22 帰国の旅の始まり
予約投稿で書いている途中ならなっていたため、上げ直しました。申し訳ないです。
数日の間ゆっくりと過ごした後、私たちはソフィアと私的なお茶会をしていた。宿にある個室で人払いもしているため、相談するにはうってつけの場所である。
「ここからエスペルト王国までの帰国手段ですか?」
帰国した後は通信では話すこともあるだろうが、直接会って話す機会はそうそうない。そのため、惜しむようにいろいろなことを話した。そして、私たちの帰国についての話題に移る。
「…いい案が思いつかないのよね。ノスタルジア王国まで行くと、グロリアスまでの定期船があるのは聞いたわ。でもグロリアスまで3月、そこからさらに2月はかかるでしょう。かといって行きの本来通る予定だった道でも、4月くらいはかかるでしょうし。…いっそのことグランバルド帝国でも突き抜けようかしら?」
グロリアスは、前に私が冒険者として旅をしたときに目指そうとした街である。獣人の姉弟を助けるために方向転換したため、まだ1度も行ったことはない。
(カルラとガロンは元気にしているかしら…)
私はふいに、カルラとガロンのことが浮かんできた。
「流石にグランバルド帝国を抜けるのは…間諜を疑われて、追われそうですね。」
アルキオネが難しい顔をしながら言うと、シリウスも頷きながら言葉を重ねる。
「それに、こちらから帝国へ入る時に見つかりそうです。」
「飛空船を使ったらどうですか?グロリアスまでなら5日ほどで着くはずですよ?」
私も思考を戻すと、ソフィアが提案してくれた案について考える。
「飛空船を国外や長距離で運用するのは、あまりしないと聞いたけれど?」
飛空船は直進速度は速いものの、機動力という面では優れていない。飛行型の魔物に襲われた場合の危険性が高いはずだ。
「そうですね。けれど、この大陸は魔物が少ない分、飛空船による移動が主流になっていますから、高い操船技術を誇ります。他国ではやらないような操船が可能ですから、海上での低空飛行も可能です。本来船が通る航路上を飛べば、比較的安全ですから。」
飛行型の魔物は高度が高いところを飛ぶため、地面や海上近くで遭遇する可能性は低い。むしろ帆船が通るのだから安全は証明されているようなものだ。
「お言葉に甘えようかしら。」
「是非お任せを。準備に3日ほどかかると思いますが、構いませんか。」
「こちらがお願いする立場ですもの。お願いするわ。」
ソフィアの提案になることにした。
3日後、港に行くと飛空船が停留している。ノーランド王国の紋章が入ったこれは、エスペルト王国やグランバルド帝国が持つものよりも、形がより船に近い。
「これがノーランド王国の水上機型飛空船です。こちらが艦長のハインツになります。」
「紹介預かりました、ハインツと申します。船員一同、安全な飛行を心がけますのでどうぞご安心を。」
ハインツと呼ばれた人が一礼し、後ろに立っている船員達も合わせて礼をする。
「こちらこそ、よろしくお願いします。」
飛空船に乗り込み私たちは冒険者の街、グロリアスに向かう。
飛空船に乗り込んで4日ほど、今日も海上の少し上、大波が来ても当たらない程度の高さで飛んでいた。
「リウも良かったわね。全く酔わないのでしょう?」
「ええ大丈夫そうです。」
シリウスの顔色は良く元気そうだ。前回、船の上にいた様子が嘘みたいに思える。
「良かったわね。兄さん。もし酔ってたらティアに看病されたかも知れないわね。」
アルキオネは、茶化すように微笑みながら言った。
「…流石にティアに看病されるのは辛いから許して欲しい。」
「あら?どう言う意味かしら?」
シリウスの気まずそうな答えに、私も笑いながらが聞いてみる。
「別に悪い意味ではなくてですね!」
3人して笑い合う。今回の旅では、今まで以上にシリウスとアルキオネと一緒にいた。こんな形で軽口を言いあえるようにもなった。帰国した後は、公の場では今まで通りになるが、私的な場では、こういった楽しい感じで過ごしたいものだと思う。
飛空船の旅は安全で順調なもので、昼過ぎには着く予定になっている。天候も晴れが続き、魔物にも襲われなかったため恵まれたといえる。
そしてついにグロリアスに到着した。港に着く前に着水して、船の状態に移行される。そのまま船扱いとして入港した。
ノスタルジア王国及びノーランド王国は、冒険者ギルド支部もある関係上、グロリアスとは定期便で結ばれている。そのため国の紋章を掲げている船は、審査なしで入ることができるそうだ。
桟橋に着けると、錨を下ろして船が止まる。
「ハインツさんお世話になりました。」
「こちらこそ王国を救っていただいたこと、感謝いたします。」
「どういたしまして…ではまたどこかで。」
艦長に別れを告げて、グロリアスの街の中は歩き出す。




