10 建国祭と王鍵
今日から建国祭が始まり、6日間お祭りが続く。
3日後に初代国王が国を建てた日になり新年を迎える。今はエスペルト暦1972年、まもなくこの国は2000年を迎えるわけだ。
また建国祭の間は、普段領地にいる貴族たちの王都に集まるため社交も盛んになる。
今年からは私も王族として参加することになる。
お父様に呼ばれているため、私は王城を歩いていた。
「ラティアーナ、よく城の中を歩けるな?」
「あら?ガイアスお兄様ご機嫌よう。お父様からは呼ばれただけですわ。」
「ふん。王族の恥晒しが...お前に兄と呼ばれる筋合いはない。」
それだけ告げてガイアスお兄様は去っていく。
ガイアス・エスペルト第1王子。武術と魔術ともに国の最高峰の実力者で、勘が鋭く野生的な人。なお、ギルベルト・エスペルト第2王子は武術はあまり得意でないが魔術に秀でていて、立ち回りが上手く隙がない人だ。
この国の王位継承は、王が退位するときに次の王を選ぶ。選ぶ前に王が亡くなった場合などは、その時点で継承権が1番高い人が選ばれることになる。基本的には継承権が1番高い人を選ぶことになるが、貴族の支持次第では覆ることもある。いくら王や王族が特権を持っていても、付き従う貴族たちの反対が大きければ王権が崩壊する可能性もあるからだ。
お父様のところへ向かうと、地下の通常立ち入らない場所に入る。
「これから行くのはこの国の根幹部分...簡単に言えば国と各都市を守る結界をはじめ、様々な機能を持つ魔術具の場所だ。詳しいことは王になったものにしか伝えないことになってるが、王族がお披露目を終えてから初めての建国祭りの時に登録するしきたりだ。」
ついた場所は城の中央地下。巨大な魔術具になっていて、術式が常時展開されている。いくつか炉心があって、魔力も蓄積されているようだ。
「これが魔術具の心臓部分、これを中心に各都市や各砦にもそれぞれ末端部分があり、国全体で1つの魔術具となっている。ラティアーナには、王鍵の登録をしてもらう。手を魔術具に当ててみなさい。」
私は言われた通り、手を当てる。すると、術式が私の周りに展開され、一瞬なにかに見透かされたような気がした。
「これで登録完了だ。お前の魂...お前自身を鍵として、この国の中にいればいつでも繋がることができる。使える機能は権限によって変わるが、お前の場合は結界上部にある眼の使用と、王鍵保持者、もしくは各魔術具との通信だ。通信自体は双方向だが、鍵を発動させる必要があるから受信には向かない。使いたい時は、心の中で鍵を展開して繋ぐイメージをすれば術式が展開される。」
(展開...接続!)
すると、私と魔術具が直接繋がっている感覚になる。
この国全体が1つの魔術具となっていて、国内であれば簡単に使えるらしい。王族のみ登録し、肉体ではなく魂を登録するため本人でなければ使えない。
「結界について聞いたことはありますが...これは凄いですね」
「結界と魔力炉以外の機能は、あまり知られてないからな。」
こうして王鍵の登録が終了した。
その後、建国祭の間は王女として、貴族や隣国の王族と社交をする時間が過ぎていった。




