091 ジミーさんとシャワードーム
「そうかい! それは楽しそうだな」と、ジミーさん。
かなえはテーブルを片付けると、ジミーさんと動物達のいるシャワードームに向かう。
「それでは、移動します」
シャワードームの中心にある休憩場にジミーさんを連れて来ると、
「ワァー! 何だここは!」と、声を上げるジミーさん。
今は、ジジさんと、ババさんは休憩場で横になって休んでいるが、その他の動物達はまだ、楽しそうにドームの中で飛び回っている。
「ジミーさん、マリー達はあそこですよー」と、教えるとジミーさんはマリーの居るドームに近づいて行く。
「何ともスゴイなー! でも、マリーが楽しそうだ……」
ジミーさんに気が付いたマリーがドームの中から温風トンネルを通って外に出て来る。
「ジミーさんにここの事を話したら、見てみたいって言うから一緒に来たの」
『お爺さん、このドーム楽しいわよ。一緒にやる?』
「ジミーさん、マリーが楽しいから、一緒にやらないかって誘ってますけど……」
「えっ、私がかい? だが、ビショビショになるしな……」
「それなら、心配ありません。ジミーさん用の水着はありますし、温風で乾かせるので風邪も引きませんよ」
「そうかい? ハハッ……」
ジミーさんは、まだ病み上がりだが、ジジさん達用のドームなら重力も減らしているので、体への負担は少ないだろう。
「大丈夫だと思います。軽く弾む程度ですし、楽しいと思いますよ?」
「そうかい? それなら……」と、ジミーさんはやってみることにした様だ。
「マリー、ジミーさん試して見るって! でもマリー達のドームよりジジさん達のドームの方が動きがユックリだから、あっちに入ってね」
『ええ、わかったわ……フフッ。お爺さんと一緒に遊べるなんて嬉しいわ!』と、マリー。
かなえはフォルダからメンズの服を開け、半そで、短パンの水着を選ぶ。するとジミーさんの服が一瞬で水着に変わる。
「うわぁー! 私の服がー!」
「大丈夫ですよ。 また後で元の洋服に戻れますから」
かなえ達はグッスリ眠っているジジさん、ババさんの横を歩いて行き、ドームの前に移動して来る。
「それでは、ここからマリーの後に入って行ってください」
「うん」と、緊張気味に頷くジミーさん。
「マリー、ジミーさんはマリーの後から入って行くって」
『わかったわ』と、マリーはジミーさんをチラッと見ると、中に入って行った。
「まず、トンネルシャワーがあり全方向からシャワーが出ますが、そのまま先に歩いて行ってくださいね」
「うん、わかった」
ジミーさんはマリーの後から、トンネルシャワーに入って行く。
すると、
「ワァー! 何だこれはー。うー」と、声を上げる。
マリーはシャワーが勢いよく流れるドームの中でジミーさんのが入って来るのを待っている。
ジミーさんがシャワードームに入って行くと、マリーがユックリ飛び始める。それを見たジミーさんも、足を曲げて飛ぶとフワッと浮き上がる。
マリーがもう少し強く飛ぶと、上の方まで浮き上がる。そして、ジミーさんも真似をして、足を踏み込んで飛ぶとマリーと同じくらい高く浮いて……。
マリーがお手本を見せてジミーさんが真似をして、コツをつかめて来たジミーさんは、
「わぁー! はぁー、アハハハ! 体が浮いているぞー!」
『そうそう! お爺さんその調子―!』と、マリーも楽しそう。
ジミーさんは、全方向からのシャワーの中で、飛んだり浮いたりの初めての感覚に慣れて来た様だ。
「シロン、ジミーさんの体調は大丈夫かな?」
「はい、最近体調は良くなって来て居ましたが、このシャワードームに入ってから、免疫力、健康の数値が上がっています」
へぇー、このシャワードームのお湯の成分には、何も効能を付けてなかったはずだけど……。
「おそらく、マリーと一緒に居る楽しさで、両方の数値が上がったのでしょう」
なるほど……。ジミーさんにとってマリーは本当に大切な存在なのね。
「マリー、アハハッ、そうだ。行くぞー!」と、ジミーさんは子供みたいにはしゃいでいる。
ドームから出て来たリキさんもいつの間にか、マリー達を眺めている。
『ははっ、楽しそうに飛んでいるじゃないか』と、リキさん。
「そうね。マリーも、ジミーさんも嬉しそう」
……本当に、良かったな。
暫らくすると、さすがに疲れたのか、ジミーさんが温風シャワーを通って外に出て来る。
「ハァハァ、私はまさかこんな体験が出来るとは思わなかった! マリー楽しかったな」と、ジミーさんは後から出て来たマリーに抱き着く。
『お爺さん、また一緒に飛びましょうね』と、言いながらマリーはジミーさんの顔をペロリと舐める。
「ジミーさん、マリーがまた一緒に飛ぼうって言っていますよ」と、かなえが通訳すると、
