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序章

 夕方の空に入道雲が浮かんでいる。ツクツクボウシの悲しげな声に混じって、カラスが鳴く。帰り道を急ぐ僕らは、ヒマワリ畑の一本道を、四人でかけっこした。

 帰る家が近づいてくると、ふいに、倉田が立ち止まった。僕らも足を止めると、彼女は言った。

「大人になっても、またこうして遊べるかな?」

 お転婆な倉田らしくない寂しげな声に、面食らったのだろう。お調子者の相川が、わざとおどけた声で言う。

「どうかな、俺、将来は総理大臣になってる予定だから、忙しくて遊んでる余裕ないかも」

「相川くんがその夢を叶えられるかどうかはさておき、大人になったら皆、この村を出てばらばらになっちゃうかもしれないよね」

 倉田が苦笑で返す。と、俺の横でひらりと、黄色いスカートが翻った。

「じゃあ、タイムカプセル、埋めようよ」

 彼女の提案に、倉田も相川も、俺も、そちらを振り向く。彼女は、はにかみ笑いで言った。

「大人になったら掘り返しにくるって、約束しよう。どこにいてもなにをしてても、その日は必ず、四人でここに集合するの。そうすれば、また会えるでしょ?」

 真夏の夕焼けが彼女の頬を照らす。こだまする蝉の声、夏の匂い。あの日の君の笑顔は、やけに脳裏に焼き付いて消えなかった。

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