表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アニマルレスキュー  作者: コトリコトリ
94/229

094 パイの品評会 

 みんな揃って両側のお店を見ながら歩いて行くと、低い柵で囲われた広場があった。

 入口には「クラフトフェア、コンテスト開催中」と、表示されている。

 

 かなえ達が中へ入って行くと「IDカードを提示して、投票用紙をお取りください」と、入口のカウンターに座っている女性に言われる。

 

 その女性が言うには、投票は1人1枚なので、IDカードの登録と引き換えに投票用紙をもらえるそうだ。

 

「ここにある気に入った作品の中から、気に入った物を1番から3番まで書いて、書き終えたらこの投票箱へ入れて下さい」と、言われかなえ達もIDカードを見せて、投票用紙を受け取る。


 ララちゃんが良くわかっていないようなので、リリちゃんが説明している。 


 かなえ達は、番号順に置いてある作品を見て行くことにした。

 

 

 最初の列には小さな作品が多い。

 先ほどリリララ姉妹が買った動物の置物をもっと丁寧に作った感じの物や、アクセサリーなども置いてある。

 

 少し先に行くと、額縁に入った立体的な絵や、花瓶、かご等も展示されている。

 瀬戸物の展示もあり、ジミーさんはじっくりと眺めている。

 

 一つ一つの作品に番号が付いているが……ここから選ぶのは大変だな。

 

 リリララ姉妹も「これが可愛いよ」とか、「でもこっちの方がいいな」など、お気に入りを探している。


 だんだん奥に行くにつれ、大きな物になって来て家具が置いてある場所まで来た。


「どれがジョンさんの作品なのかな……」

 

 置いてある作品には番号だけが付いていて、作者の名前は表示されていない。

 わかっていたら、投票するのにな……。

 

 家具は小さな丸椅子から、大きなベットやクローゼットまで展示されていて迷ってしまうが……、


「あれ? これって……」

 どう見ても、かなえの持っている家具にそっくりで……、


「もしかして、家具職人のジョーさんも出品してるのかな?」

 

 その家具は、かなえが動物ギルドに置いてある切り株のカウンターとそっくりなデザインの、ダイニングテーブルと椅子4脚のセットだ。


 丸いテーブルの天板の部分には、きれいに切り株の年輪が描かれていて、テーブルの足や椅子の足には葉っぱの付いたツタがはっていて、見事な出来だ。おまけに何ヶ所も小鳥がとまっている。


「可愛い! このテーブル欲しい!」

 

 こんな素敵なテーブルを作ったのに、教えてくれないなんて……! と、色々な想いが浮かんで来るが、実際ジョーさんがかなえに報告する義務は無い。

 

 この作品ならみんなが気に入るだろうな……。


 かなえがずっとジョーさんの家具の前で立ち止まっていたので、リリララ姉妹が近寄って来る。


「あー! このテーブル、動物ギルドのカウンターと同じですね!」と、リリちゃん。

「ほんとだー! 同じだー」と、ララちゃんもすぐ気が付いたようだ。


 後から来たジミーさんも「そうだな、これはあの家具を作った職人と同じだろう」と、言うので間違いないだろう。


 かなえは全ての展示された作品を見て回ったが、1番印象に残っているのはジョーさんのダイニングテーブルと椅子のセットだ。


 この時点で、かなえはメラニーさんの旦那さんのジョンさんの事はすっかり忘れている。


 

 みんなで好きな作品を3番目まで選ぶと、投票箱に入れる。


「投票は1時間後に締め切りますので、2時間後に授賞式が広場の特設ステージで行われます」と、係りの女性が教えてくれる。


「あのー、作品を作った人は皆さんここに来ているんですか?」と、かなえが聞くと、

「それは、わかりませんね。作品だけ届けた方も中にはいらっしゃいますから」と、言われる。


 そうか、それならジョーさんはここに来ていない可能性もあるのねー。

 最近色々あって忘れていたが、また近いうちに顔を出してみよう……。 


 かなえ達はクラフトフェアの会場から出ると、またお店を見ながら歩いて行く。


「この先に、パイの品評会がやっているから行きたいんだけどみんなはどうする?」と、ちらしの地図を見ながらみんなに聞くと、


「ララ、メラニーさんのパイ、食べたい!」と、ララちゃん。

 