「そうか、マリーそうだな。また一緒に飛ぼう!」と、ジミーさんは涙ぐむ。
「ありがとう、かなえさん。あなたが居なかったらこんな幸せな気分を味わうことが出来なかったよ」と、ジミーさん。
「いいえ、ジミーさんが今までマリーを大切に育てて来たから、マリーにも通じたんだと思います」
ジミーさんが疲れたのか、眠そうにしているので、
「どうしますか? ここで休憩しても良いですし、お家にお連れする事も出来ますけど」
「そうだな……私はちょっとここで横になって行くよ」と、ジミーさんは言うと柔らかい休憩場の床に寝転がり目を閉じた。
久しぶりの運動で、疲れが出たのだろう。
それを見たマリーもジミーさんの隣に体を横たえる。
「シロン、念の為ジミーさんに、ついでにリリララ姉妹にも空中階段機能を付けておいてくれる? 高さは普通の階段でいいわ」
「はい、わかりました」
「ところで、子猫達はまだ寝てるの?」
「はい、もう少しで起きそうです」
そうか、それなら今のうちに行っておこう。
かなえは子猫達の小屋にジャンプして行く。
マーブルが伸びをし始めて、パチッと目を開ける。
『カナカナ?』
「おはよう、マーブル。良く寝てたね。外に面白いものを造ったからおいでよ」
『おもしろいの?』と、マーブルは興味津々だ。
「こっちだよー」と、かなえが外に出てマーブルを呼ぶと、スタスタっと、軽い足取りで小屋から出て来る。
「ほらー、あそこにあるでしょー」と、2つのドームのある所を指すと、
『あーっ! なにー?』と、走って近寄って行く、マーブル。
かなえはマーブルに、
「こっちはトランポリンドームで、ポンポン弾んで楽しいよ。それで隣のドームはお湯がいっぱい出て来て、飛べるんだよ」と、説明する。
『ふーん、ぼくあそびたい!』と、マーブルはシャワードームに入って行こうとするので、
「マーブル、最初はこっちのドームに入ればいいよ!」と、かなえが勧めると、
『うん、いいよー』と、トランポリンドームに入って行く。
いきなり、びしょ濡れになるよりまずはトランポリンで慣れた方が良いだろう……。
『わぁー! いっぱいボールがある!』と、中に入って行ったマーブルはボールの多さに驚いている様だ。
「マーブル、そこで飛んでみて。弾むよ」と、かなえがドームの外から言うと、
『こう?』と、その場で飛び上がり落ちた途端にまたポーンと高く飛んだ、マーブルは、
『わっ! いっぱい飛べるよー!』と、ピョンピョン飛び跳ね始める。マーブルが動くたびにボールも一緒に飛び上がるので、ますます面白い様だ。
『ボールも飛んでるよー! わぁー!』と、マーブルが大きな声で叫んでいるので、タイガとレインも目が覚めたのか、ドームの側まで走って来た。
『カナカナ、マーブルどーしたの?』と、タイガが興味深々で聞いて来る。
「あっ、おはよう。タイガ、レオン。今、マーブルが遊んでるからあなた達も一緒に中に入って遊んでみて。ここから入るんだよ」と、かなえが教えると、
『うん、わかったー』『いいよー』と、レオンとタイガがマーブルの居るドームの中に入って行く。
一瞬、沢山のボールと弾んでいるマーブルを間近に見て、驚いたようだが、
『みんな、飛んでみてー、おもしろいよー』と、マーブルが言うと、タイガ達も見よう見まねで、飛び始める。
『うわぁー』『跳ねる―』と、初めはヨタヨタしていたが、少しずつやり方が分かったようで、マーブルと同じくらい飛べるようになって来た。
『わぁー、飛んでるよー』『たか―い!』『いくぞー!』と、3匹は楽しそうに跳ねている。
もともと身軽で運動神経も良いので、ボールと同じくらい軽快な動きを見せ始める。
子猫達は、このトランポリンドームが気に入ったようだな……。
シャワードームの方は、すぐに勧めなくてもいいだろう。
「かなえ、ジミーさんが目を覚ましました」
「そう、ありがとう」
遊んでいる子猫達は問題無さそうなので、ジミーさんの所へ移動する。
「ジミーさん、目が覚めましたね。気分はどうですか?」
マリーも目を覚まして、ジミーさんの横に坐っている。
「ああ、かなえさん。私はどれくらい眠っていたのかね?」
「そうですね。ほんの1時間ぐらいでしょうか」
「そうかい。その割には頭がスッキリしたなぁー。マリーと年甲斐も無く一緒に飛び跳ねてしまったよ」
「マリーも、とっても喜んでいますよ。ねー、マリー?」
『あたし、お爺さんが元気になってくれてとっても嬉しいわ』と、マリー。
かなえがジミーさんにマリーの言葉を通訳すると、
「そうかい、マリー。私も嬉しいよ」と、ジミーさんはマリーの頭をポンポンと軽くたたく。
「かなえさん、そろそろ服を着替えたいんだが……」と、短パンとタンクトップの水着のジミーさん。
