2 記憶の整理と現状
基本的には主人公視点で進んでいきます。
長い夢を見ていた気がした。水の中からゆっくりと浮上するような感覚と共に目を開けると、見慣れた天井が目に映った。
「ここは...」
どうやら、私は王城にある離宮の自室にあるベッドで寝ているらしい。
眠っている間に見た夢で見た前世の記憶は、私の記憶と混じって不思議な感覚だった。自身が一人の人間の一生を高速で追体験したかのような感覚だ。
前世の記憶といっても強い想いや印象の濃いもの等の残滓のようで、一生をどう過ごしたのかは詳しくは覚えてない。まるでその人の人生を一気に振り返って、その時々の強い情を感じたようだった。
様々な記憶が混ざった影響で頭がボーっとしている。頭痛を感じつつも少しずつ記憶を整理していると、襲われて記憶が蘇ってきた。命を狙われたことも怖いが、一番怖いのはリーナを失いかけたことだ。
リーナは無事だろうかと考えたところでノックが聞こえてくる。
「どうぞ」
いつものように返事をするとドアが勢いよく開かれた。
「ラティアーナ様!目を覚まされましたか!?お身体は大丈夫ですか!?どこか痛いところや苦しいところはございませんか!?」
勢い良く入ってきたリーナは涙を滲ませて不安そうな表情で叫んだ。襲撃を受けてから今まで意識を失っていたのだから心配をかけただろう。
体調はまだ回復していないが、これ以上心配をかけないように笑顔を努めて返事をする。
「わたくしは大丈夫よ…リーナこそ、かなり深い傷だったから心配したのよ。怪我は大丈夫?痛いところはない?」
リーナを見た限りでは怪我が治っているように見える。問題なく動けているようだし痛みを感じている素振りもない。けれど体中の傷までは分からないし、治癒魔術がどれくらい上手く行使できたか自信がなかった。
つい不安そうな眼差しを向けてしまうと、リーナは私の気持ちを読み取ったらしく微笑みながら口を開いた。
「治療していただき、ありがとうございました。おかげさまで完治しています。ラティアーナ様こそ、あれから3日も眠ったままうなされたり苦しそうにされていて…医者や薬師、王宮の魔術士などに見てもらいましたが魔力の器官に損傷があるものの、眠りから覚めない原因とは違うとのことだったので、とても不安でした。お目覚めになられて本当によかったです」
「3日も眠っていたの…?」
身体を動かそうとしても力が入らないため長い時間寝ていたとは思っていた。それでも熱があるせいだと思っていたのもあって、3日という時間は想定外だ。
「そうですよ…中々熱も下がらなかったので心配しましたよ。国王陛下他王妃様にもお伝えしますね」
「お願いするわ…もっとも、わたくしのことなんて興味ないでしょうけど…」
「…かしこまりました。それから医者からしばらく魔力は使わないようにとのことですので、無茶だけはしないでくださいね。何かあればお呼びください」
私の言葉に悔しそうな顔をしながらも、リーナは部屋から去っていく。
お父様である国王には2人の妃がいた。正妃のレティシア様、側妃で亡き私の母であるティアラお母様だ。
王と妃の子供たち、つまり私の兄弟姉妹は、第1王子15歳と第2王子10歳、次点で私、下が第4王女6歳と第5王子3歳となる。私と第5王子が同母姉弟で他は正妃の子となっていた。
この国では7歳の時に行うお披露目を持って正式に王族入りとなり、お披露目順に王位継承権を得ることになっている。
同じ年齢の場合は正妃の子の順位が高くなる仕組みだ。
ただ王位継承順と言っても実際には次期王を選ぶのは国王となる。立太子した段階で継承順を1位に繰り上げるわけだ。
そんなわけだが私や弟とお父様やレティシアとの関係は大分悪化している。というのもレティシア様とお母様は仲が良くないからだ。
国王陛下であるお父様とレティシア様は恋愛結婚だが、伯爵家出身で後ろ盾になってくれる貴族もいなかったため貴族派閥から反対にあったらしい。そのままでは正妃にすることが難しく、公爵家出身で貴族を牽制できるお母様とも結婚することになったと聞いている。
お母様が生きている間は最低限のやり取りがあったらしいが、お母様が弟を産んだ亡くなってしまってから状況が大きく変わることになる。お父様はレティシア様とその子供たちだけを気にするようになり、私や弟には関心を示さなく様子を見にくることもなくなったのだ。
国王は王宮に住み、妃と子供たちはそれぞれの離宮に住んでいる。お父様から放置されている今の状況では、王宮や城に会いにいくこともできない。当然、私たちの離宮にお父様が訪れることもない。
そしてレティシア様にとっても私たちは邪魔な存在のようだった。何度か会ったときには手を出されることはないものの、暴言を浴びせられることがほとんどだからだ。
恐らくは継承権は高くないものの、公爵家の血が流れていることもあって貴族が持ち上げるのを警戒しているのか、あるいはお母様の実子である私たちも嫌いなのだろう。
登場人物の名前は考え中です。世界観の説明も主人公の考えも会話も難しい...




