双子の弟と間違えられたようです
初投稿です。完結させられるか分かりませんが、読んでいただければ幸いです。
俺、小林幸太郎は机に向かって明日のテストの勉強をしていた。いや、するふりをしていた。
勉強、だりーな。
明日のテストなくならないかな。
化学の教科書は見れば見るほど眠気を誘う。
ちょっとだけ、寝ようかな。
でも、勉強しておかないとケンにまた負けちゃうな。
ケン、憲次郎は双子の弟だ。今は風呂に入っている。
ケンは俺よりもちょっとだけ成績がいい。
俺よりも物言いがきつい。でも、イヤなヤツじゃない。
外見はそっくり。双子だしね。
今度のテストこそ、ケンよりもいい点数をとろう。
毎回そう思うけど、ケンにはなかなか追いつけない。
教科書の上に頭を載せて目を瞑る。
眠い。でも勉強しないと。明日のテストが・・・
でも眠い。う~ん・・・
そんな葛藤をしていたら、頭は動いているのに体は動かない、まるで金縛りのような状態になった。
え?マジで?金縛り?お化けとか出てきちゃうの?
ダメなんだけど。俺、そういうのダメなんだけど。
焦って目を開けようとするけど、まぶたは重い。
ケン、早く戻ってきて俺を起こして!
そう思っていたら、近くから声が聞こえた。
「こいつじゃね?」
マジで、お化け?
「それは双子の兄だ。」
「瓜二つだな。紛らわしい。」
お化け(?)はケンを探しているらしい。
「こいつでいんじゃね?」
「ダメだ。姫を泣かせた罪は本人に償ってもらう。」
罪?ケン何かしたの?お化けに祟られるような?
謝ったら許してもらえるかな?お化けは怖いけど祟られたり呪われたりするのはイヤだ。
それが自分じゃなくてケンだとしてもイヤだ。
何とか目を開けて、お化けに事情を聞かなくては。謝って許してもらえるのであれば、ケンに謝らせなくては。
でも、目を開けようとしても、なかなか開かない。金縛りだしね。
「そんな大差ねーよ。こいつにしとこうぜ。」
「いや、ダメだ。本人でなければ、意味が無かろう。」
「大丈夫だよ。ばれねーよ。」
え?俺、ケンの代わりに呪われちゃうの?
体を動かそうと焦っていると、右目が無理やりこじ開けられた。
「馬鹿。目じゃなくて鼻だよ。それに、そいつはダメだ。ばれるばれないの問題ではない。」
「いんだよ、こいつで。こまけーヤツだな。」
焦点が合ったその先には、人差し指ほどの小さな人が二人。
お化けじゃなくて小人?
「ちょっと待って。」
目をこじ開けられたからか金縛りは解け、動くことができた。
勢いよく体を起こしたからか、目をこじ開けたほうの小人が尻餅をついている。
「何をしようとしてたの?っていうか、ケンが何をしたの?」
小人たちは呆然と俺のほうを見ている。
「っていうか、君たち何者?何をするつもりだったの?」
小人たちはまだ固まっている。
ちょっと強く言い過ぎた?
「ゴメン。君たちの話聞こえてたんだ。君たちは何者なの?ケンは何か悪いことをしちゃったの?」
尻餅をついた小人を起こしてやりながら今度はやさしく聞いた。
「お、起きやがった。」
「目を覚ましてしまうとは。」
小人たちの想定外だったらしくひどく動揺しているみたいだ。