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アニマルレスキュー  作者: コトリコトリ
97/229

097 島のヤシの実 

 

 かなえは砂浜に来ると、椅子に坐りフォルダの整理をすることにした。

 

 まず、買い出しして来た料理と、まだ残っている料理が混ざらないようにする。

 

 フォルダに仕舞えば時間の経過が無いと言っても、やはりずっと入れておくのは良くない気がする。

 

 女神様が入れておいてくれた膨大な品物は別にしても、かなえが後からた入れた物だけで結構な量になっている。

 

 手提げ袋やリサイクル倉庫で購入した雑貨等、それに前にかなえが焼いたクッキーもある。

 

 たまにチェックしないと……いくらでも入るからって、どんどん入れて行くと埋もれて行ってしまう。

 

 日付順、種類順、サイズ順など瞬時に順番を変えて表示できるので、整理しやすい。


「ハァー……」

 こういう作業をしていると、眠くなって来る。



「シロン、ちょっと一休みするから」

 かなえは砂浜に横になると、目を閉じる。




『コソコソ……』

『エー!』

『ダメ!』


「うーん……なんか騒がしいな」

 かなえは誰かの声で目を覚ます。


「あー! あなた達何やってるの?」

『カナカナ、だいじょーぶ?』と、モモちゃんとルークスが、かなえを覗き込んでいた。

 

 このパターン前にもあったな……。


「大丈夫よ。ちょっと眠くなったから休んでいたの」

『ひと、外でねむらないよ』と、ルークス。


「えー、人も外で寝てもいいんだよ」

 まぁー、普通は家の中で眠るけど……。


『いいの?』と、モモちゃん。

「そうよ、あなた達も寝てみたらわかるよ。ここは暖かいしお昼寝するのに良いでしょ?」と、言うと、


 ルークスとモモちゃんもかなえの隣に横になる。


「ほら! 木の隙間から日の光が射して、風も心地良いし湖の流れる音がするでしょ?」


『うん、気持ちいいね』と、ルークス。

『うん、みんなのこえ、うるさくて面白いね』と、モモちゃん。

 

 は!? モモちゃんにはいったい誰の声が聞こえているんだろう。うるさいって言ったら……うーん、ここは気にしない事にしよう。


「あっ、あのヤシの実もう取らないと落ちて来たら危ないな」

『あれ、ヤシの実?』と、ルークス。


「そうよ、ココナッツとも言うけど……急に落ちて来たら危ないでしょ」

 

 かなえは横になっていて、ヤシの実が目に入ったので今のうちに採っておく事にする。

 

 スクータを出して、上まで行くと沢山実が出来ているので、茶色くなった熟れていそうな実から取り外す。

 

 結構簡単に取れるので、近いうちに下に落ちていたかもしれない。

 かなえは次々とポーチにしまって行くが……これは堅いな。

 

 そうだ!


「モモちゃーん、ちょっと手伝ってくれなーい?」

 かなえは下でかなえの様子を眺めていたモモちゃんに声をかける。


『うん、いいよー』と、すぐに飛んで来たモモちゃんと、空中階段で上がって来たルークス。


「あのね、このヤシの実、硬くて取り外せないの、モモちゃんなら取れる?」と、聞くと、


『うん、やってみる―』と、太くて短い前足を持つモモちゃんがヤシの実を掴んで引っ張ると、「ブチッ」と、簡単に取り外せた。


「ワァー、モモちゃん力持ちねー。ありがとう」

 

 その後も幾つかモモちゃんに採ってもらう。

 その様子をルークスは興味深そうに見ている。


「それくらいでいいわ。ありがとね。助かった」と、砂浜に降りて行くと、

『この実、美味しいの?』と、モモちゃん。


「うん、あまり味は無いけど、中にジュースと白い実が入っているのよ」

『ふーん』と、興味がありそうだ。


「これ食べてみる? 穴を開けたらジュースも飲めると思うよ」

『うん、モモちゃんジュース飲む!』と、乗り気なモモちゃん。


 

 かなえはシロンに小さなハンマーと、太い釘を出してもらうと、


「今、穴を開けるから待ってね」と、ヤシの実にハンマーで、穴を開けようとするが、スルッと滑ってしまう。


「モモちゃん、滑るからヤシの実を押さえててくれる?」

『いいよー!』と、モモちゃんがヤシの実を前足と後ろ足で挟む。


 かなえがもう一度、ハンマーを振るうと今度はクギが刺さってうまく中心に穴が開いた。


「あー、開いた。モモちゃん、上向いて口を開けたらヤシの実のジュースを入れてあげるよ」

『うん』と、モモちゃんはヤシの実が一飲み出来そうな、鋭い歯がビッシリ生えた大きな口を開けて上を向く。


「じゃー、入れるよ」と、かなえがヤシの実ジュースを注ぎ込む。

 

