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注:この物語にでてくる知識は嘘ばっかりです。信じたままでいると社会生活に重大な支障をきたす恐れがあります。お気を付けください。



小説自体書くのはじめてです。

一応なろうのマニュアルや、ネット小説とは…といったサイトを覗いてみましたがいろいろ抜けはあるかもしれません。


一話当たりの文字数とか、段落数だとか、誤字・脱字・誤用の他にも気になることがあったらぜひコメントください。


ではこれから長いお付き合いになることを願って、よろしくお願い致します。

前世…転生の存在を肯定し、前提としたうえで今生より前の人生のこと。


転生…死後に別の存在として生まれ変わること。その際、一般的にその肉体・記憶・人格は継続されない。


デジャブ…既視感。未体験なのに、すでにどこかで体験したことがあるように感じられること。


(wikipedia一部抜粋・改変)




◇◇◇


 1 ぼくには前世の記憶がある



「支度できたー?ご飯食べる時間なくなるわよー」


 どこかのんびりとした母の声が聞こえる。


「いま行くー!」


 もう一度全身をくまなくチェックしておかしなところがないか確かめる。


 さて、ぼくという人間を理解してもらうにあたっていくつか知っておいていただきたいことがある。

 まず、ぼくには前世の記憶があるということだ。といっても、ふとした瞬間に見知らぬ情景がダブってみえたり、幼少であるぼくにはまだ早い知識を有している程度のことなので、現世においてなんら支障はない。


 はじめてそれに気付いたのは確か6歳の頃だったか…ずいぶん戸惑ったものである。だがもう今生の家族には伝えてあるし、そのうえで母も父も姉もぼくを受け入れてくれている。なんともありがたいことである。


 そして、もっとも重要なのが…よく覚えておいてくれたまえ、ぼくは、誇り高きムタイの戦士である、ということだ。


 正確に言うとそれは前世でのことなのだが、今もムタイの戦士の心を忘れていない。雨が降ろうと雪が舞おうと嵐がこようと砦に立ち続けた記憶が脳にしみついている。どんな時も揺らがない、陰ることのない太陽を胸に宿した益荒男、それがムタイの戦士である。


 ぼくの前世に関する記憶はひどく、曖昧である。前世の家族や友の顔も名前も全く思い出せない。だがぼくがムタイの戦士であったこと、ムタイの戦士たちはみな勇猛で果敢であることだけは確かである。


「こたろ!はやく!こんな日に遅刻とかやめてよー」


 おねえの声がぼくを呼んでいる。紹介はこのくらいにしておいて、最後にもう一度忘れ物がないか確認しよう。




湯峯幸太郎 Lv1

クラス ビギナー

HP/MP   10/10

SP       20



Eおろしたての丈夫な学ラン・上

Eおろしたての丈夫な学ラン・下

E使い込んだ靴下

Eピカピカの校章


Eお古のスクールバッグ(4/30)

丈夫なふでばこ

丈夫な下敷き

分厚いメモ帳

きれいなクリアファイル




「おっけい。かんぺき!」


 真新しい学ランは独特な匂いがする。ノリの匂いだろうか。ん、もしかしてうちのタンスの匂い?

 東第二中学校の学ランは他の学校のより丈夫なんだ。家から近いってのも大事だけど、実はそれが東第二中学校を選んだ決め手だったりする。防具の充実は常識だよね。


 靴下も新しいのにすればよかったかな。でもお気に入りなんだ。肌触りがいいし吸湿・吸水性がなんたらって、鑑定スキルもってないから見れないけどたぶんAGI(速度)上昇ボーナスついてるんじゃないかな。


 で、お古のスクールバッグ。どうせSTR(腕力)足りなくてたいした武器持てないし、なんでもいいやって思ってたらおねえが新しいスクールバッグほしいって言うから。そのままお古がぼくにまわってきたってわけ。インベントリの空きはあと26あるけどどっちにしろぼくのSTR(腕力)じゃまだまだ使いようがないな。


