2話
翌日から学級委員の仕事が始まった。
朝礼、終礼、始業の挨拶。さらに授業の手伝いと……。やることがたくさんあり、落ち着く暇もない。
もう、ウンザリだ。早く帰りたい。そんなことばかり考えていた。
学級委員になって1週間くらい経った頃だ。
俺と彼女は先生に呼び出され、放課後にプリントを綴じる作業をさせられることになった。
やりたくなかった。
俺は、毎日のように放課後に委員の仕事という名の先生の雑用で残らされていることに対して、不満が募っていた。
作業の途中、少し休憩をしようと思い、手を止めた。
彼女が作業している様子をなんとなく見ていると余計なことが頭に浮かんだ。
「こんなのやりたくないよな」
彼女の手の動きが止まった。この人はこの仕事が好きなんだから、こんなこと言われても不快だろうと思い、俺は必死に弁解の言葉を探した。
「でも、……さんはこういう委員の仕事が好きなんだっけ?」
彼女の視線が下がった。火に油を注いだかと思ったが、彼女は教室の中を見渡してから俺に聞こえる程度の声で話し始めた。
「私、この前『楽しい』とか『好きかも』て言ったよね?」
そう認識している。俺は頷いた。
「でも……あれは、嘘なんだ……」
俺は驚いた。この前、言ってたこととは正反対だ。
そこから、彼女の苦悩の告白が始まった。
「私は別に好きでやってるわけじゃないんだ」
「そうなのか……」
「その時に言ったけど『みんなに推薦される』からやってるだけで正直、やりたくない……」
俺は「やりたくないならやらなければいい」と思った。だが、俺も自らの意思でやっているわけではない。意外な共通点があったもんだ。
「私ってまじめでクラスを引っ張るような人だと思う?」
「うん。そう思う」
「確かに事実そうかもしれない。でも、何回も言うけど私が好きでそうしているんじゃないんだ……」
彼女は言った。
「ほら、自分のイメージがあるじゃない? 周囲からの自分の印象」
「そうだな」
「私はいろいろといい加減なところがあるんだ。だから、本当は委員をやるような人じゃないよ。でも、学級委員をやらないとみんなと関われない……」
そこで彼女の言葉が止まった。
要するに自分の居場所を作るためなんだろう。小学生から自分の居場所を気にする人は少ないかもしれない。だが、集団の中で生きていくには必要なことだ。
この俺もクラスでの居場所を気にしている。だから、彼女の言うことは理解できた。
「そうか……」
素っ気ないが反応だけはした。
彼女ははにかみながら「誰にも言わないでね」と言った。
ここで何も気の利いたことを言えなかった。それを俺は今も後悔している。
確かに小学生だったから仕方がないかもしれない。だが、そこで声をかけるだけで『何か』が変わっていたかもしれない。『あんなこと』にならないで済んだかもしれない……。
お待たせしました。久しぶりの投稿です。(1ヶ月ぶり)
この1ヶ月、いろいろと忙しく、全く書けていませんでした。
一応、毎週投稿を目指しているんですがどうしても忙しいときは止まることがあります。ご了承ください。