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王女の夢見た世界への旅路  作者: ライ
第3章 エスペルト王国の動乱

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23 アクアリス子爵領

 私とシリウス、アルキオネは王都から馬車で数日揺られて、エスペルト王国の東にあるアクアリス子爵領の領都へ向かった。この王国で大きな港を所有する領地は、中央のアクアリス子爵領と南のマギルス公爵領、北のポートクリフ伯爵領の3つ。マギルス公爵領は、軍港として機能しているため商業船の港としては、残りの2つとなる。


 今回の旅では、帝国に知られないためにもお忍びで出掛ける。設定としては、私はいつもどおりただのティアとして、シリウスとアルキオネは友人兄妹ということにしている。


「やっと着いたわね。」


 現在は約5の鐘(10時)が鳴ったころ。馬車から降りた私たちは、背伸びをしながら街の中を歩いていく。


「俺は、船の状況を確認してきます。ティアとアキは、食事処と宿を探してくれ。」


「わかったわ。」


 シリウスが船の出航についての確認と乗船の手続きのために港の方へ向かった。私たちは、船に乗るまでの泊まる宿と

 また、呼び名については平民の名前は比較的短いため、シリウスはリウ、アルキオネはアキと呼ぶことにした。友人らしく見せるために、言葉遣いも変えてもらっている。


(それにしても…ここがユリア先生の故郷。今は当主として頑張っているのよね。建国祭で話した時に領地のことも聞いてたけど、外国の人も含めて人のやりとりが活発ね。人々も笑顔で溢れているし、いいところだわ。)


 その後、街の中を回ってお店や宿の場所を確認する。昼時でもあるため、良さそうなお店をみつけてシリウスを待っていた。


「お待たせしました。船は5日後に出航するそうです。これが乗船時に渡す半券ですね。」


「ありがとう。では、4日はここに滞在ね。」


 海沿いということもあって、海の幸がおいしい。特にお刺身のように新鮮さが必要なものは、王都まで運ぶことができないため、王国内では海沿いの都市くらいでしか食べることができないだろう。


(やっぱりお刺身はおいしいわよね。前世の記憶がある身としては、塩じゃなくて醤油を使いたいけど…この王国にはないし。作りたいけど製法を知らないから外国にあると嬉しいわ。)


 いくら知識があっても作り方までは知らない。特に前世で当たり前に買えていたものは、作ろうとさえ思わなかったからだ。




 昼食を食べた後、宿を4泊とって街を見て回る。水の都といわれるだけあって、街の中にも川や水路があり、清流がきれいな港の活気と自然との調和がとれた都市だ。

 お店を見て回ると、外国とやり取りがあるため、王国や西方連合諸国でも見たことのない品物が多かった。日持ちする輸入した品物は、大半が王都まで輸送される。ただ、輸送にかかる費用が増えるため、珍しい品物や需要が少ない品物は王都でも見ることができなかった。

 やはり、お店を見て楽しむのは旅の醍醐味だろうと思う。

 そして宿に戻ると今後のことを話し合う。


「船の旅は2月かかります。乗船までに必要なものを買うとして…それ以外にはやることはないですね。」


「それまでは、お互いゆっくり過ごしましょうか。」




 それからの4日間は、船に持ち込む買い物や観光をして過ごした。買い物といっても、食事は船で出るため足りない服や日持ちする食糧を買い足しておくくらいになる。あとは、アクアリスにしかない商店や露店に巡って、珍しい品物を見たり色々な人との交流をはかる。


 買い物が終わった後は、シリウスとアルキオネにも休暇を出して、2人にも自由な時間を過ごしてもらっていた。その間私は、日帰りで行ける範囲で冒険者のギルドの魔物討伐依頼を受けて、この辺りの魔物の状況の確認をしていた。国内だと結界の影響のせいか、王都周辺と魔物の強さや種類に変化はあまりなかった。




 そしてついに船出の日がやってくる。


「大きい船ね。木造だけど手入れもされていて、とても大きくて帆も立派だわ。」


「ええ、海洋を渡るとなると、途中嵐に見舞われることもありますし、少ないとはいえ魔物とも遭遇するようですからね。俺たちも乗りましょう。」


「初めての船旅楽しみですね。」


 今回の旅は、お忍びとはいえ同盟締結を目的とする王族としての公務にはなるが、現地に行くまでは観光するなどして楽しむことにしていた。船旅にしても、2月もあれば同乗している人と仲良くなる機会もあるだろうし、色々な話を聞くことができるだろう。


 そして、順番が巡ってきたためついに船に乗り込む。船の上には、既にほかの乗客や乗務員がたくさんいた。

 そして定刻になり、ついに出航する。ここにいる人達でこれから2月の間、船の上で共同生活をすることになる。


 私たちの船旅は、今始まる。

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