心中お察しいたします
「この度のご不幸、心中お察しいたします」
僕は彼の親族に向け頭を下げた
彼の葬式が執り行われる中
彼の親族は泣きながら静かに
お辞儀を返した
彼の死因は自殺らしい
遺言には「何も信じられなくなった」と
僕は彼と幼なじみの友達であり
僕と彼、そしてもう1人の幼なじみの
彼女の3人で幼い頃から一緒に遊んでいた
彼はとても明るい子で
友達付き合いもよく最近は
永年懸想していた幼なじみの彼女に
告白し付き合い始め幸せな生活を
送っていた
彼の事を思い出しながら待っていると
御焼香の番が回ってきた
彼の遺体は首の痣の一点以外
特に損傷もなく花に包まれ眠っていた
御焼香を終え私は彼の死体に近付き
顔を眺めながら
「この度の心中、お察しいたします」
とだけ呟いて葬儀場を後にした。
さて、帰って彼女を十分に慰めてやらなければ…