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王女の夢見た世界への旅路  作者: ライ
第2章 王女兼冒険者の世界を巡る旅

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16 アーテル伯爵領

 結局、皆とは合流できずに翌日になった。


 念のため、冒険者ギルドに問い合わせたが情報が見つからない。


「正式な護衛依頼として、ギルドを通してるから貴族から圧力があっても跳ね除けることはできる。ただ依頼中に行方不明になっただけだと...情報を集めるくらいでそれ以上のことは出来ねぇな。」


 とは、デュランさんの言葉だ。事の経緯については既に説明済みだ。


「アーテル伯爵領の情報はわかりますか?」


「...ギルド支部があるからできるけどよ?どうしてだ?」


 デュランさんが嫌な顔をしながら聞いてくる。


「以前、教会の近くで見た馬車の家紋が、アーテル伯爵のものでしたから。」


「なるほどな。今から通信を入れてみるから少し待ってろ。」


 しばらく待ってると1枚の紙を持ってきた。


「待たせたな。ギルド職員の魔術士からの情報だ。今日の早朝に大規模な魔力を感じたらしい。もしかしたら長距離転移じゃないかって話だ。あとこの紙は、伯爵領内の中央区の通行許可証だ。あの領地は特殊で、中心部分は、許可証がないと入れないからな。後は...俺もついていくぞ。」


 意外な申し出にドムと顔を見合わせてしまった。


「アーテル伯爵領は昔、少し関わりがあってな...もし情報通りだとしたら、覚悟だけはしておけよ?」


「何に対しての、覚悟ですか?」


「自分自身とあいつら自身だ。アーテル伯爵は、目的のためなら手段を選ばない...って言われてるからな。」


 ドムはうなずくと馬車の手配のために出て行った。出発するのは早くても昼過ぎになるだろう。




 食糧を買いこんで、3人は馬車に乗って王都を出た。

 到着は早くて明日の昼。それまで落ち着かないが、できることもない。そうするとデュランさんがふと呟いた。


「もし...でっかい剣を持った奴が伯爵の近くにいたら、最優先で逃げろ。いいな?」


 詳しく聞いてみると伯爵は、ある冒険者を贔屓にしているらしい。ギルドでいい噂こそないものの、規定違反しているわけでななく、この辺りで唯一のSランクのため、あまり強く言えないそうだ。


「あいつは対魔物ではなく対人の依頼を好んで受けていて、敵対した相手に容赦がない。しかもわざと痛ぶるような奴だ」


 思いがけない情報に、私たちはいつもよりも気を引き締めて行く。

 馬車に揺られること1日、ついにアーテム伯爵領の領都に入った。





 都市についてからは、徒歩で移動する。

 王都に比べると人の多さに対して、衛兵が多い。中央区と呼ばれる所に向かうが、近づくほど住民が減っていく。

 そして中央区の門のところまでたどり着いたので、門番に許可証を見せる。


「通してくれ。通行許可証もある。」


「悪いが無理だ。領主様よりだれも入れるなとのお達しが出ている。早く戻るといい。」


 随分と厳重な警備らしい。仕方がないので、私の指輪を出そうとしていると、デュランさんが意外なものを出した。


「この指輪でも駄目か?」



 取り出したのはアーテル伯爵家の紋入り指輪...貴族の証だった。


 門番が慌てて確認して、私たちを通してくれる。

 ドムは驚きのあまり口をパクパクさせていた。


「デュランさんって貴族だったんですね。全く気が付きませんでした。」


「そりゃそうだろ。貴族として生きるよりも平民として生きてる方が長い...ティアこそどうなんだ?大体の人は、急に貴族ってわかると怯えたり戸惑ったりするもんだ。でもお前さんには、そういうのが一切ない。」


 いざという時は身分も使うし、バレたらその時はその時と思っているが、時が来るまでは私からいう気はないので笑顔で誤魔化す。


(本当に読めねえな。個人的には没落した貴族かと思ってるんだが...)



 領城の近くまで行った時、私とデュランさんの足が止まる。続いてドムも止まった。


「門を通過してから...にしては早すぎるな?こっちの動きは筒抜けか?」


「どうでしょうね?筒抜けであれば押し通るだけです。伯爵も今回のことを公表できない分、ここでなにがあっても問題ないでしょう?」


(この状況は私にも味方してる。この近くには、民はいないから噂になる心配もない。領兵や使用人たちは貴族になれている分、口は硬い。私の正体がバレたところで大半の人は敵対しなくなるだろうし、伯爵も口にできないだろう。なにせ正体をばらすことは、王家への叛逆に当たるのだから。伯爵が生き延びても捕まっても状況が悪くなるだけだ。)


 教会にいた黒服達に次第に囲まれ、領兵たちも集まってきた。

 私たち3人は、いつでも戦えるように構える。すると1人の大男が歩いてきた。大剣を背負っているところを見ると、件の冒険者だろう。


「こんなに早く出てくるとはな...」


「っ!?あれがSランクですか...ギルドの評価で測れない実力者というだけのことはありますね。圧だけで押されそうです。」


「ここで逃げ切れたとしても、どうせ追いつかれます。私が相手するので、2人は皆を探してください。」


 2人が驚いた顔をして見てくるが、私は集中力を高めて今持てる手段を振り返る。


(魔力も体調も万全で問題なし。今持ってる道具は、魔力を装填済みの宝石2個、魔力ポーション1本、爆破魔術を刻んだ投げナイフ2本のみ。武装は愛刀と...新調した短剣2本。)


 前まで使ってた短剣は、少し前の依頼を受けた時に壊れて新調している。工房で打ってもらい、私が魔術を刻んだ短剣は、こういう戦いを想定したものだ。


(はじめての命を賭けた対人戦。相手は私を殺すつもりで来るだろうけど私は...必要のない命は取らない。私の誇りにかけて相手を倒す!)


 私は身体強化と加速魔術を併用して、相手に近づく。

 その一瞬後、全ての勢いを乗せた抜刀と大剣が衝突した。

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