083 学校見学
かなえはルークスとモモちゃんを連れて、雲の温泉に移動して来る。
キングス達もジジさん達も、ゆっくり湯船に浸かっている。
ルークスとモモちゃんはキングスとクイーンの所へ近寄って行き楽しそうに話し始める。
「マリーと、リキさんはまだか……」
「シロン、マリー達はどこに居るの?」
「今、エスカ機能で、リキがこちらに登って来ます」
へーっ! マリーの教え方が良かったのかな?
かなえは山の下の方を眺めると、マリーとリキさんが近づいて来るのが見える。
「リキさん、がんばれー!」
かなえは昇って来るリキさんを応援する。いくらエスカ機能とはいえ、シニア犬で、足も怪我しているリキさんには結構きついだろう。
マリーが励ますようにリキさんと一緒に、空中階段で昇って来る。
やっと頂上まで辿り着いたところで、
「リキさん、がんばりましたね。そこにお水がありますから飲んでください」と、言うと、
『ハァ、ハァ、こんなに運動したのは久しぶりだ……でも不思議と足が痛くならないな』とリキさん。
「そうですか、少しづつ快復しているんだと思います。ここの温泉も足に効く成分が入っていますからゆっくり温まって下さいね」
『そうか、それは助かる』
ジジさんは水飲み場に行くと、ガブガブと飲み始める。
「マリー、リキさんに付いて来てくれてありがとう。リキさんはもう、自力でここまで昇って来れそうね」
『そうね。もうこれからは問題無さそうよ』
リキさんが落ち着いたようなので、
「皆さん、この犬が暫らくこのドームで生活する、リキさんです。宜しくお願いしますね」と話す。
『あー、えーと、リキだ。よろしく頼む』と、リキさんは緊張しているようだ。
白い大型犬が珍しいのか、ルークスとモモちゃんがリキさんに近寄って行く。
『リキ―、ぼくルークスだよー』
『モモちゃんは、モモちゃんだよー』と、紹介している。
かなえは順番に、キングス達とジジさん達を紹介し、
「それじゃー皆さん、ごゆっくりどうぞ」と、お爺さんの家の庭にジャンプで戻って行く。
「お待たせしましたー!」と、庭で待っているみんなに声を掛けると、
『いいんじゃよ。かなえさんは忙しいんだからな』と、お爺さんん。
「子猫達寝ちゃいましたー」とリリちゃんとララちゃんが両手に抱えている。
「そう、なら小屋に寝かせて来ようか」と、みんなで一緒に隣の小屋へ歩いて行き、子猫達をクッションの上に寝かせる。
「それでは、今度こそ出発しましょうね。まずは……お爺さん、何処まで行きますか?」
「私は、前に住んで居た辺りに連れて行ってもらえれば、近くにあるので後はどうにかするよ」
「わかりました。帰りは夕方16時頃でいいですか?」
「ああ、そうしてもらおうか」と、お爺さん。
「荷物は私のカバンにいくらでも入りますから、大きくてもかまいませんからね」
「そうか、それは助かるな」
「それじゃー、移動します」と、インビジブルにしてお爺さんとリリララ姉妹も一緒に、お爺さんの住んで居た倉庫街に移動する。
「じゃぁ、またここに迎えに来ます」と、お爺さんだけビジブルにして、今度はオクタゴンにジャンプで移動する。
かなえ達が移動して来たのは、オクタゴンの学校がある、スクール棟の第4エントランスの前だ。
「はい、お待たせ―。この第4エントランスからが、一番近いみたいよ」
かなえ達は守衛さんの居る入口を通り、スクール棟の中へ入って行く。
入口の所には沢山の教室の名前とレベルが記入されている。
「あっ! 料理教室があったー!」とリリちゃん。
「でも、あれはレベル5だから、リリちゃんはまずレベル1から始めた方がいいかもね」
暫らく掲示板を眺めていると、お絵描き教室レベル1を見つけた。
「ララちゃんは、このクラスでいいみたい」
「あっ、あったー」とリリちゃんも料理教室レベル1を見つけたようだ。
それじゃー、クラスに行ってみようか。リリララ姉妹のクラスの場所は幸い同じ2階の様なので、入口の横の階段を上まで昇って行く。
階段を昇った所に2階の教室の案内が出て居る。
