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王女の夢見た世界への旅路  作者: ライ
第4章 無慈悲な大陸と絶望の世界

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21 三国会談

 Sランクに昇格してから2日後、会談の日がやってきた。


 ノスタルジア王国リーガス国王、ノーランド王国カインド国王、エスペルト王国ラティアーナ第3王女の3人だけで行われる。私だけ場違いな気もするが、なるようになるだろう。


 会談自体は、領主間にある来賓用の会議室で行われる。今日はラティアーナ王女として行動するため、護衛にはアルキオネを付けていた。

 領主間までの送迎は、専用の馬車を出してくれることになっている。宿で待っていると馬車が到着したため、2人して乗り込んだ。


 会場に着くと衛兵に案内されて部屋に入る。会談時の部屋には付き人も同行しないことになっているため、アルキオネには別室で待機してもらう。




 3人が集まったところで、会談が始まった。


「では改めて、ノスタルジア国王のリーガス・フォン・ノスタルジアだ。」


「カインド・フォン・ノーランドです。」


「ラティアーナ・エスペルトですわ。」


 お互い直接会話するのが、初めてなため名乗ってからいよいよ本題に入る。


「さて、わたくしが大使として派遣された理由ですが、昨今のグランバルト帝国の影響を考えてのことです。半年ほど前、エスペルト王国はグランバルド帝国からの侵略を受けました。幸い、防衛に成功し停戦状態に持ち込むことができましたが、グランバルド帝国がこれから先にどう動くのかは、予想できません。そのため抑止力として同盟ないしは、友好関係を諸外国と築きたいと、エスペルト王国では考えています。父であるグラビス王から預かった書簡はこちらです。」


 そう言って、私は書簡を渡す。リーガス国王が中身を読むと、どこか納得した表情をした。


「なるほど…最低でも、国家間での通信魔術具の設置と国交の樹立、最高で同盟関係の構築か。確かに、ノスタルジア王国もグランバルド帝国とは、度々小競り合いがおきている。もっとも、海を挟んでいる関係で船同士で砲戦になる程度で被害が大きいわけではないがな。」


 北の大陸の魔力濃度が高くないように、ノスタルジア王国とグランバルド帝国の間の海は、比較的穏やからしい。特定の海流さえ回避すれば、魔物に襲われる可能性は低いそうだ。


「ノーランド王国も海には面していますので、グランバルド帝国の脅威に晒される可能性があります。ノスタルジア王国次第ですが、同盟関係もやぶさかではないと思っております。」


 カインド国王は賛成に近いが、属国である以上、国交に関する内容は宗主国次第だろう。


「ラティアーナ王女殿下。ノスタルジア王国としては受け入れたいと思っている。もちろん、細かい調整も必要だろうから、グラビス国王との協議次第になるだろうがな。…それとは別として助けてもらった恩は、忘れないつもりだ。ラティアーナ王女殿下が困ったときは、ぜひ声をかけて欲しい。国に不利益にならない程度にはなるが、できる限りの助力はおしまないつもりだ。」


 リーガス国王からも前向きな答えを得られたため、ひとまず安心した。お父様次第にはなるが、友好関係を築くことができるだろう。またリーガス国王自らが、私個人に対して助力すると言ってくれたのは大きい。私個人の考えとして、エスペルト王国が人道に反しない限りは、従うつもりでいる。婚約や結婚などは、私の意見を通すつもりではあるが、国政には深く関わるつもりはない。

 とはいえ、私自身を犠牲にするつもりもないため、もし私を消そうとしてくる場合は、隠居するか外国に逃げるだろう。

 いかにせよ、人と人のつながりは大きな力、ひいては財産になる。持てるのであればありがたかった。


「ええ、感謝いたします。わたくし個人としても、できる限り助力しますわ。」


 それから、もう少し話を詰めて会談は終わりとなる。返答の書簡を受け取り、通信用の魔術具も渡したことで、私の大使としての仕事も終わった。


「じゃあ戻りましょうか。」


 行きと同じように専用の馬車で宿に戻る。




 宿に戻るとシリウスとアルキオネにも会談の概要を話した。


「お疲れ様でした。概ね上手くいったようで良かったです。」


「あとは、国王陛下にお任せすれば大丈夫そうですね。」


「ええ、2人もありがとう。ここまで長かったわね…」


 時間にしてみれば3月程度だが、初めての船旅に始まり過酷と言われる東の大陸、魔族との戦闘、最後には龍との戦い…

 とても濃い時間を過ごしたと言えるだろう。


(こっちにきてまだまだ格上の相手がいることがわかった。もしかしたらいずれ戦うかもしれない…その時に後悔しないように、歩き続けよう。)


「こちらにはいつまで滞在するつもりですか?」


 私が内心で振り返っていると、シリウスが聞いてくる。


「そうね…あと数日ゆっくりしてから帰りましょうか。」


 なお帰りについては、行きと同様に歩きと船が主な手段になる。以前使用した転移用魔術具は仕様上の問題で、3人での転移が無理となるからだ。あの魔術具は、固定する方が親機、持ち運ぶ方が子機という形になっていて、子機を破壊することで発動できる。発動させると直径1メートル高さ2メートルまでの円柱状が転移範囲となって入れ替えるわけだ。1度しか使えないため、1人転移させるのが関の山だろう。


 ゆっくりしている間に、帰りの手段は考えることにした。


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