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アニマルレスキュー  作者: コトリコトリ
95/229

095 表彰式 

 

 パイの品評会の会場の隣では、ワインの品評会もやっていたが、かなえ達は未成年なので、素通りして行く。


 手芸用品を展示している所もあったが、時間が無くなりそうなので、両脇のお店を見ながら先を歩く。

 

 かなえは素朴な感じのガラスのコップを見つけて、自分用に購入する。

 グリーンがかった透明で細かい空気のつぶが、光に透かすととてもきれいで、お水が美味しく飲めそうだ。


 ジミーさんは、茶色い帽子を購入した。ワンポイントにマリーみたいな犬の刺繍が付いている。


 リリララ姉妹は色違いの髪留めを購入してたので、かなえは大きなバックを取り出すと、



「みんなの荷物は入れておきますからどうぞ」と、預かり、ポーチのリリララ姉妹とジミーさんのフォルダ、それぞれにしまう。



「かなえ、そろそろリトくん達の帰る時間です」と、シロン。


 そうだ! リトくん達も一緒に来ていたっけ。



「みなさん、私はちょっとリトくん達を家に送って来るので、外しますから好きな所にいてください」と、言うと人の通りが少ない木の陰に移動する。


「シロン、リトくん達はどこに居るの?」


「今は、ドームの森の中でピーちゃんと一緒に飛んでいます」

 

 リトくん、もしかしてずっと、困っている動物を探しているのかな……。

 それだったら、可哀想な事をしたかも。


 

 かなえはインビジブルになり、スクーターを取り出しリトくん達の居る森の中に移動する。

 うーん、何処だろう?

 

 かなえは、森の中の木の上にスクータを停止させると辺りを見回す。


 あっ、いたいた。

 

 リトくん達らしき2羽の小鳥が少し先を飛んでいる。

 かなえは思わず、


「リトくーん、ピーちゃーん!」と、大きな声で呼ぶと、2羽の鳥が引き返してかなえの方へ飛んで来る。


『あー、カナ、カナ』と、リトくんとピーちゃんが、かなえの肩にとまる。

「リトくん、ピーちゃん、ちゃんと休憩したり木の実を食べたり出来た?」と、聞くと、


『うーんとね、ぼくいっぱい木の実たべたよ』と、リトくん。

『木の実おいしかったー』と、ピーちゃん。


「そう、良かったね。この森は楽しかった?」

『うん、困っているどうぶつ、いないよー』と、リトくん。


『困っている動物は、ちょっとだけさがしたの』と、ピーちゃん。

 フフッ、それなら十分森を満喫したんだろう……。


「そう、ありがとう、何も問題無かったみたいね。それじゃぁ明日の朝はご褒美パン準備しとくね」

『やったー! ぼく、ごほうびパンもらえるよー!』と、リトくんは嬉しそうにグルグルと旋回する。



「それじゃあーそろそろ、帰ろうか。ジャンプするよー」と、言うと、リトくんが戻って来て、ピーちゃんの隣にとまる。

 

 かなえの部屋に着くと、リトくん達が部屋の窓からリアちゃんの待つ家へ帰って行く。


 

 さっ、リトくん達はこれでいいわね。

 

 かなえはリリララ姉妹と、ジミーさんの居る場所を確認すると、近い場所へジャンプし、みんなの所まで歩いて行く。


「お待たせ―」と、かなえが言うと、


「かなえさん、そろそろ表彰式が始まるみたいですから行きましょう!」と、リリちゃんに言われ、みんなで向かう。


 他のお客さん達も表彰式に関心があるのか、結構な人が特設ステージのある会場へ集まって来ている。



 これじゃぁー前の方はまた見えなさそうだな……と思っていると、


「かなえさん、こっちだよー!」と、ジョンさんが呼びに来てくれた。

 ついて行くと、前の方に椅子が並んでいてかなえ達の席も取っておいてくれたようだ。



「ジョンさんありがとうございます。見えないからどうしようかと思っていたんです!」と、お礼を言うと、

「いやー、せっかくの表彰式だからみんなで応援したいじゃないか」と、ジョンさん。


 奥さんがパイの品評会で、表彰されるのが嬉しいのだろう。

 そういえば……、


「ジョンさんの家具は、どうだったんですか?」と、かなえが聞くと、

「まだ結果は教えてもらっていないが、まぁー私はまだそこまでの腕は無いからな……」と、ジョンさん。

 

 そういえば、牛舎の仕事をかなえが引き継いで、時間が出来たから趣味の家具作りを始めたって言ってたような……。


「そうですか、でも出品するだけでも凄いですよ」

 これから継続して作品を作って行けば、腕も上達するだろう。


 

