086 ララちゃんと一緒
『カナカナ、パンですよー、おきて―』
「うーん……」
『カナカナ、パンちょーだい、オハヨー」
「はいはい、起きまーす」
かなえは思いっきり伸びをすると、ゆっくりベットから降りて、居間に歩いていく。
かなえはリトくんの、残り少ないご褒美パンを出すと、
「はい、どれがいい?」と、聞く。
『うーん、えーと、小さいツブツブパンがイイ』
「うん、わかった、ハイ、どうぞ」
リトくんが選んだのは雑穀とナッツの入ったパンだ。
『ツブツブいっぱい、おいしーなー!』
やっぱり、雑穀パンが好きなのねー。
リトくんは、嬉しそうにクルクルと回っている。
「そうだ、リトくん、あのジャンプミラーどうだった?」と、かなえが聞くと。
『ぼくねー、すぐやまいけるし、かえれるよー』と、リトくん。
使い方はちゃんと理解している様だ。
「そうね、だから便利になったでしょ?」
『うん、べんり、べんり!』と、羽をパタパタとさせる。
かなえが出かける支度をしている間にリトくんは、いつの間にかピーちゃんの家に戻って行ったようだ。
「さぁー、今日も一日がんばろー」
準備が終わったので、牧場にジャンプして行く。
「おはようございます、ジジさん、ババさん」
『ああ、おはよう!』と、今日も落ち着いた雰囲気のジジさん。
「あら、かなえさん。お元気? 今朝も来てくれてありがとう」と、ババさん。
まだ話がしたそうだったが、毎回ジジさんに止められるので、挨拶だけで済ませるようになって来た。
「では、移動します」と、かなえはアニマルドームの砂浜へ、2頭と一緒に移動して行く。
「今日も一日楽しんで下さいね」と、砂浜からエスカ機能で昇って行くジジさん、ババさんを見送る。
そうして、ジミーさんの家の庭にジャンプして行くと、ジミーさんとリリララ姉妹に、マリーと子猫達も一緒に、遊んでいた。
「みなさん、おはようございます」
かなえは挨拶を済ませ、庭のテーブルの上に朝食を並べ始める。
今朝のメニューは、プロの実とブロッコリーのソテー、人参とポテトのコンソメスープ。クロワッサンに、フルーツグラノラ入りヨーグルト。
それに、ジミーさんにはコーヒーとグレープフルーツジュース、かなえとリリララ姉妹にはココアにグレープフルーツジュースだ。
「準備出来たよー」と、かなえがみんなを呼び、テーブルに着くと食べ始める。
「今日は、皆さんは何をする予定なの?」と、かなえが聞くと、
「私は、体調が良いのでそろそろ何か作り始めるよ」と、ジミーさん。
「私は料理教室に行こうと思っているんですが……」とリリちゃんが少し困り顔だ。
「ララちゃんは、お絵描き教室かな?」とかなえが聞くと、
「ララねぇー、今日はお留守番してお家でお絵描きする―」と、ララちゃん。
どうしたんだろう……昨日はあんなにお絵描きするのが楽しそうだったけど。
リリちゃんが困っているのはララちゃんが理由だな……。
「そう、ならララちゃんは私と一緒に牧場に行こうか?」と、かなえが聞くと、
「うん、ララ、ぼくじょー行くー!」と、嬉しそうだ。
「かなえさん、でも……」と、リリちゃんが遠慮している様だ。
「いいよ。リリちゃん。とりあえずお昼になったら、リリちゃんのところへ連れて行くから、それからはどうするか決めよう」
「やったー、ぼくじょー、ぼくじょー!」と、ララちゃん。
「はい、ありがとうございます」と、リリちゃん。
「わたしは、ずっと仕事場に居る予定だから隣で絵を描くなら、ララちゃんを見て居られるが……」と、ジミーさん。
「今日は大丈夫だと思いますが、いつかお願いするかもしれません」と、かなえがジミーさんに伝える。
リリちゃんは支度をする時間なので、かなえ達も出掛ける事にする。
「さぁーそれじゃーララちゃん、行こうか」
「はぁーい!」
かなえはいつもの様に、牧場の牛舎にジャンプして来る……ララちゃんを連れて。
「わぁー、大きいいれものー、なにこれ?」と、ミルクのタンクを見て、質問するララちゃん。
