表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
43/43

エピローグ


 その日、タカムラは昼下りの秋の陽射しの中、もうすっかり様相の変わってしまった千年の都を見下ろしていた。

 側で白い猫が心地よさそうに目を細める。

「──満足そうだね、マチ」

 タカムラは面白くもなさそうな顔で、永い付き合いの相棒に訊く。

「いま何を考えていた?」

 猫は素軽く宙を蹴ると、タカムラの目線の位置まで跳んできて、上機嫌に答えた。

「いやー、いいことしたなーあたし、って」

 そんな猫の云い様に、ふんと鼻をならしたタカムラが腕を組む。

「あの手布を手渡した件だけで20年の労役の延長だぞ……」

「またまたそんな細かいことを……」

 人の姿に化身したマチが、愛想のよい苦笑を浮かべて返した。そして正に猫撫声で訊く。

「──今回のこと、全部全部でどれくらいになったの?」

「220年といったところかな」

「……たったそのくらいで……今さら、じゃない?」

 そう言うマチだったが、その声の響きの中に申し訳なさも滲んでもいる。

 マチの、おそるおそる向けている視線の先で、タカムラは観念したように、しかし表情を変えずに応えた。

「まあ、確かに今さらではある……」

 マチは、ふっと和らいだ表情でタカムラを見上げた。

「ね、タカムラ──」 マチはもじもじと云った。「やっぱりタカムラは優しいね」

 今度こそタカムラは、勘弁してくれと云うふうに、そっぽを向いてしまう。

 そんなタカムラにマチは細い身体を、そっと預けて面白そうに微笑んだ。



                             おしまい、です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