ラストチャンス
「シブーストさん。突然で悪いんだけど、
次の仕事の結果次第で騎士団から追放するね?」
騎士団長のチココがまたフザけたことを言い出した。
俺はこいつの指示通りにありとあらゆる人物を暗殺してきたんだ。
追放されるようなヘマを犯した覚えはない。
「お前はバカか? 特殊部隊イプシロンの隊長である俺を追放したら、
この騎士団は商人ギルドや貴族に潰されるぞ?
騎士団にとって不利な法案を通そうとしたバカを何人消してやったと思っている?」
「君の実力には疑う要素は全く無いよ?
だけど、騎士団内での評判がちょっと悪くてね……
君への苦情の山がこんなに……」
チココ団長が取り出した書類の山に目を通すと、
同僚たちからのありもしない報告が上がっている。
任務達成率100%の俺が仕事でミスしただと!? それにパワハラとセクハラ?
くだらない、あんな奴らに構う暇があるなら紅茶でも飲んでる。
どうせ、俺の実力に嫉妬した上での犯行だろ。
「お前は本当にバカだな? どうせパールヴァティーのでまかせだろ!
大陸最強の騎士団の団長が、こんな素人のでっちあげの1つも見抜けないのか?
群れないと何もできない上に失敗までするクズ共よりも、
一人で暗殺を成し遂げられる俺のほうが遥かに有能だぞ?」
チココは困った顔で返す。
「いくらシブーストさんが有能でもさ、頭数のほうが大事なんだよ。それに、パールヴァティーさんは指揮官としても頑張ってくれてるからね?あと騎士団内でも1、2を争う重要任務も任せちゃってるし、今彼女にやめられたら困るんだよ」
「少女奴隷 (ペット)の子守りが1、2を争う重要任務か?」
「うん、貸し与えたライフルがなければ、回復しか出来なくなるピュアヒーラーの君には到底任せられないほどの重要任務だよ。特に、パールヴァティーさんは回復も武術もできる上級職のパラディンだからさ、君と違って前線に出せるんだよね?
……グダグダ言ってないで、首を切られたくなければ黙って働けよ! ピュアヒーラーにランクアップしやがったクズ! お前に貸し与えた銃は、誰にでも使える武器なんだよ!」
……こいつは銃器が誰にでも使えるものだと思っているのか。ただ引き金を引くだけならば誰にでもできるが、きちんと敵に命中させるにはそれなりの才能と努力がいる。
ピュアヒーラーの才能しかなく農奴として青春を送ってた俺は、偶然あった師匠から託されたピストルを血を滲むような特訓でマスターしたんだ。
「アホか、道具を使えること事態が才能だろう。異界から来た勇者が持ち込んだ“銃”は多少のレベルや職業の差を覆せる威力と精度を持つ。お前みたいな職業主義は終わったんだ」
ガーン
チココは机を思いっきり叩きながら反論する!
「多少の違いと思うのなら、今すぐボクの頭にご自慢の銃をぶっ放してみろ! 戦闘職と非戦闘職の差は天と地ほどもある。それに、君のレベルだってもう頭打ち」
バァーーン
「本当に撃つ人がいるなんて思わなかったよ…… 不意打ちで撃たれたら結構痛いね」
魔力を纏わせただけの拳銃とはいえ、たんこぶ程度の跡しか残せないか。
俺のレベルが30程度で、チココ団長のレベルが自称900以上ということを考慮したら、1ダメージでも与えられたということを祝うべきか。
「いつも“命令通りに働け“とほざく癖に、命令通りに動いた俺を怒る気か?」
チココ団長は不満そうな顔で答える。
「……次の仕事に成功したら許してあげるよ」
「わかったわかった。開けば暴言ばかりが飛び出るお前の口と、口だけは達者なクソビッチを仕事で黙らせるにはどうしたらいい?」
チココ団長の顔が仕事モードに変わり、机の上に地図と書類の束が並べられた。
「今回のターゲットは次期皇帝の第一皇子様と皇帝だよ。悪名高き商人ギルドと仲良しで私腹を肥やすことにご熱心だから、変なこだわりがあるシブーストさんも心置きなく殺せるでしょ?あと、念のために幼い第六皇女も殺しておいてね!」
「殺すに値するクズかどうかを判断するのは俺だ。近寄って「記憶窃視の回復」で見て判断する」
「僕はいつも“全員殺せ”と命令しているんだけど? 命令違反してでも暗殺対象を逃がそうとするのは君だけだよ……、いつも無駄に手間と金を掛けさせやがって!イラつくんだよ!」
こいつも私利私欲で他人の命を奪うクズだった。最早、罪もない人間を殺すことになんの躊躇もないんだろう。
「俺は優秀だからそれぐらいいいだろう?」
「本当に調子に乗らないでよ? 君は優秀で使えるから色々我慢してきたけど、こちらにも我慢の限界があるんだからね? 成功したら君専用の部署と美人秘書をつけてやるから、今回だけはそのくだらない自己ルールをねじ曲げて!」
「金を払えばなんでも出来ると思っているような奴の言葉を聞いていると吐き気がしてくる。3日で終わらせるから、仕事の成功を祝うご馳走を用意して待ってろ!」
「ちょっと!待って!!」
俺は力強くドアを閉めて部屋から出ていった。
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