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王女の夢見た世界への旅路  作者: ライ
第2章 王女兼冒険者の世界を巡る旅

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18 超えた者たち

 一方その頃、ティアは攻めあぐねていた。


 最初の一撃以降は、相手の大剣を受け流すのが精一杯で、防戦一方だ。


(元々高い身体能力をさらに強化しているせいで、一撃でも受けたら致命傷ね。大剣はその大きさと重さから、溜めが必要なはず。どんなに力が強くても、静止状態から振りかぶるための間は必要だわ。)


 私は刀を納めて短剣2本を構える。今までよりも更に相手に近い距離で戦うためだ。


 牽制のために魔術による炎弾を放って、後を追う形で走り出す。相手は大剣に纏わせていた魔力を斬撃として放つ。魔力の斬撃は炎弾ごと消し飛ばしてなお、勢いはとまらない。私はすれ違うように回避して接近する。振りかぶってきた大剣を短剣で受け流した瞬間、相手の蹴りが私の横腹にあたり、吹き飛ばされたためそのまま距離をとり、体制を立て直す。


(蹴られる瞬間に盾を発動させたから怪我はないけど、かなり痛いわね...蹴りひとつ見ても流石の威力だわ。)


「思ったよりやるな。俺はボルテって言うんだ...お前とは楽しめそうだからな。手土産に名前くらいは教えてやる。」


「私はティアよ。あなたを倒した後も覚えておいてあげるわ。」


 お互いに簡単に言葉を交わして、向かい合う。


(このままじゃ埒があかないし...2つ手札を切りますか。)


 私は周囲の魔力を取り込みつつ、身体強化の強度を4割から自身の魔力のみで強化できる最大の8割まで引き上げる。

 今までより数段階上の速度で肉薄し、直前で上へ大きく跳躍した。


(急激な方向転換だとっ!?)


 ボルテは大剣を切り上げようとしたが、慌てて後ろに下がって切り払う。ちょうど私の上からの、突きと大剣がぶつかった。


(飛行魔術!?いやあれは、風を操るから急に方向転換できないはずだ!まるで空中を走るように!?)


 私がやっていることは単純で、空気中にごく小さい障壁を作って足場にしているだけだ。私の脚力に耐えるだけの一瞬だけ存在する障壁だから消耗も少ない。更に踏み込むたびに加速魔術も併用して加速し続け、ようやくボルテの速度を超える。大剣を1回振るう間に私は2度3度、短剣で斬る。少しずつだがボルテに傷を負わせられるようになっていた。


(速くて防ぎ切れねえが、1つ1つは弱い。だったら体全体に魔力を纏わせて硬くすればっ)


 私は、ボルテの体が魔力で覆われるのを感じると、ナイフを2つ投げて爆破する。ボルテも不意をつかれたようで、よろめいた。

 ついでに短剣を相手に投げる。全力で投げた短剣はかなりの速度で飛び、ボルテの大剣に弾かれた。けれど想定通りだ。短剣を投げるのと同時に、ボルテの頭上に魔術を展開した宝石を投げつける。無属性の上級に分類されるその魔術は、ボルテを基点に円状に強大な重力をかける。続く攻撃で体制を崩していたボルテは地面に屈した。


 そして私は上空から下に向かって跳躍し、強大な重力に合わせて刀を突き刺した。ボルテも慌てて避けようとするが避けきれず、深傷を負って吹き飛ばされた。


「はぁ...はぁ...お前よくもっ!?」


 相手が降参か気を失うまでは、手を緩めるつもりはない。私は最後の宝石を砕いて上級の雷魔術を行使する。これは対象を球状の雷撃で覆う範囲攻撃だ。


 轟音と共に地面ごと抉る威力だったがボルテはまだ立っていた。


「これでも倒れないなんて...」


「この程度でっ...やられてちゃS級には...なれねえよ。」


 ボルテもボロボロになって息が上がっているが、私にも余裕はない。怪我こそないものの体力と魔力の消耗が激しい。


「だが...認めてやるよ。お前はこっち側の人間だ。だからこそ、全力で殺す。」


 今まで以上の殺気と圧を感じる。どうやら勝負を決めにかかるらしい。


 私もここで勝負を決める。ボルテが一歩踏み出すタイミングで、短剣に込められた魔術を発動する。持ち主から近いところにあれば、持ち主のところに飛んで戻る効果があるのだ。先ほどの一連の流れで布石は敷いてある。ボルテによって弾かれた短剣は、ボルテの後ろに落ちているのだから。


 今さら気づいたところでもう間に合わない。2本の短剣は私をめがけて飛び、ボルテの背中に突き刺さる。それでもボルテはそのままの勢いで大剣を振り下ろしてきた。

 私も残りの魔力全てを身体強化と魔装につぎ込んで刀を構えて突進する。




 刀と大剣が互いの相手を捉えた。




 私の刀はボルテのお腹に刺さって、ボルテの大剣は私の左肩を斬り裂いていた。ただ私が懐まで入っていたから、大剣の柄に近いところだったため辛うじて致命傷にはなってない。

 逆にボルテは伏して気絶しており、戦闘の続行は不可能だろう。


 私は武器を戻して魔力ポーションを飲む。飲んだ瞬間に少しの魔力が回復しその後徐々に回復する代物だ。


 肩に受けた傷は深く、砕けてもいるため左腕はしばらく使えそうにない。

 聖属性の回復魔術であれば怪我から1日の間であれば、消失していない限りは完全回復が可能だ。全快させるには魔力が足りないしこの後戦闘になる可能性もあるため、一旦最小限の魔力で血が流れすぎないように応急処置だけして、破った衣服で縛っておく。

 ついでにボルテも死なないように、魔術で止血だけしておいた。


 私は、ボロボロの体を引き摺るようにして建物の中に入っていった。




 建物の中を歩いていると、たまに衛兵に襲われるが刀で意識を刈り取っていく。1階の中央部分につくと周りに敵がいないことを確認する。


 左肩に触れて、手についた血を媒介にして探知用魔術を行使した。血液を媒介にしたのは、多量の魔力を含むため魔力の節約のためだ。風魔術の応用で空気の振動を発生させるこの魔術は超音波による探知のため周囲の空間を把握可能だ。


 位置を確認すると私は2人と合流するために歩き出した。

ティアが自身の治療を後回しにしているのは、聖属性の回復魔術は他人の治療よりも自分の治療ほうが治癒が遅いからです。

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