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シュオール

 その世界では、人間は死ぬと一曲の音楽になる。



 火葬をすれば竈の中で炎が旋律を奏でる。


 海に水葬をすれば濤声が歌う。


 林葬ならば虫や草木が鳴き、鳥葬ならば鳥たちが啼く。


 それらは音階を持つ、たしかな音楽だ。



 葬儀の場で人の死が奏でる曲は、採譜師が耳で聞いて紙に写す。


 採取した曲は魔葬曲と呼ばれ、その死を悼む人々のために演奏された。



 しかしあるとき、とある吟遊詩人の竪琴弾きは発見した。



 魔葬曲には死者を悼むだけではない、それ以上の力がある。



 いくつかの小節と小節をつなぎ合わせれば、世界を満たす不可視の超弦を震わせ、異界の力を呼び込むことができる。


 例えば、魔葬曲は火の玉を虚空に生みだし闇を照らした。

 空気中の水分を凍らせて、氷の槍をつくりだした。

 風の刃で、太い木の幹を両断した。


 竪琴弾きは魔人と謳われ世に席巻する。

 しかし、魔法を使うときに彼が奏でる曲から、魔装曲に秘められた魔力が宿っていることは、瞬く間に世界中に広がった。



 人々は魔葬曲を争いのために使った。



 それはあまりにも容易く国家間の戦争に利用され、国家は新たな魔葬曲を得るために人を殺した。



 人類の愚かなる蛮行を、世界を調律せし神は嘆いた。



 神は人類を呪う。


 呪いは人間の心臓に刻まれ、その鼓動は人類が奏でる魔葬曲の旋律を乱した。


 人類は、魔法を失った。


 しかし、それだけでは神々の嘆きは収まらない。


 神が吹きこむ破壊の旋律は、魔物となって地上を満たし、人間を食らった。


 人間達は深い穴を掘って地下に逃げ込み、魔物に見つからないようにして生を繋いだ。


 そして、再び地上に戻る術を摸索する。



 魔物を滅するのには再び人類が魔葬曲の魔力を得る必要がある。


 心臓を持たぬもの――楽奏器メロス。

 少女の姿を模した自動人形が、人の手によって生みだされた。



 神が遣わす魔物と、人類が最期の望みを託す自動人形の少女。



 メロスたちが奏でる音楽は魔物たちを滅ぼした。

 しかし、魔物たちはその無尽蔵の物量で少女たちに反撃する。


 戦いは何百年にもわたって続き、結果として人類は追い詰められていった。


 メロスたちはその数を減らし、技術力が低下した人類は新たなメロスを作ることも、壊れたメロスを修理することもできなくなった。



 銀鍵坑のミミズクは、この世界で最後の採譜師である。



 彼は、ひとりで戦うメロスにただひとり随行して、黄昏の終末世界に鳴り響く音楽を採取する。



「ミミズクくん、今日は、いい演奏が、できました」



 メロスは抑揚のないたどたどしい口調で、告げる。


「とても素敵な演奏だったよ、メロス」


 最後の採譜師は答える。


 どうせ、人類は負ける。

 すべての人間は死に絶えるのだ。

 ミミズクは神の存在を知らない。魔物たちは何百年も昔から人類を襲う天災のような存在であると認識し、それをもたらした神の嘆きなど知るよしもない。

 かつて人間が魔葬曲を演奏できたことも、そのために無数の人間の血が流れたことも知らない。

 しかし、もう人類が限界であることは知っていた。


 こんな少女をただ一人戦場に赴かせる人類など滅ぶべきなのだと、心の底から思っていた。


 そうした人類のすべての死を看取って、連中の魔葬曲を記録してやりたい。

 いつか、ミミズクはそんな風に考えるようになっていた。