「これはねーミルクのタンクよ。大きいでしょー」
「うん」と、ララちゃんは知らない場所に興味深々な様だ。
その隙に、かなえはサッと、ウオッシュを掛けて行く。
「さぁー、ララちゃん、今度は隣に行くよー」
「はぁーい」と、二人で牛達の部屋に来ると、
「牛さん、いないねぇー」と、ララちゃん。
「そうなの。いつも外で生活しているのよー」と、説明しながらウオッシュを掛けて行く。
「ララちゃん、じゃー隣に移るよー」と、隣の部屋に入って行きエサや水の交換をしてウオッシュを掛ける。
「わぁー、大きい鏡がある! この鏡もララのお家に行けるの?」とララちゃん。
「ううん、この鏡は普通の鏡だからいけないよ。牛達が鏡に興味を持ったみたいだから取り付けたのよ」
「ふーん」と、ララちゃんはいろいろと観察している。
「ララちゃん、外行くよー」と、牛舎の掃除が終わると、ララちゃんと一緒に 外に出て来る。
すると、家の中に入ろうとしているメラニーさんの姿が見えた。
「メラニーさん、こんにちは」と、かなえが挨拶すると、
「2日続けて会えるなんて珍しいわね! あら、その子は?」と、ララちゃんを見つけたメラニーさん。
「この子は、動物ギルドでお姉ちゃんと一緒に働いてもらっているララちゃんです」
「まぁー可愛いわねー。そうだわ! 今、パイが焼けたところなの。おばちゃんの家で食べて行かない?」と、メラニーさん。
「うん、ララ、パイ食べたーい!」と、予想通りの答え。
「ありがとうございます。すみませんが、ちょと牧場を見て来たいので、ララちゃんだけ先にお邪魔してもいいですか?」
「いいわよー! あなたのパイも取っておくわね」と、メラニーさん。
メラニーさん、毎日パイを焼いているんだな……。
「それじゃー、お願いします」と、かなえはメラニーさんと嬉しそうに家の中に入って行くララちゃんに声を掛けると、牧場に向かう。
さぁー! 早く済ませちゃおう。
かなえはスクーターに乗り、牧場の中にウオッシュを掛けて行く。
まずは柵の点検をしながら、牧場の外回りを見て行く。
気になる所に、何度かウオッシュを掛けたり、汚れを取ったりしながら一周すると、今度は外側からグルグル渦巻きの様にウオッシュを掛けて行く。
一通りウオッシュを掛け、牛達の体調も問題無さそうなので、メラニーさんの家まで移動する。
お土産用に、アニマルドームのフルーツを袋に詰めて、扉を鳴らすと、
「かなえ! 入って来ていいわよー」と、メラニーさんの大きな声が聞こえる。
「お邪魔しまーす」と、かなえは扉を開け中に入って行くと、居間のソファーにララちゃんとジョンさんが座っていた。
「ジョンさん、お久しぶりです」
「やぁー、かなえさん。よく来たねー」
「いきなり二人で押しかけてすみません」
「こんな可愛い子達が押しかけてくれるなら、いつでも大歓迎さ!」と、ジョンさんは、機嫌がいい。
「ララちゃん、口の周りにクリームがいっぱい付いてるよー」
「うん、ララ、このケーキすきー」
ララちゃんの前には、メラニーさんお手製のホイップクリームがたっぷり乗ったパイが置かれている。
隣に座っているジョンさんが、楽しそうにララちゃんの口の周りをふき取ってくれる。
「かなえも座ってて。今、パイを持ってくるから」と、メラニーさんはキッチンに入って行くので、後を追いかけて行き、
「メラニーさん、これフルーツです。どうぞ」と、渡すと、
「まぁー! こんないっぱい、ありがとう。これでまたパイが作れるわぁー!」と、メラニーさんは、嬉しそう。
かなえもメラニーさんが持って来てくれたパイをごちそうになる。かなえのパイもホイップクリームがたっぷり横に添えてある。
今日のパイは、中にレモンカスタードと色々なベリーが入っていて、ホイップクリームとも合う。
「今日のパイも美味しいです」
「ありがとう、でもどのパイを今度の収穫祭に出すかまだ決まらなくて……」と、メラニーさん。