 ちなみに丈夫なふでばこは「象に踏まれても大丈夫♪」と謳っていたので即買いした。きっと高い耐久力を持っているにちがいない。まあいざというときのための保険である。丈夫な下敷きも同上。


「おいこら、こたろ!」


 慌てて階段をかけおりる。どうやら結構待たせてしまったようだ。おねえの怒った顔を見ながら香ばしいトーストにかぶりつく。


 湯峯真美、あだ名はまみもみ(ということを隠そうとしているけれどぼくは知っている。)最近は色気づいてきて髪をカールさせちゃったりなんかしている。でも不器用だからどうみたってただの寝ぐせにしかみえない。ぼくはそのまんまのストレートヘアのおねえのがかわいいと思っている。


「忘れ物はないか?」


 いつものこの時間だともう出ているはずの父がいる。きっと今日はぼくのために残っていてくれたのだろう。


「ないよ。戦いに出る前に装備とインベントリをチェックするのは当然のことだからね!」


 父の表情が満足気なものになる。と、同時にふたつ、溜め息が聞こえる。


「はぁ…こたろ、私といる時は修行とかやめてね。これからもその調子でいくつもりなら学校では話しかけないでね。」


「全く、誰に似たのかしら…?」


 大丈夫。今日で道を覚えて次からは修行のために早朝にでるのだから。


「熟練度をあげるために修行は必要なんだよ。明日からは1人で行くから!」


 なぜだかもう一度溜め息が聞こえた。ふと父に目をやるとえらくにこにこしている。


「はっはっは。ほどほどにしとけよ?ほら急げ、そんな時間ないぞ。」


「うわ!行くよ、こたろ。行ってきまーす!」


「行ってきまーす!」


「「いってらっしゃい」」


 父と母の声を背に駆け出す。密かにステップを入れながら姉を追いかける。


「だからやめてって!」


 バレた。


というわけで今日から、めでたくぼくは中学生になります。




◇◇◇


 道中ほとんど修行する隙はなかった。さすがおねえ。きっと索敵サーチや直感の適正が高いのではないだろうか。

 おねえの潜在能力はなかなか高そうである。彼女ならムタイの小隊長くらいまでは狙えるだろう。

 将来彼女が進学先に悩むことがあれば、ぜひムタイの戦士になることをおすすめしたい。


「道おぼえられた?」


 いくつかよさそうなダンジョンを見つけた。しかしこんな街中でよく堂々としていられるものである。うまく日常に擬態しているようだがぼくの目は誤魔化せない。

 いずれレベルがあがれば挑むつもりである。まだぼくは地図作成系のスキルを持っていないので記憶に頼るしかない。脳内のメモにしっかりとダンジョンの位置を書き留めた。


「ねえ聞いてるの?やっぱり一緒に帰ろうか。」


 いやいや、そんなことしたら修行ができないじゃないか。


「大丈夫!1人で帰れるよ、ありがとう。じゃあね!」


「うーん…心配だけど。じゃあね。」


 おねえの後ろ姿を見送る…やはり寝ぐせにしかみえない。ま、シシュンキ(思春期)ってやつだろう。

 あるよね。いくら切れと言われてもかたくなに切らない前髪だとか、えりあしだけちょろちょろのばしたりだとか。


 ちなみにぼくはツーブロック(坊ちゃんカット)ってやつだ。耳に少しかかるくらいの長さでカットし、それより下、内側の部分は刈り上げている。髪を耳にかけたり、結んだりすると大分イメージが変わるらしい。

 とてもおしゃれな感じだけれど、女の子にモテたことは一度もない。別に気にしてなんかいない。


 これでも昔はのばしていたのだ。というのも、ムタイの戦士はみんな髪がながいんだ。部隊長より上の役職になると専用の髪飾りがもらえるし、なにより首の後ろを保護する役割もあるからね!