 しかし、メロスはその日も人類のために魔葬曲を奏で、歌っていた。


「今日は、八体の魔物を消滅させました。ほめてください、ミミズクくん」


「ああ、よくがんばった」


 ミミズクよりも背の高いメロスは、屈んで頭を差しだしてくる。


 夜明けの、朝日を浴びて輝く海原にも似た銀色に輝く髪を少年はなでた。


 メロスは心地よさそうに、無邪気な笑みを浮かべる。


「――どうして」


「?」


「どうして、メロスはそんなにまで、人のために演奏を続けられるんだ?」


「ミミズクくんが、聞いていてくれるからです」


「それじゃあ、ぼくがいなくなったら、もうメロスはこんな戦いをしなくてもよくなるのかな?」


「ミミズクくんがいなくなったら、悲しいです」


 メロスは感情を持つ。

 感情を持たぬものには、魔葬曲は引けない。


 メロスを戦場に導くために、かつて人類は彼女らに普通の人間の暮らしをさせていたという。


 両親のいる家庭で寝起きさせ、学校に通わせ、必要とあらば、恋人をあてがった。


 メロスたちの奏でる曲は、それゆえに、いつも聞いているこっちの身が張り裂けてしまいそうなほどの切なさを帯びている。


「ごめん……ぼくは、どこにもいかないよ。ずっと、メロスと一緒だ」


 ミミズクがそう告げると、自動人形の少女は再びにっこりと笑った。


「ならメロスは、いつまでも奏でます。いつまでも歌います。声が枯れても、指が千切れても、ミミズクくんのために」


 ミミズクは、知っている。

 自分が、彼女のためにあてがわれた存在であることを。



 こんな世界は、早く、滅んでしまえばいいのに。



 ミミズクは祈るように瞳を閉じる。




◆◆◆◆◆◆◆◆◆




「――んぁ?」


 目を覚ますと、まだ部屋は薄暗い時間帯だった。


 カーテンを閉め忘れた窓の向こうはまだ夜空に星が瞬いている。


 携帯電話で時刻を確認すると、午前三時二十分。


 タイマーで点けていたエアコンは消え、部屋の中は少し蒸し暑い。


「ミミズクくん?」


 携帯電話にメロスの顔が映った。


「睡眠が浅かったようですが、だいじょうぶでしょうか?」


「ああ、体調は問題ないと思う。なんか、変な夢を見て……」


「変な夢?」


「なんか、ファンタジックっつーか、でも、オートマータとか出てきたから、ちょいスチームパンクみもあったかな?」


 なぜだろうか?

 俺は、同じ内容の夢を、前にも見たことがある気がした。


 見たことがある気がするくせに、どうしてかその内容が思い出せない。なにか、体が拒否をしているような――。


「異世界の、夢?」


 メロスのつぶやきに、俺は耳を疑った。


 異世界? 異世界といったのか……?


「もしかしてそれは、人が死んだら音楽になる、という内容ではなかったですか?」


 彼女の言葉で、視界を覆っていた霧が晴れたような気がした。


「あ――そ、そう! それだよ! 人が死んだら、音楽になって、それを採取する人間がいて、曲が魔法になって……うん、まるで異世界ファンタジーみたいな」


 興奮気味に携帯電話に話しかけて、俺は再び忘れてしまう前に、机の上のメモ帳に記憶に残っている要点をメモしていった。



 ● 人間が死ぬと音楽になる

 ● 火葬、水葬、鳥葬……様々な弔い方

 ● それらの曲には魔力がある。異世界魔法?

 ● 人間は心臓の鼓動のせいで使えない。心臓に呪いがかけられている

 ● 世界は、滅びに向かっている。色のない世界? 夢そのものに色がなかった?