 品評会で、一般の人が食べられるのかわからないけど……、


「じゃー。行ってみようか?」と、言うとリリちゃんもジミーさんも頷いたので、品評会にもみんなで行く事にする。


 

 しばらく歩いて行くと、やはり低い柵で囲われた入口に「森のドーム、パイの品評会開催中!」と、表示されている。


 かなえ達も中に入って行くと、品評会が行われているようだが人気があるのか、結構な人だかりでよくわからない。


「ねぇー、見えないよー」と、ララちゃんはブスっとして面白くなさそうだ。

 うーん……そうだ!


 

 かなえは、ジミーさんとリリララ姉妹を木の陰に呼ぶと、カーペットを取り出してみんなに乗ってもらう。

 そして、シールドとインビジブルを掛けて、浮上して行き品評会の様子を見に行く。


「わぁー良く見える!」と、ララちゃん。


 カーペットを透過させたので、下の様子が良く見える。

 

 シールドでこちらの声も遮断されているので、宙に浮いているかなえ達の存在を知られる心配は無い。

 モモちゃん位の能力があれば別だが。

 

 

 パイがテーブルの上に幾つも並べられていて、ちょうど品評会の審査が行われている最中だった。


 数人の審査員の人達が小さく切ったパイを味見しながら、用紙に何か書き込んでいる。


 一般の人達はやはり、パイは食べられないようだ。



「あー! メラニーさん!」と、ララちゃんが指をさした方を見ると、前の方の席にメラニーさんとジョンさんが座っていて、審査の結果を見守っている。


 公正を期す為に、パイの前には数字だけで名前は書かれていないようだ。


「どれが、メラニーさんのパイかな?」と、かなえが言うと、

 

「うーん、どれかな?……ララ、あのウサギの模様のパイだと思うよ!」と、ララちゃん。

 

 フフッ、ララちゃんらしいな。ララちゃんが選んだのは上に小さなウサギが幾つも乗っていて可愛らしいパイだ。

 

 審査員の人が吟味しているのは、テーブルに乗っている20余りのパイだが、横にはそれと同じくらいの数のパイが置かれている。

 

 もしかして、予選落ちしたパイが除けて置いてあるのかな……。

 

 だとしたら、今残っているパイの中に、メラニーさんのパイがあるのかもしれない。

 審査員の様子を見ているメラニーさん達からは緊張感が伝わって来る。


 

 暫らくすると、審査員の一人が数字を読み上げる。

 その度に落胆の声や、歓声が聞こえて来る。


「35番」と、呼ばれた時にメラニーさんが嬉しそうにしている。

「メラニーさん、勝ったの?」と、ララちゃん。


「うーん、どうかな? 他の番号も呼ばれていたから、次が本番かもね」と、答える。


 全部の数字が呼ばれた後には、今まで審査されていた20個余りのパイが、端に移動させられ、また新しいパイが運ばれて来る。


 全部で5つのパイの中に「35番」のパイも置かれていた。

 一人で幾つかのパイを出品している様だ。


 

 10人ぐらいいる年齢も様々な審査員の人達がまず見た目や匂いを嗅いで、用紙に書き込んでいく。

 

 その後に、審査員達は席に座り目隠しをされる。

 そして、5つのパイが小さく切り分けられ、一つづつ審査員が味見をする。

  

 さっきの20個余りのパイは、種類も色々だったがこの5つのパイは一緒で、最終審査はパンプキンパイのようだ。


 目隠しをされながら味見をするのってなかなか大変そうだな……。

 審査員の人達も責任重大だ。


 一通り、審査が終わり、投票が始まった。

 10人の審査員が1番に選んだパイの番号が読み上げられて行く。

 

 そして、その呼ばれた番号に棒が書き加えられていく。

 メラニーさんの35番も呼ばれる。


 1番多く呼ばれたのは……残念ながらメラニーさんのパイではなかったが、2番目の3人の票が入った。

 メラニーさん、おしい!


