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幼馴染と彼女の物語  作者: だいちき
6/6

6話 決別

最終話です。

日間ランキング最高2位までいけて感謝です。


「・・・・別に急ぐ必要は無いよな」


 美優の家に約束した9時に間に合わない場所にいる匠真は、あの女のために慌てる必要は無いため、ゆっくりと歩き向かい約束の時間は過ぎていった。


 約束の時間になっても匠真が歩いて来る姿が見えない美優は部屋の窓から眺め待っていたものの、我慢ができなくなりずっと持っていたスマホを操作し電話をかけた。


 歩いている中でスマホが着信で震えているのを知りつつも、相手が美優だと思っている匠真は気にすることなく歩き続けスマホが静かになり美優の家まであと数十メートルの場所で立ち止まり電話をかけた。


「もしもし、たくちゃん!?」


 呼び出しコールが鳴ったかどうかわからないほど早く美優の声が聞こえるも、遅刻に煩い彼女の声に怒った感情は含まれておらず、普段と変わらないような声色だった。


「・・美優? 悪い、あと数分で着くから」


「うん、わかったよ。待ってるね、たくちゃん」


「ありがと、美優・・」


 そう告げた匠真は通話を終わらせて歩き、先にあるT字路にあるカーブミラーに小さく美優らしき姿を見つけ、そのまま右に曲がると美優が家の前で立っていた。


 薄いピンク色のシャツに黒のハイウェストデニムのミニスカート姿の美優は匠真が姿を見せると、笑顔で駆け寄って来た。


「たくちゃん!」


「おはよ、美優。遅くなってマジでごめん」


「大丈夫だから・・・・早く行こ?」


 風が吹き抜け美優から香るシャンプーが普段より強めに感じることで、家に帰ってから急いでシャワーを浴びたんだな、と匠真は苦笑いする。


「たくちゃん?」


「いや、可愛いなって思ってさ」


「ふふっ・・ありがとう。たくちゃん」


 褒めてくれたことに喜ぶ美優は、匠真の左手を握る。


「さっ・・行こうか?」


「うん!」


 触れたくなかった匠真だったが、不意を突かれたため拒否ることができず我慢しながら、美優との最後のデートをどうやって終わらせるかを考えながら歩いていたせいか、美優の話を微塵も聞いていなかった。


「・・でね・・・・たくちゃん? 話聞いてくれてる?」


「・・ゴメンゴメン。つい、デートプランの確認をしてたから」


「もぅ・・考えてくれてるのは嬉しいけど、今は目の前にいる美優を見て欲しいな?」


「もちろんだよ、美優。俺はずっと美優だけを見続けてきたんだから・・な」


「う、うん・・美優もだよ」


 普通に嘘をつく美優に匠真は心の中で慎吾に夢中だったろ? と思いながら、握っていた手をギュッと優しく握り笑顔で応え歩く。


「・・・・あっ・・第二公園だ。なんか、懐かしいね美優」


「うん、そだね〜小学生の時は、いつもみんなで遊んでたもんねー」


 2人は公園の入り口前で立ち止まり、あの頃を懐かしむように公園を見渡しているように見えるも、さっきまでここに居た匠真は、あのベンチで横たわっている慎吾の姿を見つけるも知らないフリをしていると、美優が何かに気付いたようだ。


「・・・・あれ? あの自転車・・・・」


 ポツリと呟く美優に匠真は、朝まで居た家に置いてあった自転車だろ、と思いながら美優に声をかけた。


「美優、どうしたの?」


「あのね、たくちゃん。あそこのベンチにある自転車なんだけど、見覚えない?」


「自転車? ん〜自転車は詳しく無いからなー」


 そう惚けていると、美優は前へと動き、繋いだ手が離れてしまう。


「・・なんだろ・・なんかすごく気になるから見て来ていい?」


「えっ? 自転車見に行くって、これからデートだよ美優?」


「うん、だけど・・ちょっと待ってて! たくちゃん、ごめんね!」


 美優は自分より慎吾を優先するんだなと思いながらも、見つけた自転車へ駆け出す美優の背中を走らずに歩いて後を追う。


「・・慎吾くん!?」


 気になる自転車を見に行った美優は、近くのベンチで横たわっているのが慎吾だと気が付いたようで名前を呼びながら駆け寄りベンチ前で膝をつく姿に笑いを堪えながら匠真は遅れて辿り着き、感情がバレないように深呼吸してから口を開く。