「あっ、そうでしたね」と、かなえはポーチのフォルダからジミーさんの服を見つけて、水着と入れ替える。
一瞬で元の自分の服に戻ったジミーさんは、
「色々と、不思議な事ばかりだが、マリーとこんなに楽しい時間が持てたのは、かなえさんのおかげだよ。ありがとう」
「どういたしまして。ジミーさんにも他の動物達と同じ階段機能を付けましたので、ここへも好きな時に来れますからね」
「ハハッ、そうかい。ちょっと色々刺激が強すぎるから、また次の機会に試してみるよ」と、ジミーさん。
「わかりました。それではもうお家に帰りますか?」
「そうだな、仕事を途中で来てしまったからそろそろ戻ろう」
マリーは、まだここに居るそうなので、ジミーさんを連れて家に戻って来る。
「それじゃぁー、夕食の時に声を掛けますね」と、仕事場に向かうジミーさんに言う。
そのあとかなえは、隣の子猫達の所へ様子を見に行く。
さすがに子猫達はトランポリンドームで飛び跳ねて疲れたようで、ドームの中で眠っている。
かなえはドームとドームの間に設置した休憩場を外すと、子猫達のドームと同じ2メートルの高さのキャットタワーを作る。
台を互い違いにして、階段の様に上に登って行けるようにする。台は子猫が横になれる広さがあるので、ゆっくりお昼寝が出来るだろう。台の上はフカフカした柔らかい素材にしておく。
子猫達の所で、いろいろ楽しめるように工夫していたが、夕方になって来たので、ドームの動物達の様子を見に行く。
フフッ、みんな良く眠っている。ルークス達は居ないようだ。
かなえは順番に、動物達を牧場や小屋に送り届けリキさんの足に薬を塗る。
ドーム全体にウオッシュを掛け終わると、ジミーさんの庭に移動して行く。
……子猫達の庭の方からリリララ姉妹の声がして来る。
2人共もう戻って来たんだな。
かなえも隣に向かうと、出来上がったばかりの子猫達のドームとキャットタワーを、見ているリリララ姉妹が居た。
「お帰り。ご苦労さまー」
「かなえさん! これは何ですか!」と、リリちゃん。
「これなーに?」と、ララちゃん。
二人とも見たことの無い物に興味深々だ。
「それは、子猫達の為に造った、ドームよ。中で飛んだり跳ねたりできるのよ」
「ふーん」と、リリララ姉妹はかなえの説明に納得したのか、子猫達の寝ているトランポリンドームの中を、ジーッと見ている。
「子猫達は眠ったばかりだから、また起きたら遊んであげてね。そろそろ夕食にしよう」
かなえはリリララ姉妹をジミーさんの庭へ連れて行く。
「ジミーさん、そろそろ夕食にしませんかー」と、かなえが仕事場まで行きジミーさんに声を掛けると、
「そうかい。今、行くよ」と、ジミーさん。
かなえはテーブルに料理を並べ始める。
みんな揃ったところで。夕食にする。
今日のメニューは、
みんな揃って、ジャングルフードのトロピカルランチだ。ランチだが夕食にしても問題無いくらい色々入っていて楽しめる。
「ワァー! バナナの葉っぱ―」と、リリララ姉妹もここの料理が好きなので大喜びだ。
夕食の間、リリララ姉妹は今日あった事を話し始める。特に牧場からカーペットでドームシティーに行った時の様子を、事細かくジミーさんに説明する。
ジミーさんも今日は、マリーと一緒にドームの中で飛び跳ねるという、忘れられない経験をしたが、リリララ姉妹の勢いに負けて話しそびれている感じだ。
これ以上リリララ姉妹を刺激し、眠れなくなると困るので、夕食を食べ終わると、早めに切り上げる事にする。
「それでは、また明日ね。明日の出発は10時ですよー。おやすみなさい!」
かなえは挨拶を済ますと、自分の部屋に戻って来る。
ゆっくりお風呂に入り、寝る支度を済ますとベットに入る。
今日もいろいろな事があったな。
ジミーさんは、マリーと遊べて喜んでいたな。
リリララ姉妹が空を飛んで興奮していた時の様子も思い出す。
あんなに喜んでくれるなら、明日のお祭りにも4人でカーペットで向かうのもいいかな。
ジャンプで移動だと簡単だが時間もあるし……そうしよう。
かなえは灯りを消して、眠りに就いた。
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ポイント
プラス
マイナス
残り 215万5900
パワー 498
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予定 日曜日 秋の収穫祭
動物達を連れてお出掛け
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給料30日目 牧場の従業員見習い 15万
動物ギルド長 20万ー6万(リリララ姉妹の残業代)=14万
アニマルドーム管理人 30万 入金予定