 しばらくすると、大柄な50才前後の男の人がステージに上がって来て、


「あー、森のドーム管理人のジョンソンだ。もうすぐ品評会や、競技の表彰式を始める。それでは宜しく」と、短く挨拶すると30才前後の男性が出て来て司会を始める。


「それでは、まずワインの品評会の結果発表です」と、司会の人が次々に発表して行く。名前を呼ばれた人達は前に出て行き、表彰されている。

 

 かなえ達は見れなかったが、重い丸太を持ち上げて力持ちを決める重量挙げのコンテストも行われたようで、選ばれた人はみんな大柄で見るからに力自慢の男の人達だ。


 次々と表彰され、とうとうパイの品評会の順番が来る。


「あーメラニーさんだー!」と、ステージに登って来るメラニーさんをみつけ、ララちゃんが声を上げる。

 

 メラニーさんは、ララちゃんの声が聞こえたのか、こっちに目線を向け「ニコッ」と、笑う。


 メラニーさんは表彰されて、周りの観客から大きな拍手をもらう。

 かなえ達も「メラニーさん、おめでとう!」と、大きな声を上げる。


 次はクラフトフェアのコンテスト結果発表だ。

 

 ステージの裏方をしている人の中に、リンジーを見つける。ステージに上がる人を誘導したり、商品を持って行ったりと、忙しく働いている。


「それでは、コンテストの結果をお伝えします」と、司会の人が3位から名前を呼んで行き、2位、そして最後に1位は……家具職人のジョーさんだった。


「わぁー! すごーい、ジョーさんだー」

 

 やっぱりな……。ジョーさんのダイニングテーブルは他の作品とは別格で目を引いていた。

 あれ? でもやっぱりジョーさんは居ないみたいね。代理の男性が賞を受け取っている。


「かなえさんは、家具職人のジョーさんを知っているのかい?」と、ジョンさんに聞かれる。

 

 それで、かなえはジョンさんの家具をリサイクル倉庫で見かけ購入した事、お店に行き動物ギルドの家具を作ってもらった事を簡単に話すと、


「へー、そうかい。あの人の家具は人気があって中々手に入らないのに、運が良かったな」と、言われる。

 

 そうだ。リサイクル倉庫に行って、偶然馬車で家具が運ばれて来たところを頼んで売ってもらったんだっけ。それをきっかけに、ジョーさんのお店を教えてもらって訪ねて行って……。

 ジョンさんの言う通り、運が良かったんだろうな。

 


「わぁー! メラニーさん」と、ララちゃんが席に戻って来たメラニーさんに声を掛ける。

「おめでとうございます!」と、みんなで再びお祝いの言葉を言う。


「ありがとう! あんなステージの上に登ったのは初めてで緊張しちゃったわ」と、メラニーさん。

 

 メラニーさんの賞品はドームシティーの温泉の専用屋台でお菓子を売る権利だそうだ。

 誰でも1時間の労働で、ドームシティーの温泉で物を売る事が出来るが、専用屋台となると別格らしい。


「メラニーさん、凄いじゃないですか! 屋台でメラニーさんのパイが売られるんですね!」

「うーん……そうね。作る事は出来ても届けるのがちょっとねー」と、メラニーさん。

 

 そうか。メラニーさんの住むミルクドームからドームシティーの温泉までは馬車で往復4時間はかかる。年配の女性が通うには遠すぎる。

 

 かなえが配達する事は出来るが、メラニーさんもお菓子の売れ具合を自分で確認したいだろう。

 

 どうしたら良いかな……かなえがあれこれ考えていると、いつの間にか表彰式は終わっていた。これでもう少ししたら、秋の収穫祭もお終いとなる。



「私達は片付けたら、帰るけどかなえ達はどうするの?」と、メラニーさん。

「私達も、お土産屋さんをちょっと見たら、帰るつもりです」と、かなえが言うと、


「エーッ、もうお終いなんだー!」と、ララちゃん。

「ララちゃん、今度また家にパイを食べて来てね。リリちゃんもジミーさんも一緒にどーぞ」と、最後に皆で挨拶し、メラニーさんとジョンさんとは別れる。


 

 かなえ達もすぐに歩き出そうとしたが、表彰式を見に来ていた観客が一斉に歩き出して混雑しているので、少し待っていると、ステージの周りで片付けているリンジーが見えた。


「リンジー、私達はもう帰るけどー」と、かなえが近づいて行き話しかけると、

「ああ、かなえか。えーと、リキの事は頼むよ。こっちもやっと落ち着くから、リンジーの足の薬だって塗ってやれるしな」


「そうね。わかった。様子を見てリキさんを連れて来るわ。そうね、あと1週間以内でいい?」

「うん、わかった。リキの事は頼むよ」


「ええ、心配しないで。家の動物達とも仲良くやっているから」

「そうか。ありがとう」



 かなえはリンジーとの話が終わると、リリララ姉妹とジミーさんに合流する。

 

