7話
放課後になった。約束だと風紀委員会の教室で会うことになっている。
「それで二人とも本当に来るわけ?」
うるさい黙れ。なんでそんな煽るようなことしか口にしないんだ。
「なによ……黙ってこっち見ないで……」
めんどうて言うてよく言うけど月島の存在がめんどうだ。
沈黙が流れる。外からは部活に精を出す生徒の音が聞こえてくる。
しばらくすると一人の女子生徒が入って来た。
「失礼します。連れて来ました」
板橋さんが来たようだ。
「ありがとう。東雲さん」
俺は板橋さんを連れて来てくれた5組の風紀委員の東雲蒼さんに礼を言う。
東雲さんは学年関係なく誰にでも敬語を人らしい。肩まで伸びている髪と黒縁の太いフレームのメガネが特徴的だ。
東雲さんが入ると、板橋さんがドアの外から顔を覗かせた。
「あ、入ってもいい?」
「うん。どうぞどうぞ……て、蓮じゃん」
さらにその後ろから蓮も来ていた。
「どうした? 何か用でも?」
「いや、俺も多少は関わったしどうなるのか気になるからさ」
要するに野次馬ね。
「ああ、なるほどね。でも、二人が揃ったら俺たち外で待つよ」
「マジか。まあ、いいや」
蓮は求めていたものが見れないとわかるとつまらなそうに椅子に座った。
その隣には月島。あなたは風紀委員なんだから仕事しなさい。
あとは渋谷さんだけどもう来てもいい頃合いだ。でも来ていない。
仕方がない……。
「月島、渋谷さん呼びに行くよ」
「あんた一人で行けばいいじゃない」
このアマ……。
俺は怒りを押しこらえながら月島のところへ向かうと、無理やり立ち上がらせて引きずってた。
授業が終わり人が少なくなった廊下を歩いていると目の前に渋谷さんを認めた。
「あ、渋谷さん。もう、板橋さんも来てみんな集まってるよ」
俺たちが近づくが微動だにせず何か思料してるようだ。もしもし?
「あの……渋谷さん?」
「……かな……」
「え?」
「……いいのかな」
「『いいのかな』?」
意味が分からずつい聞き返した。
「うん」
一体どうしたものだろうか。全く何を言いたいのかわからない。
「えっと……、とりあえず風紀委員の部屋来てもらえるとありがたいんだけど……」
渋谷さんは何かを諦めたような顔をしてる。
「ごめん。せっかく準備してもらったのに会うのは無理かも」
渋谷さんはただ怖気付いてるだけとは思えない様子だ。そんな顔を見てるとどうしても文句は言えない。
渋谷さんは「それじゃあ……」と言って踵を返そうと――「待ちなさい」
できなかった。
彼女を引き留めた声の主はあまりにも意外な人物だ。