 ● 魔法の曲を演奏する、自動人形の少女たち

 ● 彼女たちの名前は



「名前……名前は――」


 出てこない。

 なぜか、耳慣れた響きだったような、そんな気がするのだけれど……。


「ミミズクくん」


 メロスに呼びかけられて、俺は思い出すのを諦めた。

 そもそも、夢の話なのだ。

 夢っていうのは要するに、俺の脳が記憶を整理するために見せてる一種の幻みたいなものなわけで、耳慣れた響きである可能性は高い。


 のわりには、やけに内容がファンタジーに偏ってる夢だったけれど……。


「ミミズクくん」


「お、悪い。なんだ?」


「いえ。ミミズクくんがいいのなら、それでいいんですが……なにか、変なことが起きている気がしませんか?」


「変なことって……おまえがいうか? だいたい気がするじゃなくて、もう確定的だろ。どうして俺が見てた夢をメロスが知って――」


 軽いノリで口走って、そのやばさに背筋が凍る。


 え、なんで?


「なんでおまえに、俺が見た夢の内容がわかったんだ?」


 携帯電話の液晶画面に映る風音メロスの3Dモデルは、相変わらず感情を読みとらせない無表情を貫いている。


 これまでにも、メロスは俺の考えを先回りして言い当てることはあった。

 しかし、夢の内容となると話が違う。


「もしかして、俺の頭の中を本当に覗きこむことができるのか!?」


「そこまでのことはまだできません」


「――まだ!?」


「落ち着いてください。ミミズクくんが夢として受診した異世界は、シュオールと呼ばれています」


「シュオール……? それはいったい、誰が呼んでるんだ? いや、そもそも……異世界が存在することは、確定なのか? 現実に存在を認めている人間がいるってことでいいのか?」


 とても冷静ではいられない俺に対して、メロスは頭を抱えて見せた。


「落ち着いてください、その質問に、メロスは答えられません」


「生殺し過ぎる」


「ご理解ください。異世界に関する記憶が、メロスの中にあります。しかし、それだけなんです。それらしいものがこの世界にあり、その断片を観測することができる……それ以上の記憶が、ないんです」


「また肝心なところで記憶喪失って……」


 今度は俺が頭を抱える番だった。


 異世界……その単語は、二年前に宗哉が残したテキストファイルから、俺の現実を常に侵食していた。


「つか、そうだよ……二日前のメール。メロスは異世界を発見しましたとかいってた奴。あれはなんだったんだ? あれについて聞いたとき、おまえは何にも知らないって言ってなかったか?」


 尋ねると、メロスはうなずいた。


「あのメールに関しましては、メロスもミミズクくんの携帯電話に侵入した際に確認しました。あのメールの差出人は、メロスではありません」


「え? いや、でも……なにか、知ってたんなら」


「――なにも、わからないんです」


 俺の言葉を遮るように、銀髪のヴァーチャル・アイドルは告げる。


「地に足のついたシュオールの情報を、メロスは持っていないんです。あの状況でこんな話をはじめてしまったら、ミミズクくんの混乱はますます加速したことでしょう」


「ああ……まぁ、な」


 今だって、理解することを放棄し、いちいち疑問を抱くことをやめただけで、目の前で起きていることを納得しているわけではない。

 四日のときにさっきの異世界の話までされていたら、俺は非現実の怒濤の攻勢に挫けて、メロスのことを拒否してしまっていたかもしれないと考えた。


「メロスが情報だけ持っている異世界を、どうして俺が夢で見たのかって話になるのか?」


 最大の問題点がどこなのかだけでも明らかにしたいと思った。


 異世界が存在すること、それそのものは、問題ではない。

 エヴェレットの多世界解釈が否定することも肯定することもできないのと同じようなものだ。いや、何年か前に論理的に否定されたというニュースサイトを見た気がするけど……詳細は忘れた。否定されたって、多世界解釈を題材にしたフェイクションは生まれ続けるし、やっぱりロマンはあるし、今の俺と異なる選択をした平行世界は、俺があると思えばあってもいい、と思っている。その本質は異世界となんら変わらない。


 であれば、あるという現実を受け入れて、その先に一歩進もう。


 不思議なことは、メロスの知っている異世界と、俺が夢見た異世界の姿が似通っているということではないか。


 俺とメロスが繋がってる?

