17 邪教信徒
今回はドム視点です。
「ここで逃げ切れたとしても、どうせ追いつかれます。私が相手するので、2人は皆を探してください。」
その言葉を最後にティアちゃんの刀とSランク冒険者の大剣が衝突した。その後もお互いに譲らない剣戟を広げている。
「こうなったら仕方ねえ。俺たちもいくぞ!」
僕はデュランさんと一緒に城の中に入って行く。領主用の城は王都と比べると流石に小さいが、2人で探すには広すぎる。
「どこから探しますか?」
「こういう場合、大体地下の隠し部屋って相場は決まっている。壁や床に気をつけて1階から探すぞ!言っとくが俺がいた時と作りが全く違うから、案内はできないからな」
探している間も領兵や教会にいた黒服が襲ってくるけど、僕とデュランさんで倒して行く。
「やはり彼らでは相手になりませんか。」
1人の男が近づいてくる。教会の司祭のような服だが、黒を基調にしている。
「あなた達は一体、何者なんです?」
「我々はね思うわけですよ?教会は聖霊を祀っていますが直接見ることは極めて稀です。ですが...邪なるもの達は違う!我々が必ず持つ負の感情をもって変質していく彼らこそ信仰するに値すると。」
相手がそう答えると、なにか粒のようなものを飲み込んだ。
「魔物達が邪なるものになれるのであれば、我々だってなれるはず...そういった思想の元に生み出されたのがこの丸薬です。では...実験に付き合っていただきましょうか。」
それだけ言うと相手の持つ魔力が禍々しいものに変化していく。そして予想以上に早い速度で近づいてきた。
「っ!?」
僕は咄嗟に魔装を使い、同時に相手の拳によって吹き飛ばされた。
「ドム!」
デュランさんが一瞬こっちを心配そうに見てから、剣で相手を斬りつける。けれど相手は全て避けてしまう。
デュランさんの剣をかわしたタイミングで魔弾を放つが、やはり避けられる。
前に聞いた話だと、デュランさんはもともとAランクの冒険者をしていて、ギルドにスカウトされてからは職員として働いていたそうだ。そのデュランさんの剣が全く当たらないとなると、相手も相当の実力ということになる。
なんどか応酬をしていると、デュランさんが僕の近くまで下がってきた。
「相手が速すぎて俺の剣じゃ捉えられねぇな。ドムはさっきの攻撃、大丈夫だったか?」
「なんとか防御が間に合ったので...正直、勝てる気がしないですね...でもティアちゃんも頑張ってるから。ここで諦めるわけには行かないので!」
魔物たちが纏う邪気と同じであれば、身体能力こそ上がる反面、負の部分が増大し思考が鈍くなっていくため、付け入る隙はあるはずだ。相手を牽制しながら作戦をお互い出していく。その中のうちの1つの策を実行することにする。
「頼んだぞドム!」
デュランさんがそれだけ言うと、相手に斬りかかる。
同時に僕も両手に魔力を集めていく。やることは単純で壁が壊れる程度の魔力弾を周囲に放つだけだ。この部屋はそこそこ広いが、壁や天井の一部を崩して部屋をせまくする。僕は魔力弾を生成していくつか撃ちだした。
何回かの爆発音とともに、天井と壁の一部が崩れる。相手は突然降り注ぐ瓦礫などを避けようとして大きく跳躍した。
「やっぱりな!威力の小さい攻撃も全て避けていたから、こうなると思ったぜ。」
相手が大きく跳躍したタイミングにあわせて、ヂュランさんが剣を振りぬく。
魔力によって強化された今日最大の一撃は、相手の胴体に深い傷を負わせて...壁まで吹き飛ばした。壁にぶつかったときの瓦礫とともに相手が埋まっていく。
「これで終わりだといいんだが...」
「念のため、魔力弾の準備だけしておきます。」
警戒しながら2人して壁の方に近づく。すると突然、黒い魔力の奔流を感じた。
「「っ自爆!?」」
2人とも全力で後ろに跳躍して身体を魔力で覆う。ヂュランさんはさらに、目の前に魔力障壁を張ってくれた。
次の瞬間、魔力が炸裂し大きな衝撃が走る。
視界があけると、辺り一帯が粉々に吹き飛んでいた。