 トロトロっと、少しづつモモちゃんの口の中に透明なジュースが入って行く。

 モモちゃんがいつまでも口を開けているので、空になるまで入れる。


『もう無いの?』と、モモちゃん。

 珍しい事に、モモちゃんが興味を示した。


「うん、ジュースは終わりよ。中に実が入っているから開けてみようか?」と、かなえが言うと……、

 モモちゃんが『バリバリッ』と、前足で軽く実を押しつぶし、ヤシの実が砂浜にめり込んでしまう。


「ちょっと、モモちゃん、力を入れ過ぎよ!」


 細かく砕けた実にウオッシュを掛けて、中の白い実の部分をこそげ取ると、ルークスとモモちゃんに食べさせる。


「どう? 味は?」

『おいしーよー』と、モモちゃん。

『うん、ぼくもおいしい! ジュースものみたいな』と、ルークス。


 かなえも食べてみるが、ほのかに甘くクセが無いが、特に美味しいと言う程ではない。

 やはり、ジュースやお菓子などに加工された方が美味しいと思う。


 もう一度ヤシの実の穴を開けて、ルークスにもジュースを飲ませると、結構気に入ったようだ。


 かなえは暫らく、ヤシの実をルークスとモモちゃんにあげる作業に没頭する。


「はーい、これで最後よ。食べ過ぎるとお腹をこわすからね」

『おなか、こわすの?』と、モモちゃん。

 

 うーん、モモちゃんなら問題無さそうだけど。


「そうよ。それに、いっぺんに食べちゃうより、明日も明後日も食べられる方が良いでしょ?」

『うん、わかったー!』


『うん、明日もたべる―!』

 

 フフッ、この分だともう少しヤシの木を植えた方が良いのかも。


 

 かなえはルークス達と別れるとドームシティーの温泉に向かう。

 

 西門の温泉に移動して来ると、リリララ姉妹の居る場所を確認し歩いて行く。

 リリちゃんは、大型の馬や牛達用の温泉で掃除をして、ララちゃんはリリちゃんの後を付いて回っていた。


「リリちゃん、ララちゃん、ご苦労さま―!」

「あっ! かなえさーん」と、リリララ姉妹が近寄って来る。


「何かあったんですか?」と、リリちゃん。

「ううん、今日はちょっと様子を見に来たの。ここは何も問題は無い?」


「はい、いつもと同じ感じです。最近は動物達も慣れて来たようで、すんなりと温泉に入っています」

「そう、それは良かったわ」


 かなえは、夕方から用事が出来たので、夕食はジミーさんに渡してある事を伝えると、売店の方へ移動して行く。


 

 今日もお店は繁盛しているようで、お客さんが次々と入って来る。

 お土産コーナーの所にも人が集まっているが、それ以外の食料品や雑貨のお店に来たお客さんも多い。

 

 メラニーさんのお菓子も、ここで売ったら人気が出そうだ。

 

 いつの間にか売店の周辺に芝生の広場が出来ていて、中心に噴水もあり周りの花壇が色鮮やかに咲いている。 


 椅子やテーブルが沢山置いてあるので、一人で食事をしている御者さんや、野菜を卸している農家の人、近所の家族連れ等、多くの人がのんびりした時間を過ごしている。


 かなえは、他の3か所の温泉も様子を見に行ったが、特に問題は無く動物達も人も温泉を楽しんでいる様に見えた。

 

 きっと、女神様が管理しているんだろうな……。

 オクタゴンからも人が様子を見に来て、ボランティアの人達に指示をしたりしているそうだ。


「かなえ、そろそろ動物達を送る時間です」

 そうか、早いな。今日は昼寝もしたし、ルークス達とヤシの実も採っていたからな。


 

 かなえはシャワードームへジャンプして行くと、もういつものメンバーはみんな、休憩所で横になって眠っている。

 

 順番にジジさん達から送り届け、リキさんを小屋へ送り足に薬を塗り込む。

 

 もう一度シャワードームへ行き、ウオッシュを念入りに掛けて行く。

 自動浄化作用を付けているが、一日中動物達が過ごす場所なのでメンテナンスも兼ねてウオッシュを掛ける。


 