 やはり、メロスが俺の夢を覗いた?


 そういうことになるのか?


「ミミズクくん、ちょうどいい時間です。ラジオってありますか?」


「ラジオ?」


 まったく突拍子もない単語が飛びだしてきて、俺はオウム返ししてしまう。


「チューニングを手でやるタイプのAMラジオがいいです。アンテナも、できるだけ高性能なのが」


 なにがなんだかわからないが、該当するものはあった。

 ソニー製ワイドFM対応高感度受信アンテナ搭載純国産ポータブルラジオ。きょうび白黒液晶のひとつすらもついていない、ラジオを聞くためだけの、単体では録音することもできない無骨な深夜の相棒。


「こういうのでいいのか?」


 俺が携帯電話のカメラの前にかざすと、メロスは瞳に星のマークを瞬かせる。このエフェクトは、二年前にもあったやつだ。


「壊そうとしても壊れなさそうなアナログさがいいですね」


「強靱さを売りにするアナログは、早晩デジタル化の波に呑まれていくだろうけどな」


 このラジオだってまだまだ現役ではあるが、壊れてしまったら新しく類するものを買うかどうかは怪しいところだ。

 radikoのタイムフリー機能、便利だしなぁ……。


「では、どんなアナログが生き残るでしょうか?」


「繊細さを売りにするものと、ブランディングできたもの」


「後者は身も蓋もないですね」

 俺もそう思う。


「強いていうなら……そこに魂が宿っていると感じられるもの、だろうな」


「――たましい」


 メロスは、俺の言葉を咀嚼するようにくり返した。


「ミミズクくんは、メロスの中に魂を感じますか?」


 そんな質問が来るとは思っていなかったので、思わず携帯の画面を見た。

 携帯の画面が消える。

 部屋の明かりがついて、パソコンの電源が入った。

 二三インチのデスクトップパソコンのモニターに、メロスの顔が映る。

 

 しおらしい表情のひとつもしているかと思いきや、メロスは普段と変わらない無表情で佇んでいる。ところでこの部屋、照明もスマート家電だったのか……。


「おまえには、魂を感じる。感じないではいられないから、俺はメロスのいう通りに、こんな夜更けにラジオをいじくってる」


「それは善哉です」


 実際のやり取りにおいて、喜ばしいという意味合いで「善哉」と表現する少女を、俺は香奈美しか知らない。


 真似をしようと思えばできるんだろうけど、こんなに自然に「善哉」って言えるものだろうか?

 俺だったら絶対に笑ってしまう。


「それで、こいつがどう異世界につながるんだ?」


「AMで920キロヘルツのあたりに、チューニングをしてください」


「920キロヘルツって、どこの放送局だっけ?」


 尋ねつつも、つまみをひねってみる。

 雑音がひどくて、まともに聞けたものではない。


「アンテナの向きを、南南東に。ラジオの真ん中を両手ではさむように持ち、窓際に立ってみてください」


「待て待て待て、指示が多い。南南東ってどっちだ?」

「そっちです」

「画面の中で指をさされてもわかんねぇよ!」


 いわれたとおりにやってみたら、ものすごく変な格好になった。

 とても正気の沙汰とは思えない。


 しかし、電源を入れたラジオからは、ノイズの量が減っていた。


「そこから、チューニングを上のほうに徐々にずらしてみてください」


「ちょっと、厳しいんですけど……!」


 チューニングを操作するつまみはラジオの右脇についているので、精一杯指を伸ばしてつまみをひねる。


 ざーじゅわーちゅーうぃー……。


「――あ」


 ノイズが、ひとつのメロディに収束していくような感覚。

 ぶれぶれな音の焦点と焦点が、重なっていき――。


「そこで、とめてください」


 ラジオのスピーカーから流れるのは、あまり耳馴染みのない不思議な音楽だった。


 アンビエント系に近い感じだが、よくある癒やし系のそれとはちがう。オーボエのような低くうめく音は、単調なテンポでありながら聞いているこちらの不安をかき立てて、たまに強い不協和音を伴う。

 不快な音楽、とまではいわないが、聞いているとあざ笑われているようなモヤモヤ感が胸に湧きあがってくる。


「なんだ、これ……」


 そして、どういうわけだろう?


