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王女の夢見た世界への旅路  作者: ライ
第3章 エスペルト王国の動乱

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14 私とわたくしの怒りを添えて

 シーラに頼んでギルたち男の子も呼んできてもらった。その間に回復魔術を行使して私の傷を治癒する。

 なお、病気に関しては魔術による治療が困難なためルナに対しては手が出せなかった。

 ギルがやってくると今後のことを説明する。


「…本当にそんなことできるの?それにここを出たとしても相手は伯爵。この街にいる限り先はないだろう?」


「伯爵にも罪は償わせるから大丈夫よ。…まぁその辺りは、後で詳しく説明するわ。私のことも含めてね。」


 そういうとなんとなく私が貴族と関係があると気づいたらしく、とりあえず納得はしてくれたようだ。同時に今まで隠していた魔法袋を出現させて武装する。


「それに、こう見えても冒険者でもあるから、素人相手に遅れは取らないから安心して。…さてと、まずはこの首輪を破壊しましょうか。」


 私は魔法袋から魔力入りの瓶を取り出して地面に流す。そして流した魔力に手を当てて術式を構築した。そして、完成した術式に魔力を込めて魔術具の基幹に登録されていた術式を発動させる。

 光が収まると全員の首輪が外れた。


「多分気付かれたと思うけど安心して。何があっても護るから。シーラとギルは逸れた子がいないように見守っててくれると助かるわ。ルナのこともお願いね。」


「「わかった。」わ。」





 全員で隠し階段の方は進んでいく。昨日の件で扉の位置はもうわかっている。私は刀で扉を斬るとそのまま地上へ上がる。

 階段を上がり切ると数人の男たちが来ていた。


「一体どうやっ!?」


 1番近くにいた人の胸を掴んでそのまま投げ捨てる。

 同時に峰打ちでもう1人を黙らせた。まだ無事だった人がナイフを構えて走ってくるが、ナイフを持った腕を掴んでもう1人に投げつける。

 こうして、周りは沈黙した。


「敵はいなくなったみたいだし、行きましょうか。」


 私を先頭にして子供達がついてくる。その後階段を見つけて、地上に上がると領兵たちに囲まれた。


「おやおや、脱走なんて感心しませんなあ。働きに来ていた平民から領主への謀反を起こした罪人になるとは…どうしましょうねぇ?このまま兵たちに捕まるか殺されるか、あるいは不敬罪にしてもいいかもしれないですねぇ。」


「あら?罪を犯したのはあなたでしょう?モーリッド・セプテンリオ。この事が明るみになればあなたは爵位を失い元貴族になる。これ以上、罪を重ねる前に降参すべきでは?」


「戯言を…貴様のような平民の言など誰を聞かぬわ!兵たちとさっさと捕らえよ!」


 領兵たちが武器を構えて近づいて来る。


(伯爵の命令だから兵たちは逆らえないし罪がないのはわかるけど…同時に他の領地か王都に告発してくれたらとも思ってしまう。個人的な感情も含んでるけど、少し痛い目は見てもらうわ!)


 私は周囲の魔力も取り込んで身体強化を行う。

 前方へ踏み込んでその勢いのまま向かって来る兵たちを蹴り飛ばした。子供たちを抑えようと、捕まえようと襲う兵士には魔術による雷撃を放つ。兵たちの中心に着弾した雷は、球状に炸裂して範囲内にいた兵は倒れていく。


「なに!?魔術士だと!兵たちよ、その女を先に倒せ!」


 兵たちが私に向かって来るがやることは変わらない。近づいてきた順番に、殴り飛ばし蹴り飛ばしを繰り返して、遠くの兵には魔術を当てて沈めていく。

 今回は、この後のことをあまり気にしなくてもいいため、普段よりも魔力の消費を気にせずに戦う。

 兵たちが半分以上沈んだところで、貴族の私兵騎士団が出てきた。


「ふむ。伯爵様、これはいったいどう言う状況ですかな?」


「おお、騎士団長!そいつらは平民の反逆者だ!その中の刀を持った女は、魔術士で兵たちでは歯が立たなくての。お主たち頼んだぞ!」


「伯爵は罪を犯しているのだけど…あなたたち騎士団も伯爵に味方するのかしら?」


「ええ、我々は伯爵の私兵騎士ですからな。とはいえ…正直なところあなたと戦いたくないですね。」


「このまま投降することをおすすめしますが?」


「…そう言うわけにも、行きませんので。」


 騎士が剣を抜くと同時に斬りかかってきたので、私も真正面から撃ち合う。身体強化によって強力になった斬撃同士が激突した事で、甲高い音と衝撃が周りに響いた。そのまま、何合か打ち合ってお互いに距離を取る。


「これは…勝てないですね。とはいえあなたも、子供たちを守るために全力を出さないで戦ってらっしゃる。こちらも、騎士団がまだまだ応援に来るでしょう。膠着状態に陥りそうですな」


「いえ、もうここまでです。決着の時がきました。」


 脇から騎士たちが入ってきて子供たちを囲む。そして先頭の2人が前に出てきた。


「我々は、近衛第3騎士団である!領兵及び騎士団は直ちに投降せよ!我々に楯突く場合は、王女殿下への叛逆とみなす。」


 近衛騎士団の登場に伯爵側の兵士たちが動きを止めた。


「っ!?どうして近衛騎士団が出てくるんじゃ!?」


「それは姫様の命によって来ましたから。この状況はどうしましょうか。姫様?」


「モーリッド・セプテンリオは罪を犯しました。ラティアーナ・エスペルトの名において近衛第3騎士団に命じます。モーリッド・セプテンリオは捕縛、他の兵士たちは抵抗しなければ保護しなさい。抵抗するものは、一旦捕縛しても構いません。」


 私は、命令を出しながら変装用の魔術を解除する。これによって伯爵側の兵士全てが降伏を受け入れた。


「モーリッド元伯爵、あなたがわたくしにしたことには、目を瞑りましょう。けれど…子供たちの件、違法薬物の件は償ってもらいます。」


 伯爵も諦めたようで、騎士団に連行されていった。

 また、騎士団に連れてきてもらった医者にルナのことをお願いする。


「シリウスとアルキオネもご苦労様。いいタイミングね。」


「いえ、姫様のためですから。」


「どこまでもかけつけます!」


 この2人は、近衛第3騎士団の団長と副団長で18歳の双子の兄妹だ。

 団長のシリウス・ルークスは、魔槍を扱う騎士で副団長のアルキオネ・ルークスは剣と魔術を扱う騎士で、私の筆頭護衛でもある。私が冒険者の旅から帰った後に、何度か模擬戦をしていたら何故か私のことを崇拝…もといかなりの忠誠を誓ってくれている。因みにアルキオネは、リーナに護身術を教えてくれてもいた。


 帝国との戦争当初は離宮に残っていたが、最近の帝国の動きを見て、近衛騎士団から半分ほどこちらに派遣することにしたため、この都市についたのはほんの数日前だったりする。




 何はともあれ、セプテンリオ伯爵との問題は、これで終止符が打たれた。




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