表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
彼女は人付き合いが苦手だ  作者: 黒い怪鳥
第1章 彼女はよくわからない
12/13

8話

「待ちなさい」

 渋谷さんの動きを止めたのは月島の声だった。

「あなたに何があったのかは知らない。だけど、これだけいろいろ頼んでおいてドタキャンされるのは腑に落ちないわ」

 そうだな。主に俺が手を回していたけどな。と思ったが月島の真剣な表情を見るとそんな軽口も出せない。

「板橋さんと仲良くなりたいと言ったのはあなた。たぶん、あの人に対して引け目に感じているところとかがあるのでしょう」

 渋谷さんは伏し目がちになった。俺もこの状況でどうしたらいいのか戸惑っている。

 月島は一つ呼吸するとさらにこう続けた。

「だいたいあなたは最初から会うことにためらっていたわ。それでもあなたは会おうとしたい。それでも何か会わないといけない理由があるとかそんなところでしょう」

 そして最後に、私の予想妄想でしかないけど、と付け加えた。

 さらに月島は続けようとする。

「その理由は――」

「これ以上はやめよう」

 これ以上はだめだ。

 月島の予想……、推理とでも言うのかどうかわからないが、渋谷さんの恐れている何かに迫ろうとしている。それは俺たちが踏み込んでもいい領域なのか、いやそうではない。

 渋谷さんが具体的に()()を話さなかったのにはそれなりの()()があるからだ。だから、俺たちがわざわざそれをこじ開けて見るのは渋谷さんにとって忍びないことだろう。だから……、

「やめよう」

「…………」

 だれも話さなくなった。聞こえてくるのは自分の呼吸音だけに感じる。

「いや、その……なんといいますか……」

 口ごもる渋谷さん。

 そして意を決したような彼女は口を開く。

「大丈夫。やっぱり私会うことにする」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