「・・し、慎吾!? おい、大丈夫か慎吾? 何があった!?」


 慎吾の容態を知らない美優は心配する素振りを見せながら彼の右腕を容赦なく持ち上げたことで、激痛に襲われ意識を取り戻した慎吾は目を見開き大声を出しながらもがき暴れた。


「触るな! 離せ!!」


 慎吾に怒鳴られた美優は暴れられた拍子に姿勢を崩して尻餅をつきながらパニックになり、涙を流す慎吾にどうすれば良いかわからず触れようとするも触れられず、両手が宙を泳いでいた。


 美優の予想外の行動で慎吾が意識を取り戻してくれたため、匠真は痛みで顔が歪む慎吾の視界に自分が入るように移動し、しゃがみ込む。


「・・よう、慎吾。週末の公園で野宿する趣味なの?お前」


「・・くっ・・たく・・ま・・ってめぇ・・お前・・お前のせいで・・」


「はい、そこまでー。あとは、寝取ったその女に介抱してもらえな?」


「えっ? たくちゃん?? なにそれ?」


 匠真の言葉に驚き振り向く美優は、視線すら向けてくれない匠真をそのまま見つめている。


「美優・・いや、ビッチさん。もう二度と俺に関わらないでくれな」


「・・ちょっと待って! いきなりどうしたの!? たくちゃん??」


 美優の理解していない表情を見ながら匠真は、右腕を左手で庇っている慎吾を一瞥しながら自分のスマホを操作して、慎吾のスマホ画面に2人がやりとりしていたメッセージを撮影した画像を見せた。


「・・なぁ、コレの言い訳ぐらいなら聞くけど?」


「・・・・ちがっ・・違うの! ソレは・・」


「へぇ・・コレも?」


 ミーティングを言い訳にしたことと部活を途中でサボって保健室へと会いに行くメッセージを美優に見せたことで、明らかに動揺し訳のわからない言葉を発し纏わりつこうと手を伸ばす美優を匠真はサッと離れた。


「慎吾を触ったその汚い手で、俺に触ろうとするな!」


「たくちゃん・・」


「慎吾に触れたその口で、俺の名前を呼ぶな!」


「・・・・」


 匠真に拒絶され距離をさらに取られた美優は、泣き崩れ俯いたまま足元の砂をギュッと握り締め震える。


「・・・・なぁ、慎吾。俺から美優を寝取った時の気分・・俺に教えてくれよ?」


「・・・・」


 動けない慎吾は黙ったまま匠真を睨みつけたままだ。


「・・もしかしてさ、お前が今朝言ってたセフレって、美優のことだろ?」


「ちがう!!」


 口では強く否定する慎吾だったが、幼い頃から共に過ごして来た匠真は、慎吾が嘘をついた時に見せる左手の指が小さく動いていたことを見逃さずに指摘した。


「嘘ついた時の癖・・まだ治ってないんだな? 慎吾」


「そっ・・そんな癖なんかねーよ!」


「美優も知ってるお前の癖だぞ?」


「・・・・」


 美優からの反応はなく、ずっと俯いたままだ。


「お、俺は・・・・」


「俺に絡んでこなければ、もう別にどうでも良いわ!お前らのことなんてな!!」


 慎吾の言葉を遮り発した匠真は美優と慎吾の2人と絶縁することを告げて、コレで美優とのデートは終わりとなり、そのまま踵を返し公園から立ち去ったのだった・・・・。


 俯き泣いていた美優は去って行く足音の方へ顔を向け、匠真の背中を追いかけようと立ち上がろうとするも足に力が入らず、震えるだけで動けない。


 言うことを聞かない両足を泣きながら何度も叩き続け、痛みを感じる足と共に美優の心も痛め付け、その姿を慎吾はただ何もできず、泣きながら見ているだけだった。


「・・よし、これで綺麗さっぱり終わることができたぞー」


 公園に2人を置いて来た匠真は、ずっとモヤモヤしていた心がスッキリすることができたことで、自然な笑顔を取り戻し、家へと帰って行ったのだった・・・・。




読者の皆様、感想評価&ブクマ登録ありがとうございました。


また、短めの物語を投稿させてください。


箱庭の方は、そのうち投稿しますね。もう待ってる読者様はいないと思いますが

エタないよう投稿します・・笑


新作でNTR系が強くないやつをプロット中なので、投稿できたらなと思っています。


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― 新着の感想 ―
コイツらの後日談が無いからもやもやするかな~
垃圾,没头没尾
[気になる点] タメた分のヘイトはキッチリ解消してほしかった
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