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彼女は人付き合いが苦手だ  作者: 黒い怪鳥
第1章 彼女はよくわからない
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1話

 入学式から1週間が経った日。俺は地下鉄の階段を上がり、心臓破りの坂を登っている。桜はとっくに散っているため緑の葉が生い茂っている。

 特に景観のいいところという訳ではないので黙々と坂を登っている。いや、見るものなさすぎじゃない?

「よう、絢人」

 声がした方を向くと見慣れたにこやかな顔があった。

「おはよう、蓮。朝から元気だね」

「そうか? 逆に絢人は落ち着き過ぎだろぉ」

 蓮とは中学で知り合った。縁なのか、3年間同じクラスだった。さらに、これもまた縁なのか、高校も同じ都立の山丘高校に通うことになった。

 コミュニケーション能力が高くて人によって態度を変えたりしない。もちろん誰にでも優しく接するいいやつだと思う。中学の時は部活はバスケ部に所属していた。

 女子からの評判は特に良い。バレンタインデーには山のようなチョコを持ち帰るための大きめの麻袋を用意して、『サンタクロース』と時期外れのあだ名が付けられていた。よく告白されたという話を聞いたけど、特定の誰かと交際していたという話は聞いてない。

「高校で何しようかな? やっぱり、バスケ部に入った方が女子からの人気でるかな?」

 一つ残念な点は、計算している節があるところだ。

 どうしてこんな奴がモテるのか意味が分からない。


 信号が赤になった。車が目の前を左右に通り過ぎていく。俺たちが歩みを止めたところで蓮が再び話し始めた。

「そういやぁ、今日は委員会決めの日か。絢人は何かやりたい委員会はあるのか?」

「特にないね……」

『救っていく』なんてことを考えていたけど、正直何をしたらいいのか具体的には考えてない。

 要するに人の役にたつことなんだけど、山丘高校でそういう活動をする部活は聞いたことがない。そうなると委員会に入ろうかな。

 車の流れが止まり、歩行者信号が青に変わった。俺たちはまた歩みを進めると。蓮が話を続ける。

「まあ、委員会は大体のやつがやりたがらないだろう。うちの学校だと部活入る奴と委員会入る奴で別れるて先輩が言ってたし、オレもたぶん部活に入ったらむりだろうなぁ」

「やっぱり、委員会かな……て、もう先輩と仲良くなったの!?」

 蓮は得意げに鼻を鳴らした。

 別に俺にコミュニケーション能力がないというわけではないけど、蓮の人脈の広さには毎回驚かされる。若干ムカつく。


 ***


 始業のチャイムが鳴り全員が席に着き、喧騒がおさまる。担任の鈴木教諭が教室に入ってきた。

「挨拶はやらなくていいわ。それじゃあ、今から委員会を決めるから」

 鈴木教諭が黒板の右端から縦書きで委員会の名前を書いていく。この中に俺がやりたいことはあるのか?

 図書委員会や保健委員会、美化委員会、選挙管理委員会。

「中学校と種類はあまり変わらないだろうけど、一応、それぞれの仕事内容を説明すると――」

 鈴木教諭が仕事内容について説明していく。でも、俺がやりたいことじゃないね……。本は好きだけど図書委員会は違う。保健委員会や美化委員会、選挙管理委員会は仕事内容が決まっているから範囲が限られてくる。

 仕方がない。部活を作ろう! 痛々しいな……。

「ん? 何か説明してないような……ああ! 一つ委員会を書くのを忘れていたわ」

 鈴木教諭が忘れていた委員会の名前を最後に書き足す。

 ――風紀委員会

「風紀委員会と言えば、服装チェックや持ち物チェックとか他の生徒からあまり好かれないイメージだけど、うちの学校ではそういう嫌われることだけじゃなくて、生徒のためになることもするわ」

 学校の先生が委員会のマイナスポイントをこんなにもはっきりと言って……。学年主任とかに怒られそう。

 けれども風紀委員会か……悪くはないね。生徒のためになること。

「ねえねえ」

 どの委員会にするか考えていると、後ろから声をかけられた。

「どうした? 宍倉」

「もう名前覚えてくれたの? 苗字だと堅い感じだから『優』でいいよ」

 宍倉は容貌の良さと、如何にも男性受けのいいその話し方で入学式の日からクラスの男子だけでなく、学校中の男子の人気を博した。

「それで……何か言いたいことがあるんじゃないの?」

 ここは相手のペースに乗せられないようにしなくては。

「あ、えっとぉ……絢人くんは何か委員会に入るの?」

「風紀委員会に入ろうかなとは思ってるけど」

「ええ~! 一緒に美化委員やろうよ〜〜」

「い、いや……やめておくよ」

 俺はなんとか笑顔で断った。宍倉は口を尖らして不満なことを俺に訴えてきたけど、知ったことじゃない。というか、こういう甘ったるい話し方の人は苦手です。

「それじゃあ、今から希望をとっていくけどまず、学級委員会からね。学級委員が決まったら後は任せるわ」

 山丘高校の委員会活動はクラスに最低1人いればいいことになっている。だいたいは誰か1人だけか仲のいい人が何人かでやっていたりする。

 だから、俺は驚いた。俺の左隣の人が手を挙げていたから。

「月島さんか……絢人くん大変だね」

 宍倉がコソコソと俺に話しかけてきた。

「どんな人なの?」

「どう言ったらいいのかな……でも、すぐわかると思うよ」

 宍倉は誤魔化しているから何を言いたいのかわからない。


 鈴木教諭が俺と月島に初心表明してほしいと教壇から手招きしてきた。

 まずは、俺から話すことになった。

「椎名絢人です。えっと、風紀委員は初めてですがしっかりやりたいです。よろしくお願いします」

 短めだけどまあまあいいと思う。

月島が誰かと話しているところは初めて見るので、どんな話をする人のか気になる。

 月島が真ん中の教卓の前に立った。教室が静まる。聞いている側なのに俺の方が緊張してきた。

 月島が口を開く――

「月島」

 え? それだけ? あまりにも短すぎじゃない? というか、月島とはっきり名乗っただけ。教室内は驚きのあまり、誰も微動だにしない。

「え、えっと……月島さんそれだけかな?」

 クラスメイトと同じく固まっていた鈴木教諭がなんとか話を進めようとしたが月島は首を縦に振り「先生、座ってもいいですか?」と、言い鈴木教諭がまだ何も言っていないのに自席へと向かった。


「マジかよ……」

 黒板前に一人取り残された俺はそうつぶやくしかなかった。

 ご無沙汰しております。黒い怪鳥です。

 ずっと更新していませんでしたが、決してネタが尽きたとかそういうことではありません。本当です(たぶん)

 話は変わりますが、風邪をひいておりまして非常に辛いです。なぜこのよくわからない時期に風邪をひいたかはわかりませんが、皆さんも風邪には気を付けてください。

(前回も具合悪いみたいな話をした気が……)

 次回も宜しくお願いします。

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