自分の過去を語り始めた。


「私は幼いころ他の亜人の子達によくいじめられました。私たちは体と頭が分離されています。

それで頭をサッカーボール代わりにされたりドッチボールの代わりにされたりしながら大変でした。

私たちデュラハンの頭だって他の亜人と同じように痛みという感覚があるのに体から分離されてるだけで物扱いをされたんです。わたしは思いました。人を見た目や種族で差別しないで生きることを、あんな奴らのようにはならないと。」


「その気持ちよくわかるよ。俺もこいつもそうだったから、エリ、この人には正体隠さなくってもいいんじゃないか?」


デュラハンの言葉を聞いて同感した啓介はこの人には正体を隠す必要が無いと判断した。

エリもデュラハンの話を聞いて被っていた帽子を外した。デュラハンはエリを見て一瞬驚くが微笑んでくれた。

そして啓介が持ってきた豚魔物をエリの炎魔法で焼いて豚の丸焼きにした。

3人は今までのお互いの苦労を語りながら心を共有しながら豚の丸焼きを食べた。

啓介とエリもこの世界の住人から普通の人間として見てもらったのが嬉しくって感動した。


3人は食事を終え腹がいっぱいになった。残した豚の丸焼きがデカすぎて持っていくのも面倒そうだし捨てるとゴミになると思った啓介は豚の丸焼きに入っていた魔石を攻撃した。

その瞬間豚の丸焼きは消滅してキラキラと光る魔石だけが残った。町に着いたら金と交換するため啓介は自分魔法手帳に入れた。




おまけ1

エリ:あんた最近かわったわね

啓介:どこが?

エリ:他人の視線など気にせず生きてるというか、わがままになったというか

啓介:魔王から殺されそうな時思ったんだよ

エリ:何を?

啓介:いつ死ぬか分からない人生、人の迷惑にならない線で欲望のままに楽しく生きてやるとな




おまけ2


エリ:今日から私の部屋に入らないで

啓介:じゃ俺はどこに寝ればいいんだよ

エリ:今日から隣の部屋借りて

啓介:何で

エリ:そのくらいの金は集めたでしょ

啓介:でも一緒に部屋使って宿代を払うほうが節約できるし

エリ:何で同じ部屋使いたがってんの?変なことするつもりでしょ、いやらしい。

啓介:俺がそんなことするはずないでしょ

エリ:啓介君最近キモイから信用できない。


おまけ3


啓介:エリもう黒いマントは被らないのか?

エリ:啓介が守ってくれると言ったし男装する必要もないと思ってさ

啓介:(もしかしてあの夜寝ないで俺の話聞いてたのか?)何のことかしら

エリ:私その時寝てなかったから、、、

啓介:恥ずかしくって死にたい。

































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