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俺の名前はラファエル・レオン。
気が付いたらポルトガルにいそうな名前の子供になっていた。
齢は10歳になる。
名前にも意味があり、ラファエルと言う名にはラファエル領、つまり領地を表している。
察しの良い方はお気付きかもしれないが、領地の名を冠するということは領主の子ということでもある。
将来的に息子である俺に譲渡されるであろうこの領地、はっきり言って要らないのだ。
ラファエル領はこの世界でも日本のガマ口県並みのど田舎なのだ。
特徴としては王国の1番端にあり3方が山に囲まれた立地で海が近いというのとダンジョンがあることだ。
ガマ口県との違いはダンジョンのあるなしと魔法がある世界ということだけだ。
ちなみに俺は魔法が使えない。
前世では賢者になったはずなのにおかしな話だ。
俺は学んだのだ、クソみたいなど田舎で役人みたいな生活をするよりも、首都の大都市でリーマンをする方が絶対楽しいと言うことに。
なので毎日のように金色の髪をした母親である、ラファエル・リーンに直談判をしているのだ。
「母上、弟か妹が欲しいです。」
「そうね〜。」
毎度これである。
色良い返事を貰えたことは一度もないのだ。
物心ついた時から毎日言ってるのに一向に子供が出来る気配が無いのだ。
と言うより子作りをしてる気配すら無い。
もしや、この母親は弟か妹が出来たら長男である俺が領地を即捨てるということを感じとってるのかもしれない。
「レオンちゃんは毎日同じこと言うのね〜。」
「母上が子供を産んでくれさえすれば何も言いませんよ!俺が死んだら領地を継ぐ子がいなくなって父上も困り果てますよ!いいんですか!領主夫人の勤めを果たすべきです!」
ここは攻め時だと捲し立てる様に話す。
「レオンちゃんはしぶといし図太いから大丈夫よ〜。絶対に死なないことを保証してあげるわ〜。」
この母親、俺の話を聞く気が無いのだ。
このままだと田舎の領地を継ぐことになってしまう。
それでは困るのだ。
「母上、私は重い病気を患ってしまいました…。この国の首都であるサリヴァで毎日の様に遊び呆けないと治らない不治の病です。もう毎日が辛くて夜しか眠れません…。」
最終手段、泣き落としである。
「そうね〜…。サリヴァにある学校に通ってみるとかどうかしら?ママも若い頃は学校に通ってたのよ。古い知り合いもいるし、推薦も出来るわ〜。」
お!これはいけるかもしれない。
何か理由を付けて首都から帰らなければ領地を継ぐことも無いだろう!
「分かりました!母上!推薦をお願いします!今すぐでも行けます、というか今すぐ行きたいです!」
「分かったわ〜。ママの知り合いに手紙を出すからそれの返事が来たら行ってきなさい〜。」
やったぜ。
バカな母親だ!息子はもう一生帰ってこないのにな!
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「どうせロクでも無いことを考えてるんでしょうけど、地獄を見せてあげるわ〜。ママが卒業した魔法学園は相当厳しいことを知らないようね、ふふふ。」
その日のラファエル領の執務室で金色の髪をした魔女が笑ってたり笑ってなかったりしたとか。