表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王女の夢見た世界への旅路  作者: ライ
第3章 エスペルト王国の動乱

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

74/498

27 船上の戦い

 海賊たちとの戦いが始まって長い時間が経つ。船内への入り口を護りながら、襲ってくる相手を対処しているが、5隻分の海賊はなかなか減らなかった。海賊もどれだけ犠牲が出ようとも構わないかの如く、決死の特攻をしてきてかなり厄介だ。


「海賊がここまでしつこいとか、聞いてないわよ!」


「そりゃそうだ。俺たちだって、ここまで必死に向かってくるのは初めてだからな!」


 文句を言いながらも屠っていると、他の船員が答えてくれた。最初のころは、甲板上でそれぞれ戦っていたが、今は入り口近くで迎え撃つ形にして切り替わりつつある。


「姫様どうしますか?」


 通信でアルキオネが話しかけてきたため私も通信で返す。


「…私たちは大丈夫だろうけど、このまま戦い続けていたら犠牲が出る可能性が高いわ。仕方ないからシリウスも呼びましょうか。…シリウスあなたもこっちに来て手伝いなさい。もし苦しかったら空を飛んでもいいから。」


 シリウスにも通信で呼びかけると返事が返ってきた。


「…魔槍は目立つのでやめときます。すぐに向かうので、んっ、ちょっとお待ちを。」


 ここまで狭い空間で敵味方が入り乱れていると、魔術による広範囲殲滅は難しい。同士討ちの危険もあるし船に損傷を与えかねないからだ。

 戦い続けているとシリウスもやってきた。


「お待たせ…しました。」


 シリウスは、襲い掛かってくる海賊の腕を握りつぶして剣を奪い、同時に海へ放り投げる。そしてそのまま、剣で複数人まとめて斬り飛ばしていた。船酔いのせいで余裕がないせいか、身体強化をかなりかけていて圧倒的な膂力を持って敵を吹き飛ばしている。動きが雑だが力によるごり押しといえるだろう。


「兄ちゃん強いな!」


「兄さんは冒険者もしてましたから。」


 アルキオネがうまくごまかしつつも海賊を無力化していく。しばらく海賊の人数を減らしているとマイヤー男爵の男の人のほうが出てきた。


「おい、お前たち!俺はマイヤー男爵家の嫡男だ。さっさと海賊どもをどうにかしろ!それから、ロキ。お前は俺たちの護衛だろう。さっさと戻れ。」


 ロキと呼ばれたのは執事の人らしく、海賊を切り捨てると男爵令息の元へ戻っていく。途中、視線があって謝っているのが伝わってきた。

 他の人たちからは非難の目が向けられるが、意外と図太いらしく気にも留めていない。


「あなたは男爵家の嫡男。この場で、どうこうする力はないわ。しかもこの船の行き先はセイン王国。エスペルト王国の貴族が他国でどれくらいの力を持つと言うのかしら?」


 貴族の力は所詮国の中にしか意味がない。私たち王族でさえ、精々友好国にお願いすることができるくらいだ。

 私の言葉に言い返せないのか、口をパクパクさせている。


「わかったのならロキさんを残して下がってくれないかしら?」


「っ!?ロキお前はこのまま戦え。絶対に、船内に敵を入れるなよ!それからお前の顔は覚えといてやる。必ず後悔させるからな!」


 それだけ言うと船内に下がっていった。


「…主が申し訳ございません。」


「構わないわ。それよりもさっさと海賊を追い払いましょう?」


 話していても、海賊はまだまだ襲ってくる。

 船2隻分くらいの海賊を沈めたところで、ついに銃を持って攻めてきた。エスペルト王国ではあまり使われない火薬式の銃だ。イメージとしてはリボルバーが近いが、マスケットを元に改造しているため、弾倉の交換に時間が掛かる仕様となっている。

 海賊たちは船に乗り込んでくると、端によって銃を構えてきた。


「兄さん!」


 アルキオネが呼びかけるとシリウスは、手で口を押さえながら魔術を発動させた。銃は強いが味方が同じ方向にいなければ誤射の可能性が高まるため、自然と集まる場合が多くなる。ただし集まることによって、一定以上の実力者であれば倒しやすい的にもなる。シリウスの起こした暴風は、海賊たちを巻き上げて海に叩き落とした。


「なに!?魔術使いがいるなんて聞いてねーぞ!?」


「今ので半分以上やられた…相手はまだ全員無事だ。っ撤退だ!急げ!」


 3隻分の海賊がやられて魔術による大打撃を受けたことでようやく逃げていく。下手に追撃して決死の特攻をされると面倒なため、逃げる相手には攻撃しないのが鉄則だ。

 そして暁方には、海賊船も見えなくなっていた。


「おかげで助かったぜ。リウにアキ、ティアとロキさんだったか…正直俺たちだけじゃ全滅してたかもしれねぇ。」


「いえ、俺達のっ!?」


 シリウスは限界を迎えたらしく船の端の方は走っていく。


「どういたしまして。兄さんにも後で伝えておきますね。」


 アルキオネは、軽くお辞儀をするとシリウスを追っていく。


「そういや嬢ちゃんもありがとうな。お貴族様相手だとどうにも強く言えなくてな…おかげでスッキリしたぜ。」


「言いたいことを言っただけですから。」


「だとしてもだ。なにか礼をしたいところだが…」


「だったら…次いつか会った時もし困っていたら相談に乗ってください。」


 それだけ言うとお辞儀をして、私も2人の後を追う。




 それからの船旅は、海賊に襲われることもなく平和なものだった。出港してから約2月。遂に、東の大陸の西海岸に面しているセイン王国の港町、パロスポートに到着した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