「リリちゃんの料理教室1は、一番奥から2番目ね。ララちゃんのお絵描き教室は……あ、すぐそこね」
かなえとララちゃん、それにリリちゃんも気になったようで、一緒にお絵描き教室に入って行く。
中に入って行くと、30代の女の先生がフルーツの乗ったカゴを見ながら絵の描き方を説明している。
大きな丸いテーブル6卓の周りに生徒さんが5、6人坐っていて、年齢層は子供から年配の人まで様々だ。
女の先生が、
「見学ですか? どうぞ入って下さい。ここから紙とペンを選んで開いている席に座って下さい」と、言われる。
「あのー、この女の子だけで見学してもいいですか?」と、かなえが聞くと、
「はい、いいですよ」
その先生は、ララちゃんに話しかけ、紙とクレヨンを渡し、先生の側の席に連れて行く。ララちゃんは、問題無さそうなので、リリちゃんと一緒に教室から出て来る。
次は、リリちゃんね。
かなえはリリちゃんと一緒に一番奥から2番目の教室に向かう。
並んでいる教室は歌っていたり、ダンスをしていたりと実技のクラスが多い様だ。
料理教室1まで来ると、いい匂いがして来た。
リリちゃんとかなえは教室の中へ入って行く。
先生は、年配の女の先生で、
「あら、あなた達は見学かしら? そこで、手を洗ったら、そのエプロンをしてこっちに来てちょうだい」と、言われる。
「あのー、見学はこの子だけなんです。宜しくお願いします」
「あらそう、わかったわ。じゃーあなた、準備が出来たらこの席に座って」と先生に言われ、リリちゃんも問題無さそうなので、かなえは教室から出て行く。
リリちゃんの料理教室1も、生徒さんは子供から年配の人までいた。
見学なのに、すぐに席に座って一緒に学べるんだなぁー。
思ったより気軽に学べそうだな。
さっ、とりあえずみんなのクラスが終わる、お昼までにできる事は……、
「シロン、リトくんはどうしてる?」
「はい、先ほどからドームシティーの中を飛び回っているようです」
リトくん、一度始めると終わるまで一直線だからなぁー。
かなえはちょっと心配になったので、リトくんのいる所に移動して行く。
ジャンプでやって来たのは、オクタゴンの中のセンターパークのベルハウスの側だ。
リトくんはどこだろう……あ、あの木の枝の所に雀が居るけど、リト君かな?
「リトくーん!」かなえはリトくんらしき鳥に向かって名前を呼んでみると、
『あーっ、カナカナ!』と、リトくんは舞い降りて来てかなえの肩にとまる。
「リトくん、大丈夫? 飛び回って疲れたんじゃない?」
『ぼく、こまっているどうぶつ見つけるよー!』
「うん、そうね。でもリトくん、ずーっと探さなくていいのよ。例えば朝だけ探すとかはどうかな? 疲れて病気になったら困るでしょ?」
『うん、でもぼくごほうびパンほしい!』
困ったなぁー。
「シロン、お願い」
「はい、どうぞ」
かなえはバックを開けてみると、何かの木の実が入っていて注意書きには「頑張り過ぎの雀用、精神安定の木の実」と表示されている。
かなえは早速、
「はい、リトくん、木の実食べる?」
『あー、きのみー!』と、パクッと口の中に入れる。
『おいしー木の実、おいしいーなー』と、リトくんは嬉しそうにしている。
「そう言えば、ピーちゃんはどうしたの?」
『あー! 忘れてた。ぼくピーちゃんのとこ行くね』と、リトくんは飛び立って行く。
リトくん、午後からはピーちゃんとのんびり過ごしてくれればいいけど……。
「シロン、思ったんだけど、リトくん達にもジャンプ機能を付けてあげることは出来る?」
「それはどんな時に使う為ですか?」
「例えば、ドームシティーからアニマルドームまで、好きな時に行き来出来れば、いつでも山に来れると思ったの」
「はい、それならジャンプミラーがあります。例えばこのドームシティーの木の根元にジャンプミラーを置いて、対にになるジャンプミラーをアニマルドームのどこかに置けば、そのミラー同士がつながっているので、時間を掛けずに行き来できるようになります」