「メラニーさん、勝った?」と、ララちゃん。

「ううん、惜しかったけど2番目よ。でもそれでも凄いよね?」


「そうですね。こんなに沢山のパイの中から2番目に選ばれるなんて凄いです!」と、リリちゃん。


 そうか、リリちゃんも料理を勉強するようになったから、大変さが分かるんだろうな。


「うん、ララ、メラニーさんのパイ好きだよ!」と、ララちゃん。


 結果が出たので、もうお開きの様だ。どうやら、この品評会に出品されたパイはみんなで試食できるらしい。


「あー! パイ食べてるー」と、ララちゃん。


「わかった! それじゃー下に降りるねー」と、かなえはまた木の陰にカーペットを着地させるとシールドとインビジブルを解除して、


「はーい! 降りていいですよー」と、声を掛ける。


 すると、

「おねーちゃん、パイ食べに行こ―!」と、走って行くララちゃんと、後に付いて行くリリちゃん。

 

 かなえと、ジミーさんもゆっくりと歩いて後を追う。


 先ほど品評会が行われていた場所には、テーブルの上に幾つもパイが並べられていた。パッと見た所100個以上のパイが並べられている。


 先ほど見学していた人達が、パイの周りに集まっている。



「ララこれがイイ!」と、ララちゃんは好みのパイを見つけたようで、リリちゃんに取り分けてもらっている。

 

 かなえもせっかくなので、美味しそうなパイを選んでお皿に乗せる。


 

 リリちゃんもララちゃんも、もうパイを夢中で頬張っている。

 ジミーさんが食べているのは、紫色なのでブルーベリーパイだろう。

 かなえは洋ナシのパイにしたが、梨がタップリと入っていて、とても美味しい。


「みんな、味はどう?」

「ララのアップルパイ、すごくおいしーよー!」

「私のアプリコットパイも、美味しいです」と、リリちゃん。

 


 すると、前からメラニーさんとジョンさんが近づいて来る。

「あらー、かなえ、来てくれたのねー。ララちゃんも一緒ね。ありがとう」と、メラニーさん。

 

 かなえはみんなに、メラニーさんとジョンさんを紹介する。


「メラニーさん、惜しかったですね。あとちょっとで1等賞だったのに……」


「フフッ、そうね、でも一生懸命にやったから悔いはないわ。今はとっても気分が良いの」と、メラニーさんは本当にサッパリとした感じで笑う。


 ジョンさんと、ジミーさんは同じ世代だからか、話を弾ませている。


「ララちゃんも可愛いけど、お姉ちゃんのリリちゃんも可愛いわねー」

「リリちゃんはしっかりとしたお姉さんで、最近料理教室にも通っているんです」

「まぁーそうなの?」


 メラニーさんが言うには、品評会で1等賞を取るとオクタゴンの料理教室で、臨時の先生としてお菓子の作り方教える事になるそうだ。


「もう少しで、リリちゃんにパイの作り方を教えられたのに残念ね」と、メラニーさん。

「でも私、メラニーさんのパイが大好きです。いつか教えてくれませんか?」と、リリちゃん。


「あらー、もちろんよ。あなたならいつでも大歓迎よ!」と、メラニーさん。

「ララは、お姉ちゃんの作ったパイを食べるー!」と、ララちゃん。


 

 メラニーさんはまだ片付けが残っているそうなので、表彰式で会うことにして、かなえ達は他も見て回る事にする。


 





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