 で、もちろんぼくはムタイの戦士にふさわしく髪をのばし続けてたんだけど、テレビのアイドルに影響された母にばっさりいかれてしまった。のばしていた反動かそのままガッツリ刈り上げされて、それ以来俗に言うロン毛(死語…?)ってのは禁止されている。(可愛げがないのは駄目なんだそうだ。)


 そのとき切った髪はもちろんいつか何かの魔法具の触媒にするために大切に保管してある。といっても、魔道具技師の知り合いはいないのでまだまだ先の話だが。




◇◇◇


 さてさてさて。

 ゆっくりと教室を見渡す。だいたいは同じ小学校から上がってきた奴らで、ちらほら見えるのは知った顔ばかりだ。

 そんななか知り合いがいないのか、もじもじキョロキョロしている奴らがいる。特にそいつらをよぉく観察する。


(ふむ。あまりピンとこないな。見ただけじゃ分かんないや。)


 ぼくはこの学校で何人か仲間パーティーをつくるつもりだ。やはり、ダンジョン攻略にはパーティーを組んだほうが効率がいい。それにどう考えても1人でいくつものスキルを極めるのは無理だろう。ぼくは器用貧乏になるつもりはない。


 いまのところパーティーはぼく1人だ。小学校のときの仲間は学年が上がるにつれて何故だかみんな抜けてしまった。勉強だとか、部活だとか、どうやらダンジョン攻略よりも熟練度上げを重視しているようである。


(別に最初から強くなくたっていいんだ。一緒に成長していけばいいんだから。)


 と、じろじろ見過ぎたのだろうか、睨まれてしまった。名札には『白石』とある。白く抜けるような肌が眩しい、ほっぺたが柔らかそうな女の子だ。ふと、雪のように白い大福もちが食べたくなった。


(だから白石って名前なのかな、なんつって。)


 なんとなくINTが高そうな雰囲気がある。せっかくなので情報収集につとめよう。あわよくばステータスを見せてもらえるかもしれないし。


「おはよう!」


 ……目が合っていたにも関わらず返事はかえってこなかった。きっと人見知り屋さんなのだろう。


「君、魔術使える?」


 失敗した!視線をそらされ体の向きまで変えられてしまった。普通は自己紹介からだろう。ついつい気がせいてしまった。


「あのぼく…」


 なぜか身体を小刻みに震わせている彼女は目を合わせてくれない。


「席つけー。」


 名誉挽回しようとしたところで先生がきてしまった。彼女はまだ震えている。


 山井茂と名乗ったその教師は、柔道でもやっているのだろうか?首は太く、服の上からでも分かる筋肉が彼の力の強さを肯定している。高いSTR値を持っているのは間違いないだろう。


 だが彼はパーティーに誘えない。きっととっくにノービスクラスは卒業しているだろうし、もうレギュラークラス、もしかしたらシニアクラスくらいなんじゃないかな?ぼくみたいなビギナークラスではとてもでないけど声をかけられない。


 それにあまりにレベルに差がありすぎるとぼくら(予定)はいつまでたっても強くなれないし、おんぶにだっこってのはあんまり気分のいいものじゃないからね。





 HRに関しては特にどうということもない。中学生としての心構えだとか、授業の種類だとかの説明と、あとは必ずどこかのクラブに入らなくてはならないらしい。


 ひととおり見て回ってから一番ぼくのためになるものを選ぶつもりだ。やはり運動系のクラブだろうか。必要なスキルを効率よくバランスよくのばしていけるようなクラブが望ましい。


(やっぱぼくは火力担当かな。まあそれも仲間のスキル次第だけど。)



「今週めいっぱいまでゆっくり見学、体験して来週までに入部届けだせよ。じゃあ今日は解散!」


 考え事をしている間に説明は終わっていたらしい。さっそく立ち上がったぼくはちらりと白石さんの方に目をやったが彼女は小走りで行ってしまった。



 

 仲間集めはなかなか難渋しそうである。




幸太郎は前世の経験によって、皆が自分と同じようなステータス表示機能を持っていると勘違いしている。皆は、幸太郎が中二病だと勘違いしている。そういうお話。


幸太郎が実は現実と妄想の区別のつかないうんぬん…とか実は二重人格うんぬん…といった鬱展開はないのでご安心を。



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