 全て終わったので、かなえはスープ屋の前へ移動して行く。

 お店の中に入って行くと、


「こんにちはー」と、片づけをしているダンさんに声を掛ける。

「あー、すまないな」と、ダンさん。


「いいえ、これが私の仕事なので何も問題ありませんよ」

「そうか。もう少しで終わるから、そこに坐って待っていてくれないか?」

 

 かなえは扉の横にある一つ置いてあるベンチに腰をかける。

 

 待っている間、ベンチが動く度にキイキイと鳴るのが気になったので、ウオッシュを何度か掛けて直しておく。

 

 他にもペンキが剥げている所とか、壁にシミが出来ている所もあったが、やり過ぎると良くないので我慢する。



「待たせたな」と、ダンさんは真っ白なコックコートから私服に着替えてやって来た。

 お店を出て5分位歩いたところに、ダンさんの家はあった。

 

 

 扉を開けて入って行くと、

「お帰りなさーい」と、10歳位の男の子が出て来た。


 サラサラな黒髪に、薄いグレーの瞳をした元気そうな男の子だ。


「バニーを見に来てくれた、動物ギルドのかなえさんだ」

「わぁー、バニーの事見に来てくれたのー? ありがとー」と、人懐っこい子だ。


「あー、こいつはジョーイだ」

「そう、初めましてジョーイ君。よろしくね」

「バニーはこっちだよー」と、案内され居間に入って行くと……、


 大型の太ったウサギがソファーに座っていた。


「うわぁー! 随分と大きいウサギちゃんですね」

 ウサギと言うには大きくて、中型犬位の大きさはある。


「ああ、まだ子供だそうだが、大きい種類の様だ」

「そうなんですか」


 ウサギは大型だろうけど、それよりも……まあいいか。

 

 ダンさんにもジョーイ君にも慣れているみたいだ。


「でもちょっと、餌をあげ過ぎかもしれませんね」

 

 ダンさんが言うには、餌を上げるといくらでも食べてしまうし、食べて居ない時は殆ど寝ているそうだ。


「あのー、暫らく私に預からしてくれませんか? 耳の事も気になりますが、少し体重を減らさないと、体に良くありません」


「えー! 預かるってどれくらいですか?」と、悲しそうな顔をするジョーイ君。


「そうですね、最低2週間はあった方が良いと思います」


「わかりました。お願いします。ジョーイ、バニーがこれ以上調子が悪くなったら困るだろう? かなえさんにバニーの事は頼もう」


「うーん、わかったよ」と、仕方なく頷くジョーイ君。


「それでは、バニーの事は任せて下さい」と、言うと家を出てバニーを連れて、ジャンプで家に戻って来る。



「バニーちゃん、私はかなえよ。よろしくね」

『えー! 私の言葉が分かるのー?』と、バニーちゃん。


「そうよ。あなたどうして耳が聞こえないフリをしているの?」

『えーと……最初は本当に良く聞こえなかったの。でも今は少し聞こえるの』


「そう、まぁーいいわ。あなた、食べ過ぎなのはわかってる? そのうち重すぎて動けなくなるわよ」

『うーん……だって、くれるから食べないと悪いでしょ?』

 

 ちょっと面倒くさいな……。



「バニーちゃん、2週間くらい私があなたの面倒を見るから覚悟してね」


『えー? ちゃんとお昼寝出来て、美味しい野菜をくれるならいいけど……』


 会話するのに疲れて来たし遅くなるので、かなえは夕食を食べることにした。

「私は食事にするから、あなたは好きにしててね」

 

 かなえは奥の空いている部屋に、クッションと野菜の盛り合わせを少なめに置いておく。


 かなえは夕食を食べ終わり、バニーちゃんの様子を見に行くと、野菜をほとんど食べクッションの上で眠っていた。


「ちょっと、今回は手ごわそうだな……」


 

 かなえは寝る支度をして、ベットに入る。


 明日からどうやってバニーちゃんの世話をすればいいかな。

 かなえ一人では手に負えなさそうだ。

 

 よし! 他の動物達にも手伝ってもらおう……。


 

 後は、明日考えよう。


 かなえはゆっくり目を閉じた。



――――――――――――――――

 ポイント 

 

 プラス  1000 肉体疲労緩和飴 ジョーさん 

 マイナス 5万5千 食料調達 レストラン5ヶ所とスープ屋      

 残り   209万9400 

 パワー  498


―――――――――――――――― 

 予定   動物達を連れてお出掛け

―――――――――――――――― 

 給料30日目  牧場の従業員見習い  15万

        動物ギルド長 20万ー6万(リリララ姉妹の残業代)=14万

        アニマルドーム管理人 30万 入金済

 


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