6 これから先の可能性
魔力に関する説明回です。
お披露目が終了してもあまり変化はない。
今まで様子を窺っていた貴族たちは、私というよりは王族との繋がりを求めていただろう。そして魔力が少なくて王妃からも好かれていない私には早々に興味を失ったのだと思う。
友人の2人以外にも仲良くなれればと思っていた。
2人は変わらず接してくれるし、気にしないように心がける。
お披露目の後にお父様と少し話をした。
王女として恥にならないで目立たない程度に頑張ればいいとのことだった。お父様は今まで以上に、私に期待していないのだろう。
学園に通うまでの間、習い事や社交が増えると思っていた。今後の予定があまりないため、思ったよりも時間がある状態だ。
王都には王直属の学園があり、12歳になると王侯貴族の子は必ず通うことになる。平民でも商家の出であったり騎士や魔術士を目指す人は、試験を受けて合格すれば通うことができる。
学園では武術や魔術、地理や歴史といった学問を、より深く学ぶことが可能だ。
学園に通うまでは、家の中で教師を雇って学ぶことになる。
お父様が手配した教師は、学問全般を教える人と魔術を教える人の2人だけだ。
1週間のうち1日ずつやってきて午前と午後に教わる予定になっている。教師が来ない他の日は、自由に過ごせそうだ。
今日は魔術を教えてくれる教師、明日は学問を教えてくれる教師がやってくる。
「ラティアーナ様、教師の方がお見えになりました。」
部屋で寛いでいるとリーナが呼びにきてくれた。お披露目の時は、お互いに悲しい顔だったけど、前のように戻れたと思う。たまにぎこちない時はあるけど気のせいってことにする。
教師のいる部屋に向かい挨拶を交わすと授業が始まる。
「教師を務めるユリアと申します。最初なのでまずお互いの意識合わせから始めたいですがよろしいですか?」
「ユリア先生ですね。これからよろしくお願いします。それから生徒と教師の関係なのでそれほどかしこまらなくても良いですよ?」
「お恥ずかしながら辺境の子爵家出身なもので、王族の方と話すのは初めてでして...このままでお願いしたいです...」
本当に気まずそうにしていて、罪悪感が芽生えてきたのでこのままいくことにした。
「わかりました。やりやすいようにお願いします。」
「承知しました。では...こほん。
魔術に関する属性については、教会でも説明があったと思いますので割愛させていただきます。魔術にいくつかの区分けがあるのはご存知ですか?」
「区分けは聞いたことがありますが詳しくは知らないです。」
「ではそこから...魔術には次の区分けがされています。下級、中級、上級、最上級、特級の5つです。級が上がるほど術式が複雑になり、発動時間や消費魔力が増大します。王宮の魔術士は最低でも得意な属性で上級を扱えることが採用基準です。なお、団長クラスだと最上級、筆頭クラスだと特級も扱えることが多いですね。国に属していない人だと、魔術士として活動しているSランク冒険者くらいでしょうか。まぁ...特級やSランクという区分けは基準で測れない...一般的でなくなったものを指していて同じランクの中でもかなり差はあります。次に消費魔力ですが...」
聞いた話を要約すると、今の私が万全の状態で上級魔術2回が限度らしい。もちろん普通に生活する上で魔力を消費することもあるし、体調にも左右されるのであくまで目安だ。魔力が枯渇すると動けなくなり、最悪の場合気を失うので現実的でもない。
「わたくしは、普段王宮魔術士として働いていますが、自身の魔力だけでは足りないことが多いです。魔術の行使は自身の魔力以外を使うことも可能ですね。」
例えば王都にある街頭などの魔術具は、日中に空気中の魔力の蓄積をしておいて、夜間は蓄積した魔力を使って動いてる。私たちが魔術を行使するときも同様に、他の媒体に蓄積された魔力を使ったり、自身の魔力を核にして空気中の魔力を収束させることも可能なようだ。
ただ、魔力は指紋や声紋のように人によって異なる。他の魔力で代用すると、発動時間や術の制御に影響があるようだ。
こうして今日の授業は終了した。
私にとっては少ない魔力でも、それをカバーできる手段があるとわかったのでとても参考になった。




