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王女の夢見た世界への旅路  作者: ライ
第4章 無慈悲な大陸と絶望の世界

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9 ノーランド王国を目指して

 崖と滝の窪みに隠れて私達は一夜を過ごした。夜の間に魔物に襲われるということもなかったため、十分な休息を取ることができただろう。

 まだ朝が早いため、ソフィアは眠っている。シリウスとアルキオネに周りの探索に出てもらい、私はテントの外で体を伸ばしながら周囲の警戒をしていた。するとテントの中からソフィアが出てきた。


「ティア様。おはようございます。」


 ソフィアが眠そうにしながら挨拶をする。


「ソフィア様、おはようございます。ゆっくり休めましたか?」


 私は、挨拶を返しながらソフィアのことをよく見る。疲れているだろうけど、昨日よりは顔色も良さそうなため少し安心した。


「おかげさまで、きちんと睡眠をとることができましたわ…それから、改めて助けていただきありがとうございます。捕まった時には、もう希望がないと…帰ることはできないと思っておりました。帰ることができましたら…わたくしにできる限りの礼をさせていただきます。」


 ソフィアは深々と頭を下げて礼を告げた。


「頭を上げてください。私はただ、信念に従って行動しただけですから。後でお伝えしたいことがあります。2人が戻ったら聞いていただけませんか?」


「もちろんですわ。」


 私は、ソフィアに正体を明かしておこうと考えた。元々は、国についてから伝えるつもりだったが、接してみて信用できるしいい人だと思ったからだ。

 詳しい話は全員揃ってからになるため、周りを警戒しつつも朝食の用意をする。


 しばらくして、2人が戻ってきたため朝食を取った。そして皆が食べ終わったタイミングで、話を切り出す。


「さて、伝えたいことは私たちの正体についてです。所要のためお忍びで旅をしているため、魔術具で変装もしています。」


 私はそれだけ伝えると、変装用の魔術具を解除する。私に続いてシリウスとアルキオネも解除した。私は茶髪黒目から金髪碧眼に、シリウスとアルキオネも明るい茶髪へと戻る。


「では改めて、わたくしはラティアーナ・エスペルトと申します。そして…」


「私はシリウス・ルークスです。あとは妹の」


「アルキオネ・ルークスですわ。」


 3人して本名で自己紹介すると、ソフィアが瞠目して小さな声で「エスペルト…」とつぶやいたのが聞こえた。


「っ!?申し訳ございません。エスペルト王国の王族の方に大変失礼なことを…」


「あなたもわたくしも同じ王女なのだから気にしなくていいわ。それに今はお忍び中だから。これまで通り私のことは、ティアとしてよろしくね。」


 同じ王族であっても国の規模によって力関係に差が出てくる。ましてや属国になっている場合、宗主国よりも立場が弱いため外交でも下手にでることが多くなる。


「…かしこまりました。これからもよろしくお願いいたします。ティア様。」


 今のうちに正体を明かしておいたほうが、後々の混乱は少なくなるだろう。また、ノスタルジア王国へ向かう理由についても簡単に説明した。


「ノスタルジア王国への橋渡しは、わたくしも協力させていただきますわ。」


「ありがとう。さてもうそろそろ出発しましょうか。いずれにしても、無事魔族領から出ないといけませんね。」


 ソフィアに感謝を告げると、出発のための準備をする。魔族から逃げつつも無事にノーランド王国にたどり着かなければならない。不幸中の幸いだが、魔族は個の力が強い分、群れをなすことはあまりない。今回も数人の魔族が私達を探しているだろうが、うまくいけば魔族と遭遇せずに逃げることができるだろう。


「ノーランド王国の領地に入る前に、比較的友好な魔族領があります。そこまで行けば…居今よりは事態が好転するかも知れません。」


 魔族も人間と同じように、魔王を頂点にそれぞれ国を統治しているようだ。今いるこの国は、人間に対して敵対ないしは支配下におこうとしているが、ノーランド王国とこの国の間にある魔族の国は、比較的有効だそうだ。国通しでの表立った交流こそないものの、商人たちによる物流は若干あるらしい。油断はできないが、そこまでたどり着くことができれば、今よりは安心できるだろう。

 私達は、目的地に向けて歩き出した。目的地まではソフィアにあわせて基本的に歩きで移動するため、予定通りに行けば隣の魔族領まで8日、そこからノーランド王国まで5日かかる想定だ。




 出発してから6日経過したころ、今まで以上の魔物の大群と遭遇し、足を止めることとなる。


「駄目ですね。この先に複数の魔物の群れがいます。見える範囲でも100は超えているかと。」


 哨戒に出ていたアルキオネが戻ってきて、前方の様子を教えてくれう。今までも魔物の群れに襲われることは多々あったが、せいぜい20頭が関の山だった。魔族は、一定以上の知能をもつ魔物を使役することができる。この先にいる魔物のなかには知能の低いオークやオーガもいるため、魔族によって使役されているわけではないだろうが厄介な状況だった。


「この辺りは、峡谷となっていて1本道が続いてます。迂回するのも難しいですし、このまま魔物を殲滅して進みますか?」


「そうね。魔族が追ってきているのであれば、方向はバレているはず。戦いになれば気づかれるかもしれないけど、迅速に突破しましょう。2人も良いかしら?」


 ソフィアとアルキオネにも確認すると、問題ないと頷き返してくれた。


「今回は、リウがソフィア様の護衛を。私とアキの2人で魔族を殲滅するわ。」


「兄さん、ここはお願いね。」


 ソフィアとシリウスを残して、私とアルキオネは魔物の群れは突撃する。魔物に同士討ちを避けると言った考えはない。混戦になっても戦うことができる一定以上の実力者は群れの中で戦う方が、殲滅することだけを考えるのであれば効率が良かった。


 私の銀月とアルキオネの剣が魔物を斬り飛ばしていく。必要最低限の動作で攻撃を躱し、急所を的確に斬ることで最速で対処していた。相手の動きを目だけでなく、魔力感知や気配の察知も合わせることで、360℃全方位の攻撃に対応する。

 この大陸の魔物は、他の大陸に比べて確かに強い。けれど、理性があまりなく本能だけで攻撃してくる相手ならば、私達にとって群れを相手にして勝つことは難しくなかった。


(私もアルキオネもシリウスも今回の旅で多数の敵を相手取るのに慣れたわね。改めて振り返ると、また一歩成長したわ。)


 しばらくして魔物を全滅させることに成功した。ソフィアとシリウスを呼んで、このまま進む。

 日が暮れて野営し日が明けた翌日、ついに隣の魔族領が見えてきた。しかしたどり着く直前で、魔王の幹部を名乗る魔族と対面するのだった。


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