0.プロローグ
のんびり更新できたら、と思います。主人公の性格があまりよくないです……。
「ベストセラー小説『君に出会えてなかったら、きっと、今のわたしはここにいない』の実写映画化が決まりました!その人気の秘密に迫ります!」
朝テレビをつけると、ニュースから流れてきたのは、今大ヒットしている泣ける小説『君に出会えてなかったら、きっと、今のわたしはここにいない』略して『いまここ』の紹介だった。
「タイトル長すぎだろ……まぁ流行ってるもんな」
西条樹はそうひとりごちると、コーヒーをすすった。
こういった悪態を吐いてしまうのも、結局は羨ましくてたまらないから。
十分自覚してる。
そう、俺だって……。
「いやー、凄い才能ですよね。作者さん、まだ高校生なんです!」
アナウンサーの声が反響する。才能。高校生。16歳なら同い年じゃないか。
自分は才能があるんだって、信じて疑わなかった頃があった。
今思えば勘違いも甚だしい。穴があったら即入るレベルで恥ずかしい。
でも、誰だってそんな経験一度や二度あるんじゃないか?なんて開き直ってみたりして、よけい虚しくなったり。
とりあえず、俺は自分には天から授かった才能なんてものはないことを認め、そして一つの決意をすることにした。