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王女の夢見た世界への旅路  作者: ライ
第4章 無慈悲な大陸と絶望の世界

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19 黒龍を撃て

 私は空を駆けて、火山の近くに浮かぶ黒龍に接近する。試しに銀月に聖属性に変換した魔装を使う。そのまま刀を振るうが刃が弾かれる。


(邪気には聞くけど黒龍に触れた瞬間、魔装が剥がされるわね…)


 黒龍は私を敵と見做したようで、爪を振るってくる。ギリギリで回避して隙間や狙って反撃するが、刃が通らない。今度は尻尾を叩きつけてくるが、後方に跳んで避けた。

 黒龍は邪気に侵されたことで膂力は強化されている代わりに、思考能力が低下していた。力がすごいだけで、動きが単調なため攻撃を避けるのには苦労しない。


(空中戦だと足場の作成に魔力を使うし、空気中の魔力が少ないここで長期戦はしたくないのよね…)


 その後も銀月を振るっていくが、甲殻や鱗の隙間や比較的薄そうな箇所でさえ攻撃が通らなかった。黒龍がブレスを吐こうと口をあけたため、慌てて軌道上から回避する。その直後、膨大な漆黒の魔力が通り過ぎた。

 私は、ブレスによる硬直を狙って夜月を抜刀し、魔力を込めて一閃した。夜月に魔力を喰わせた時の力は、邪気に近いもののため若干散らされるものの、威力をたいして落とさずに斬ることができた。それでも、傷をつけるにとどまるため、魔力抜きにして硬い防御力を誇っているのだろう。

(今回ばかりは剣術じゃ突破できる気がしないわね。黒龍の動きに合わせて斬ろうとしても、私の腕が先に砕けそうだし…どこか一部分でも削れ取ることができればあるいは…)


 私は、直接魔力が触れずに、大威力の攻撃を繰り出す方法を考える。


(加速…炎をブースター代わりにしても、私くらいしか飛ばせないし…その状態で斬り合わせても腕が持たない。私以外…巨大で硬い物質があれば、魔術で飛ばせるかしら?)


 とはいえ空中にいるため、ちょうど手ごろな物が浮かんでいるはずもなかった。考えている間にも黒龍は襲ってくる。手や足の爪、噛み付き、尻尾の叩きつけなど、さまざまな攻撃を繰り出してくる。私は、ひたすら回避に専念して攻略法を考えるのだった…





 その頃、アルキオネは都市の上空で火龍の相手をしていた。風を纏い、空気の足場を併用することで、空中を小刻みに動き回り火龍の数を減らしていく。火龍も数を減らしたことで、焦ったのか複数の火龍が同時にブレスを吐こうとする。


(これならどうかしら。)


 アルキオネは暴風を起こして炎のブレスを逸らすと、剣に風を纏わせてそのまま火龍を斬り裂いた。そして、火龍の周囲に真空の球体を複数生成する。20ほどの真空ができた瞬間、アルキオネは自身に纏わせていた風を解除して、空を蹴って急速で落下した。火龍もアルキオネを追撃しようと下を向くがその瞬間、真空の球体を解除した。解き放たれた真空は、まず中心に向かって空気が流れ込む。火龍も突然発生した流れに吸い込まれそうになり、空気が中心に集まった瞬間に衝撃波が発生しに飲み込まれた。この爆縮によって多くの火龍が落ちていった…




 一方で、地下の広場にはソフィアがいた。聖属性魔術が得意な彼女は戦うよりも治癒のほうが得意なため、比較的安全な場所で怪我をした住民や騎士の手当てを行った。治療が必要な人の手当てが落ち着いたところで、地上の様子を確認するために入り口近くに来ていた。


(最初見たときよりも火龍が大分減ってますわね…ラティアーナ様は、単独で黒龍を相手にするなんて…)


 ソフィアにとってラティアーナは命の恩人でもあって憧れでもある。国は違えど同じ王女という立場。それでありながら、自身の理想のために突き進む彼女のことはまぶしく感じる。


「…どうかご無事に戻りますように。」


 つぶやいた願いは、風に乗って流れていく。





 場所はまた戻り、火山の上空ではラティアーナの黒龍の激闘が繰り広げられていた。


(…銀月を失うかもしれないけど、賭けに出るしかないかもしれないわね。)


 私が考えたのは、魔術で銀月を撃ちだすというものだ。私の身体では、実現できないほどの速度で撃ち出せば、黒龍の防御力を突破できる可能性がある。ただ下手をすれば銀月が耐えられずに、折れる可能性も少なくはない。それでもこの状況を打開するには他の手が思いつかなかった。



 私は刀を振るいつつも魔術の構築を開始する。今回使用するのは雷系統の魔術で2層からなる。

 準備が完了した段階で、斜め上空に跳躍し少し距離をとる。黒龍のブレスを誘発させて、ぎりぎりで避けると宝石を砕いて術式を展開した。

 1層目の術式が、私の前に雷による2本のレールを展開する。そして、2層目の術式が銀月に雷を纏わせる。そのまま出力をあげて電磁力を最大限高め、銀月を射出した。

 レールガンの原理をもって撃ち出された銀月は、音速を超えて黒龍の頭に突き刺さる。

 刀の大きさとはいえ、頭に刺さるとダメージになるらしく、黒龍は悲鳴を上げていた。私はその隙に跳躍して接近し、刺さった銀月を握る。宝石をもう1つ砕いて、銀月を導線代わりにして、剣先に爆破魔術を展開し、内部から爆発させた。

 黒龍が魔力を霧散させるのは、体表にある甲殻と鱗の力のため、体内には影響しない。上級並みの威力を誇る爆発によって、内部から頭に大きな衝撃と傷を受けて黒龍は墜落していく。落ちていく中で銀月を拾い、下に向かって跳躍し抉れた頭部に向かって銀月を振るう。甲高い音とともに更なる裂傷を与えたが、度重なる負荷に耐えられなかったのか、銀月は2つに折れた。


(いままでありがとう。)


 それでも黒龍を倒すには至っていなかった。私は夜月を抜刀すると、最後の宝石を砕いて魔力を喰わせる。そのまま先ほど斬った場所に、夜月を突き刺し…内包された力を解放した。本来は飛ぶ斬撃のようになるそれは、刀から突きのような斬撃を生み出す。


 急所に私が持てる最大火力を連続で叩き込むことで、黒龍は遂に力尽きた。

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