「へーっ、そんな便利なものがあったんだ。それって人間も使えるの?」
「はい、人が通れるぐらいの大きなジャンプミラーもあります。ただ行き来できるのは、かなえが登録した人や動物だけです」
ふーんそうか。それなら、動物ギルドと、アニマルドームのお爺さんの家辺りにミラーを置いておけば、みんな好きな時に学校に行ったり、買い物したり出来るんだ。
それに、毎回かなえが送り迎えしなくていいのは、正直助かるな……。
かなえはジャンプで動物ギルドに移動すると、早速ジャンプミラーを設置する事にする。
うーん、何処に設置しようかな……目立たない様に、奥の部屋にしよう。
かなえは奥の向かって右側の部屋に入って行くと、大きな扉位のサイズのミラーを取り出し、壁に取り付ける。そして、シロンに教わりながら、リリララ姉妹と、お爺さんを登録しておく。
そう言えば書類上、お爺さんはこの動物ギルドに住んで居るんだった……。
なので、この部屋に小さなベットと机に椅子も設置しておく。
後で動物ギルドの鍵も渡しておこう。
次に2階の自分の部屋に移動すると窓に近い壁に一番小さいサイズの丸いジャンプミラーを取り付ける。見た目は直径20センチぐらいのフレームが付いた可愛らしい鏡だ。リトくんとピーちゃんを登録する。
今度はアニマルドームのお爺さんと、リリララ姉妹の家の間にジャンプして来ると、地図を出して扉の無い小屋を設置する。
そうして、ミラーの対になっている大きな扉のサイズのミラーを壁に取り付け、リトくん達用の小さなミラーも隣に設置する。
これでもう使用できるはずなんだけど、早く試して欲しいな……。
「シロン、リトくん達はどこにいるの?」
「今はピーちゃんと一緒にオクタゴンの前の貯水池の木にとまっています」
ああ、あそこね。リトくんがたまに居るところだ。
かなえはジャンプで移動して行くと、あ、いたいた。
「リトくん、ピーちゃん!」
2羽並んで仲良く木の枝にとまっていたが、かなえの声に気が付き、すぐ下まで降りて来て、柵の所にとまる。
『カナカナ、なに?』
フフッ……さっき会ったばかりなのにどうしたの? って言いたそう。
「あのね、便利なものが出来たからリトくん達に来て欲しいの。いい?」
『うーん、ピーちゃんいい?』
『うん、べんり知りたい』と、ピーちゃん。
「そう、良かった。じゃー、ジャンプするね」と、かなえは動物ギルドの自分の部屋にリトくん達と移動して来る。
「はい、お待たせー。この部屋にある便利なものはなんでしょう? 探してみてくれる?」
『エーッ、何? ピーちゃんわかる?』
『あたし、わからない……』と、リトくんもピーちゃんも、わからないようで困っている。
あんまり焦らすと可哀想ね。
「はい、正解はこのミラーです。ジャンプミラーて言うんだけど、とても便利なのよ。ちょっと近づいて見てくれる?」
『うん、いいよー』とリトくんがミラーに近づいたかと思うと、スッとリトくんがその場で消える。
『あーっ、リトくんは?』と、ピーちゃんが心配そうにかなえに聞く。
「ピーちゃん、安心して。ピーちゃんもミラーに近づいてみて? リトくんの居る所に行けるよ」
『うん』と、ピーちゃんはミラーに近づいて行くと、サッと吸い込まれるように居なくなった。
かなえもアニマルドームのリトくん達の所へ移動して行くと、
『あーっ、ピーちゃん』と、ピーちゃんを見つけたリトくんが喜んでいる。
「驚いたよね。このミラーに近づくと今度は私の部屋に行けるのよ。だから、これを利用すると、リトくんとピーちゃんはいつでも好きな時に、山に行けるしお家に帰れるのよ。わかったかな?」
『うーんと……このかがみ山に行けるし、おうちにかえれるの?』とリトくん。
「そうよ。だから便利になったの」
『ふーん、そうかー。ピーちゃんやまいこ―』と、リトくんはわかったのかまだ怪しいが、山に向かってピーちゃんと飛んで行った。
「かなえ、もうリリララ姉妹のクラスが終わる時間です」
そう、それならもう行かなきゃ。
かなえはジャンプでオクタゴンの学校へ移動して行く。




