鎮魂歌
あなたは、一足早く春の国へ行ってしまいましたね
南の国では
もう桜が咲いているでしょう
梅の花もまばらになってきました
氷もゆるんで
空は明るく穏やかな青です
あなたは 今 私を
羨んではいないでしょう
冷たい息の中で
私は凍えながら
泣いています
あなたは
とうとわの
春の国に行ってしまったのだと
私は泣きながら祈っているのです
あなたは
母か、祖母か、それよりも彼方のあなたの血族と
今 桜を見ながら
笑っていることでしょう
白い木蓮も
優しい菫も
みんなが笑って
あなたを見ている
雲雀はさえずり
燕は青い空を
果てなく駆け回っていることでしょう
私は
そんなあなたを
思い浮かべながら
泣きながら
叫びながら
祈っているのです
永遠の春の国へいってしまったあなたへ――
空は
あなたが生まれた日も
私が春の国へ行く時も
変わらず青く輝いているでしょう
だから どうか
その澄んだ青さに
今だけ悲しませてください
長く あなたに会えないことを――