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トレーニングやめたら“妹”を卒業しちゃいました!

作者: しろかえで

この作品は「なろうラジオ大賞6」応募作品です。

 両親が亡くなり天涯孤独となった私を救ってくれたのが遠縁の“お兄”だった。


 お兄は私が高校でもレスリングを続けられる様に関係各所を説き伏せ、自分のアパートに住まわせてくれた。


 こんなにも心を傾けてくれた人の事を好きにならずに居られようか?!


 一緒に住むのはあくまで“兄”と“妹”だから。決して“男女”の理由では無いと世間に示さなければお兄に迷惑が掛かる。

 この三年、私は自分の恋心を胸にしまい込み、“アスリートの鎧”を自らに課した。

 鏡を見るたびに自分の“乙女心”が怖気づく様に……



「私が卒業したらお兄がお嫁さんもらう番! でなきゃ安心して独立できない!」と言う私の声に押されてお見合いをし、結納まで漕ぎ着けたお兄が買って来た指輪のケースがテーブルの上にある。


 例え鏡に映るシルエットが逞しくても

 私だって心は普通に女の子


 思わずケースを開けてしまい、繊細な細工が施されたエンゲージリングに目を奪われた。


 私の大切なお兄は、これをフィアンセさんに渡すんだな……


「私はお兄から指輪は貰えなかったけれど……この三年間、惜しみない愛情をたくさん貰えたから」

 と心の中で何度も繰り返していたら、別れがもっと辛くなりジャージの裾を涙で汚してしまった。



 私がトレーニングの()の字もせずに、家の中がしんとしているので気になったのだろう。


 お兄がひょい!と顔を覗かせた。


「へえ~指輪に興味があるのか?!」


「そりゃあるわよ!」


「じゃあちょっと着けてみたら?!」


「いいの?」


「別に構わんさ。まだ、刻印を入れたわけじゃないし」



 左の薬指に着けて陽にかざすと、この世の物と思えないくらいに輝いて見える。


 この先、この指に指輪が飾られる事があっても、こんなにも美しく輝く事はないだろう


 ありがとうお兄! 最後まで素敵な想い出を私にくれて……


 顔を背けてそっと涙を拭う……


 あれっ?!


 えっ?!


 マジ!!??


 抜けない!!


 指輪が~っ!!!


 少し小さいかなとは思ったけど……スッ!と入ったのに!!


 抜けない!!!



 どうやっても抜けない指輪にオロオロしている私を見て、お兄は「指輪ホイホイだ!」と大笑いした。

「何とかして!!」と泣きつくと

「ブライダルチェックをしたら私は()()()で……子供を持ちたいというご期待に添えそうにありません」との婚約破棄の電話を掛けてウィンクした。


 苦労して抜いた指輪は今も私の左の薬指で輝いていて……その裏には外ならぬ“指輪ホイホイ”の日付が記されている。






昨日とはちょっと違った兄と妹のお話でした。


こちらは“ほのぼの”でしょ?!(^_-)-☆



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