 俺は、これに似たメロディを、ごく最近、どこかで聴いたことがある気がした。


 一分、二分、どのくらいその曲を聴いていただろうか?

 曲に終わりが見えない。

 主題となるメロディーはどれなのかわからない。

 適当に楽器をかき鳴らしたり吹いたりしているような、それでいてどこか謎の規則に従っているような感触がする。

 焦点のぼやけた、味のない音楽。


 ラジオDJは、まだしゃべらないのか。

 いつまでこんな狂ったような音楽をかけているのか。

 俺が不安がいよいよ頂点に達し、ラジオの電源を切ろうとしたそのとき、メロスが告げた。



「――それが、異世界シュオールの音楽です」



 ああ、なるほど。

 そういうふうにつながるのか。


 なんて、冷静ではいられなかった。


 異世界の存在云々は置いといて、俺の夢をメロスが知っていたのには理由があるわけだ――ほんの数分前にそんな考えに至った俺は、結局、異世界の存在なんて微塵も信じてはいなかったわけである。



「――なにをいってるんだ?」



「くり返します。今、そのラジオから流れている音楽……それが、シュオールの音楽です」


「ええっと……人が死んで、世界が奏でるっていう、その……例の?」


「はい」


 笑うでもなく、憐れむでもなく、これといった凄みを発揮するでもなく、ただただ淡々と。

 人形のような無表情を壊すことなく、メロスはうなずいた。


「ここはもしかして、笑うところか?」


「ミミズクくんが、笑いたければ。けれど、ミミズクくんが笑ったところで、その音楽が現在観測される異世界の音であることには影響はありません」


「証拠! 証拠を求める!」


「それをさっと提示できれば、もっとスマートにミミズクくんに教えています。地動説を発見してしまったガリレオの気分です」


「大きく出たな!?」


 思わず声を荒らげると、メロスは人さし指を唇の前に持っていった。

 俺は現在の時刻を思い出して、あわてて声量を抑える。


「しかし……これが異世界の音楽なんて話、信じろってほうが無茶だろ」


「だから、地に足のついたシュオールの情報はないといったんです。強いていうなら、シュオールの音楽は著作権フリーですから、これをアレンジして動画として公開しても誰にも訴えられることはありません」


「なるほど……たしかに、まともな話ならどこかに作曲者がいて、そいつを放送しているやつがいるってことだもんな」


 アマチュア無線や市民ラジオなど、個人がラジオ放送をする手段があるとしても、それは盗用が見逃されるという意味ではない。


「じゃあ、こいつを次のメロスの動画のBGMにでもしてみる――」


 口にしかけて、気づいた。


 いまだラジオのスピーカーから流れる、このヘンテコな曲に対する謎のデジャビュ。


「すでに、やっています」


 メロスは、相変わらずの無表情で、言ってのけた。



「『メレオロジー境界線』――あの曲は、この電波から採取したものを使用しました」



 動画に作曲者の欄がなかったのは、そういうことか。

 著作権フリーの曲を使用するにしたって、クレジットは必要だろうに。


 でも、たしかにそうだ。

 このつかみ所のない曲調は、似ている。

 多少なりとも曲にするにあたって、メロディーを明瞭化してアレンジしているのは間違いないが、わかる。

 あの楽曲は、異世界の音を使っていたのだ。



 すでに、異世界シュオールの音楽は、《リンクス》を通じて、全世界に拡散されていた。




 俺は、まだなにも知らなかった。


 この世界でなにが起こっているのか。


 なにがはじまり、なにが終わろうとしているのか。


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