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推しへ、生で見る過去のショーは最高です

 フェアリー・マジカルパーティーパレードとは、精霊達が主催となり、妖精と人間の楽しいパーティーを行うというストーリー。

 優しい水の音と混ざり合うような心安らぐ音楽と共に、先頭を切って出て来るのは水の精霊ウンディーネのフロート。

 見目麗しい女性の姿をしたウンディーネがフロートの先頭に立ち、美しい声でパーティーの始まりを宣言した。動画で見た限り、ウンディーネ役のアクトレスは声の美しい人ばかりを選んでいるようだ。

 フロート周りには全体的に青系統の色を帯びた水の妖精達が歌を歌いながら舞を披露する。

 次に出て来たのは胸躍るような疾走感ある曲の風の精霊シルフのフロート。

 子役を使ったシルフがフロートの椅子に座りながらやんちゃそうな笑みを浮かべて観客に手を振る。子役は男の子、女の子どちらとも使うため、その違いも楽しい。

 そんな風のフロートには楽器で演奏する風の妖精達が緑系統の衣装を纏い、音楽を奏でる。

 

「すごぉい!」

「ほら、絆奈。手を振らなきゃ」


 感動してその光景に目を奪われていると、お母さんが私の手を取って上げさせる。

 そうだ、今の私は子どもなんだ。多少オーバーに手を振ったって恥ずかしくない。

 そう思って両手を上げて、後ろの人には邪魔にならないように思い切り手を振る。

 そうすると、トランペットを吹く風の妖精の男性が気づき、こちらに近付いて私の頬を軽くつついて去って行った。


「!」

「お、絡んでくれたじゃないか、良かったなぁ~」


 大人では絶対されないであろうサービスに思わず身体の熱が上がった。子どもだから許されるのであって大人がそれをされたら落ちかねない。いや、中身は成人だけど、今は子ども。セーフ!


 続いてやって来たのは火の精霊サラマンダーのフロート。力強く響く活気のある音楽が流れ、観客を盛り上げるように声を高らかに上げて姿を現す。

 そもそもサラマンダーとはトカゲのような姿が一般的。そのため、トカゲの尻尾だけを残してサラマンダーは擬人化された。男性アクターの肌の色も褐色でオタク受けが一番強かったりもする。

 彼のフロート周辺は赤系統の身なりで激しいダンスや武芸を見せる火の妖精達が観客の視線を釘付けにさせた。

 大トリを飾るのは地の精霊ノームのフロート。穏やかに流れる曲と共に登場。

 彼を演じるアクターは三十オーバーの人が主で、口数が少ない役どころ。静かに頷いたり手を振ったりとアクションを起こしながらも子どもへのサービスを忘れない。

 ノームのフロート周囲には茶系統の衣服を纏う、地の妖精達が踊りと拍手を混ぜ合わせて最後に一際大きな盛り上がりを見せる。


 話は逸れるが実はこのサラマンダーとノームは腐女子界隈でよくカップリングにされる二人で、王道はノーム×サラマンダーのノムサラだが、おじさん好きな私にとってはサラマンダー×ノームのサラノム推しである。


 と、まぁ、その話は今は置いておいて、パレードはあっという間に終わってしまった。

 前世でのマジパパは動画でしか見たことがなかったので生で見ることが出来たのが嬉し過ぎて叫びたくなる。

 子どもだから多少叫んだって構わないだろうが、中身はオタクなのでオタクのアレな叫びしか出来ない自信があるためここは頑張って抑えておこう。


「凄いパレードだったわね、絆奈」

「うんっ! きれいだった! すごかった!」

「パパも目が離せなかったよ」


 終演の拍手をしながらマジパパの素晴らしさを称え、あまりの凄さに心奪われた私は暫く惚けてしまった。

 そのあとはお昼を食べて、アトラクションに乗ったりしてめちゃくちゃ楽しんだのだが、一応最大の目的であるバイト中の推しを見ることはこの日は出来ずに終わる。

 そもそもどこのエリアで何の仕事をしているのかも知らないため見つける方が困難。もしかしたら休日の可能性だってある。


 その日はエターナルランド近くのオフィシャルホテルで泊まり、明日は会えたらいいなと願いながら母の腕の中で眠りについた。



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