毎日作っているだけあって、お店で売れそうに美味しい。
「メラニーさんのパイなら、どれも間違いないと思います」
「そう? ありがとう」
ララちゃんは、また口の周りをクリームだらけにして、パイを頬張っている。
暫らく雑談をしていたが、まだやることが残っているのでララちゃんと、一緒に帰ることにする。
「じゃぁー収穫祭で会いましょうね。ララちゃん、またお家にも遊びに来てね」
「ハーイ、ララまたパイ、食べに来るね」と、元気に答えるララちゃん。
「まぁー、ウフフフッ」と、孫を見るような目でララちゃんを見つめるメラニーさん。
かなえ達は、家から出ると一旦子猫達の様子を見に行く。
小屋に入って行くと、今にも起きそうな様子の子猫達。
かなえはウオッシュを掛けると、
「ララちゃん、私はまた掃除をして来るから、猫ちゃん達と遊んでる?」
「うん、ララ、ここに居る」と子猫達の様子を眺めながら答える、ララちゃん。
「そう。じゃぁー行って来るね。後で迎えに来るから、一緒にリリちゃんのところへ行こうね」
「うん、いいよー」と、ララちゃん。
なので、かなえはジャンプで動物達の小屋へ行き、順番にウオッシュを掛けて行く。
最後のリキさんの小屋まで、ウオッシュを掛けると山の一合目の温泉から順番に綺麗にして行く。
雲の温泉まで来ると、動物達が勢ぞろいで温泉に入っている。
「みんな、調子はどうですかー?」
『いいぞー』『いいわよー』と、声が掛かる。
『そういえば、ドームシティーに温泉が出来たそうだが、わし達も行けるのかい?』と、キングス。
「えっ!? ドームシティーの温泉に興味があるの? もちろん、行きたかったら連れて行けるけど……」
『そうか、わしらも行ってみたいと話して居たんだが』と、ジジさん。
『そうね、ちょっと興味があるわ』と、ババさん。
「わかりました。それなら、4か所あるので2頭づつ違う所に行ってみますか?」
『ああ、それで構わないぞ』と、キングス。
「それでは、準備が出来ている方から移動できますけど……」
『わし、はいつでもいいぞ。クイーンもいいだろう?』とキングスが、風呂から上がって来る。
『ええ、いいわよ。行きましょう』と、クイーン。
「わかりました。それではキングスとクイーンに、最初に移動してもらいます。入口にあるトンネルシャワーの中に着くので、そのまま前に進んでください。休憩も出来ますし。放牧地に牧草やトイレもありますよ」
そうして、キングスと、クイーンを北門の温泉に移動させて行く。
「ジジさんと、ババさんも行きますか?」
『そうだな、頼むよ』と、ジジさんの後に、ババさんも湯船から出て来たので、東門の温泉にジャンプで移動してもらう。
「マリーとリキさんも行く?」
『そうね、ちょっと興味があるから行ってみるわ』と、湯船から上がって来るマリー。
『それじゃーわしも、行ってみようか』と、後に付いてお風呂から出て来るリキさん。
「はぁーい、それでは移動しますよー」と、マリーと、リキさんを南門の小型中型用の温泉にジャンプで連れて行く。
誰も居なくなった雲の上の温泉に、念入りにウオッシュを掛けると、ララちゃんと子猫達の居る所へ移動する。
「ララちゃん、お待たせー」
ララちゃんは子猫達の後を追って、丘の中を覗いていた。
かなえは丘に近寄ると、子猫達も一緒にウオッシュを掛ける。
「じゃぁー、リリちゃんのところへ行こうか?」と、聞くと、
「うん、いいよー」と、ララちゃん。
ジミーさんは仕事部屋に居るようなので、ララちゃんと一緒に歩いて行き、
「ジミーさん、これからお昼を食べに行きますけど、ジミーさんはどうしますか?」と、外から声を掛ける。
すると、窓から顔を出して、
「私は、まだ手が離せないから、今日はいいよ」と、ジミーさん。
なので、ジミーさんに。イタ飯屋のクリームパスタのセットと、コーヒーを渡しておく。
「じゃぁー、ララちゃん行こうか」と、二人で一緒にリリちゃんのところへジャンプで移動して行く。




