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王女の夢見た世界への旅路  作者: ライ
第2章 王女兼冒険者の世界を巡る旅

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27 森の暗殺者

 翌日、暫くの間は森の中を抜けることになる。


「今日からは森の中を抜ける。うまくいけば5日ほどかかる想定だ。馬車が通れるくらいの幅がある道みたいなものがいくつかあるので、そこを通ることになる。森の中では迂回できないから哨戒側で可能なら対処してくれ。無理な場合は一旦戻って相談だな。」


「ええ。今日もよろしくお願いします。」



 連絡事項を共有して移動を開始する。今日の私たちは哨戒、休憩、夜番の順番となる。


 まずは哨戒のため馬車よりも少し先行して歩くことになった。


「ひとまず見える範囲で魔物はいないわね…」


「森の中は小型の魔物が多いから見つけにくいけど、ここまで見ないってのもね…」


 私たちは少し嫌な予感に駆られながらも順調に進んでいく。


「前方にオーガ10匹発見」


 ラーナが魔物の群れを見つけた。


「すばやく殲滅するわ。ティア、同じオーガでもここのは別格だから気をつけてね。」


「わかったわ。」


 私たちは、すばやくオーガの群れに突っ込む。

 まずは、クレアの剣が素早く切り伏せ、仲間たちの剣や槍がそれぞれ倒していく。


(なるほどね。今までのオーガより素早く力強い。けど硬くはない!)


 私も刀で受け流しつつも両断する。仲間たちがさらに槍で貫き全滅させた。


「ふぅ。皆怪我はないわよね?なにもなければ、このまま哨戒を続けるわよ。」


 再度、歩き出した次の瞬間…




 私たちの視界は霧で隠された。


「っ霧!?いったいいつの間に?」


「周囲を警戒して!」


 私たちは、お互いを見失なわないようにして警戒する。

 次の瞬間大きな鎌のようなものが振られ、エレナが吹き飛ばされた。


「ラーナ!エレナと皆を連れて商隊のところに戻って!早く!」


 クレアがラーナに皆を連れて行くように指示を出す。


 エレナを担いで後退する。その時大きな鎌みたいなものが再び見え…咄嗟に刀で弾く。けれど直撃を逸らすだけにとどまり腕を切られた。


(見た目以上に重い!?)


「私も足止めに入るわ!」


 私とクレアで正体不明の敵を足止めしつつ、皆の後退を支援する。

 下級魔術で氷弾を複数精製して、適当に射出する。すると見えない場所で氷が弾けた。


「その辺りになにかいる!」


 私の言葉と同時にクレアが何もない場所へ剣を振り下ろし…轟音が響いた。

 すると今まで見えなかったものが姿を現す。


 そこにいたのは巨大な蜘蛛だった。


 私とクレアが同時に動く。私が左から抜刀しクレアが右から剣で叩き斬る。しかし硬い足に防がれて傷つくものの有効打にならない。


 そうしているとクレアが膝をついた。


「クレア!?」


「大丈夫。ちょっと目眩がしただけ…」


 クレアは急いで立ち上がるが、蜘蛛が再度脚を使って襲ってくる。私は慌てて脚を刀で弾いた。


「…ティア、次の一撃で倒すから…少し抑えててくれない?」


「わかったわ。任せて!」


 私は蜘蛛の前に立ち、脚による攻撃に合わせて何度も刀で斬り返す。全力の身体強化による斬撃と蜘蛛の足が何度もぶつかることで、漸く脚の1本を破壊した。そのまま何度か斬って注意を引きつけてるとクレアからの合図があった。


「ティア!下がって!」


 私が下がるとクレアの上級魔術が発動した。一定の範囲を風で包み、かまいたちによって切り裂くそれは、蜘蛛に致命傷を与える。正体不明だった巨大蜘蛛をなんとか倒したのだった。


 戦いが終わりほっとしているとクレアが倒れてしまう。


「クレア!?大丈夫?」


「はぁ、はぁ…平気よ。でもごめん…少し休みたいから馬車まで連れて行ってくれないかな…」


 クレアは息を荒くしていて、とても辛そうだ。


 私はクレアを抱えると、そのまま商隊のところまで戻ろうとする。途中でマティさん達と遭遇した。


「2人とも無事…クレアはどうした?」


「クレアは戦いが終わった後に倒れちゃって…」


 私はクレアの状態と蜘蛛の特徴を伝える。


「そいつは毒と姿を隠して襲う蜘蛛だな。稀にいるそいつは、他の魔物達を襲うそうだ。特徴からしても間違いないだろう。奴が吐き出す霧は、体内の魔力を暴走させる毒で、脚にも遅効性の毒があるらしい。命の危険はないらしいから多少は安心できるな。」


 詳しく聞くと霧の方は体内の魔力を暴走させ魔力回路を傷つけるらしく、脚の毒は植物性の毒と同じもので受けると数刻してから高熱に襲われるらしい。こういった場で受けると、動けなくなったり体力は著しく消耗するため1人の場合は致命的だ。


(私の場合、魔力回路に対して体内の魔力が少ないから、影響が少ないかな?脚の毒も植物と同じであれば慣らしているからそこまで酷くはならないはず。)


 商隊のところまで戻るとエレナの治療中だった。


「予定変更だ。今このあたりに魔物が少ないことと負傷者がいることから、野営の準備をして明日まで体勢を整える。恐らくこの先も魔物は少ないだろうから多少はマシになるはずだ。俺たちで野営の準備はするから、ウォルフ達はシュウアの警戒を頼む。クレアもしばらく動けないだろうからラーナ。お前達は暫く休むといい。ティアも毒を受けたんだから安静にしておけ。」


 怪我をした人の治療が終わると私たちはテントで休むことになった。残りの2グループで警戒をしてくれるらしい。しばらくすると遅延性の毒の影響が強くなってきたようで、クレアとエレナは苦しそうにしていた。


 今は他の皆で2人の看病しているところだ。


「これは治るまでしばらくかかるかもね…ティアも同じ毒を受けたんでしょ?体調は大丈夫?」


 2人の汗を拭っていたラーナが私に聞いてくる。


「私は少し身体が重いくらいで…そこまで苦しいわけじゃないかな。」


「どれどれ…微熱があるかもね。もうそろそろ休んだら?」


 毒に慣らしていて耐性があっても多少影響は出る。今回は無理が必要な場面じゃないし、お言葉に甘えようと思う。


「じゃあ、申し訳ないけど少し眠るね。おやすみなさい。」



 波乱の2日目はこうして幕を閉じた。

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