 空いて来たので、出口に向かう。

 両側のお店は、片付けを始めている。中には最後の大安売りを始める店もあり、そんな店の前にはお客さんが集まっている。

 

 かなえ達も幾つか商品を買い込み、かなえのカバンに入れる。

 ララちゃんは甘いクッキーなどのお菓子を沢山選んだようだ。


「じゃあー、帰りますよー」と、みんなを木の陰に連れて行き、カーペットを出して乗り込む。

 カーペットをゆっくり浮上させて行き、みんなで収穫祭が行われていた所を忘れない様に目に焼き付ける。


「あーあ、もうお祭り終わっちゃったー!」と、寂しそうなララちゃん。

「そうね、また来年みんなで来ようね!」


「うん、ララまた来たい!」と、ララちゃんは相当このお祭りが気に入ったようだ。

 リリちゃんもジミーさんも笑みを浮かべている。



 カーペットをゆっくり浮上させて行くと、沢山の人達が馬車でそれぞれの方角へ帰って行くのが見える。


「メラニーさん、どこかなー」と、ララちゃん。


「そうねー、ミルクドームはあっちだから向こうへ向かう馬車の中に居るかもね」と、かなえは答えるが、上空からメラニーさん達の馬車を見付けるのは難しい。

 

 空が夕焼けでオレンジ色になっていて、ハッとするぐらい綺麗だ。


 

 かなえは高度を上げて行くと、スピードを出し始める。

 辺りの景色を見ながら飛行して行く。

 

 20分程すると、かなえ達にはビジブルにしているアニマルドームの山が見えて来た。


「あー、山だー。お家だよー!」と、ララちゃん。

 

 まだここに住み始めて間もないが、みんなにとってはもう我が家に戻って来た気分の様だ。


 高度を落として行き、ジミーさんの家の庭にカーペットを着地させる。

「皆さん、到着でーす。どうぞ降りてくださーい!」


 かなえは動物達の世話があるので、みんなにお土産を渡すと、

「それでは30分後に、ここで夕食にしましょう」と言い、シャワードームへ向かう。


 動物達は何時もの様に寝入っている。

 今日も1日変わりなく運動出来たようだ。

 

 順番に、農場、小屋へと、送り届けリキさんの足に薬を擦り込む。

 リキさんの足は最初の頃よりも、曲がりが減って左右の差が無くなって来ている。

 良かった。これならリンジーも喜んでくれるだろう。


 シャワードーム全体にウオッシュを掛けると、子猫達の所へジャンプする。

 ハハハッ、良く寝てるな……。

 

 子猫達はかなえが作ったドームの間のキャットタワーのフカフカな台に3匹一緒に重なるように眠っている。

 

 フフッ、台は沢山あるのにいつも3匹一緒で仲が良いな……。

 

 子猫達のドーム周辺にもをウオッシュを掛けると、終わりだ。

 隣のジミーさんの庭へ歩いて行く。



「みんな、お待たせ―」

 もう、3人とも椅子に坐ってかなえが来るのを待っていた。

 

 夕食を並べて、食べ始める。今日は日中甘い物ばかり食べていたララちゃんの為にも選んだ夕食は……、

 

 野菜たっぷりトマトとチーズのリゾット、グリーンサラダ。きのことプロの実のキッシュ。パパイヤのレモンソースに、アップルアイスティー、ジミーさんにはハーブティーだ。

 

 沢山歩いたので、みんなお腹が空いているのか黙々と食べている。



「それじゃあー、また明日ねー」


 食事も終わり、もうウトウトしているララちゃんを送り届けると、自分の部屋に戻って来る。

 

 眠る支度をしてベットに入ると、どっと体が重くなって来る。


 

 今日は、楽しかったなぁー。

 

 色々あったなぁー。と、今日あったことを反芻する。

 メラニーさんが、パイをドームシティーに届ける為にかなえが出来る事は何だろう?

 

 また明日考えよう……。


 かなえはゆっくり目を閉じた。




――――――――――――――――

 ポイント 

 

 プラス  

 マイナス  1000 森のドームのランチ 

       300  葉のかんむり

       1200 ガラスのコップ2個 

        

 残り    215万3400 

 パワー   498


―――――――――――――――― 

 予定   動物達を連れてお出掛け

―――――――――――――――― 

 給料30日目  


 牧場の従業員見習い  15万

 動物ギルド長 20万ー6万(リリララ姉妹の残業代)=14万

 アニマルドーム管理人 30万 入金予定

 



 





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