081 アニマルドームのリキ
「はーい、着いたよー」
かなえはリリララ姉妹の家の前に移動して来る。
「あなた達、また夕ご飯の時間になったらお爺さんの家ね」
「ハーイ!」「わかりましたー」
二人は元気に家の中に入って行く。
「それじゃー、この島でのリキさんの小屋を作りましょうね」
『ちょっと、待ってくれ。ここはどこだ?』
「あーそうでした。ここは、アニマルドームと言うドームシティーから一番離れているドームです。それで、今ここには、ジャンプという機能を使って移動して来ました」
『何だかよくわからん。そんなに離れているのに、なんですぐに移動出来たんだ?』
「うーん……私も仕組みは良くわからないんです。わかっているのは、動物達を助けるために、この機能を使わせてもらっている事ですね」
『不思議だが、便利な機能だな』
「はい、とても助かっています。いろいろ不思議な事がありますが、少しづつ慣れて行ってくださいね」
『……』
「それでは早速ですが、リキさんのこの島で住む所を作りますね」
かなえは地図を出すと、もともとマリーと子猫達の小屋があった場所に、新しくリキさんの小屋を設置して、中に寝心地の良い大きなクッションを置く。
「じゃー出来たので移動しますね」
一瞬で新しい小屋の前に着くと、
「はい、ここがリキさんの小屋です。どうぞ入って下さい」
『なんだかよくわからん事だらけだ……』
リキさんはそう言うと、小屋の中に入り匂いを嗅いで確認し始める。
かなえは小屋の外に、リキさん用のプロの実の木を幾つも設置しておく。
「リキさん、ここにプロの実が生っていますから、お腹が空いたら食べて下さいね」
『おっ? なんだかいい匂いがすると思ったら……』
リキさんは小屋の外に出ると、プロの実を見つけ食べ始める。
『こいつはうまいな。新鮮で歯ごたえも良い』
リキさん、気に入ってくれたみたいで良かった。
「お水は、そこの湖できれいな水が飲めますからどーぞ」
『おお、そうかわかった』
リキさんはお腹が空いていたのか、ムシャムシャとプロの実を食べている。
「リキさん、ここの動物達に紹介しますからそろそろ行きましょうか?」
『ああ、いいぞ』
「シロン、マリーはどうしてる?」
『3合目の温泉に居ます』
「そう、なら丁度いいな。リキさん、それじゃー温泉にマリーが居るみたいなのでお連れしますね」
リキさんはまだ食べたそうだったか、後でまた食べてもらう事にしてマリーの居る3合目の温泉にジャンプで移動する。
「マリー、急にごめんね。ちょっと紹介したい犬が居るのよ」
マリーはトンネルシャワーを、気持ち良さそうに浴びている所だった。
『へーっ、ここに他の犬が来るのは初めてねー』と、マリーは大型犬の白い毛がフサフサしているリキさんに目をやる。
「この犬はリキさんよ。足を怪我しているから治るまで暫らくここで暮らすことになったの。宜しくねマリー」
『いいけどー』
『よろしく頼むよ。あんたには会ったことは無さそうだな』
『そうね。あたしはあまり外に出て居なかったから……』
「キングス達にも紹介したいから、移動するけどマリーも一緒に来る?」
『いいわよ。あたしも一緒に行くわ』
「リキさん、この温泉は山の中に造ったんですけど、山の上にもあるので今から移動しますね」
かなえはそう言うと、マリーとリキさんを連れて、まず山の頂上にジャンプする。
『わぁー、何だここは。随分と高いところだなー!』
『そうでしょ! あたしも初めて来たときは驚いたわ』
リキさんは興味深そうに頂上からの景色を眺めていたが、
「リキさん、それでは温泉に移動しますね。上からも眺めが良いですから……」
「じゃー、行きまーす」
雲の温泉に移動すると、ジジさんババさん、クイーンはもう寝入っていて、キングスがかろうじて目を開けている状態だった。
「あー、もうみんな寝ているんだー。キングス、寝る前に紹介したい犬を連れて来たから起きて!」
『おお、なんだかなえか。あーその白い犬か。宜しくな、ここはいいところだぞ……』
「ああー、キングス、目を閉じちゃったー。ごめんなさいね。リキさん。みんなには、また明日にでも紹介するね」
『ははっ、気にするな。それより、この温泉はなんだ! 雲の上に浮いているのか?』
「まぁーそうですね。ここの温泉は眺めも良いので、このドームでも一番お勧めなんですよ」
『あたしはここで温泉に入って行くわ。リキもどう?』
『わしはさっき入ったが、少しぐらいいいだろう……』
リキさんも、マリーの様にトンネルシャワーに入って行く。
「かなえ、リキに階段機能とエスカ機能を付けた方がいいでしょう」と、シロン。
「あっ、そうね。じゃージジさんと同じのにしてくれる?」
「はいわかりました」
「マリー、リキさんにも階段機能とジジさん達と同じエスカ機能も付けたから、説明してあげてくれる? 私はまた後で迎えに来るから」
『いいわよ。あたしに任せて』
「じゃー、ジジさん、マリーからここでの暮らし方を聞いて下さいね。また後で来ます」
『ああ、済まないな』
かなえは雲の温泉にウオッシュを掛けると、頂上の周辺と、3合目、1合目の温泉にウオッシュを掛けて行く。
あとは……子猫の小屋ね。
かなえは新しく作った子猫達の小屋へ、ジャンプで移動して来る。
あら? 子猫達はどこだろう……。
「シロン、子猫達はどうしてる?」
「はい、お爺さんの家の居間で、リリララ姉妹とお爺さんと一緒にいます」
フフッ、それならマリーがゆっくり温泉に入っていても安心ね。
かなえは隣まで歩いて行くと、扉を開けて入って行く。
「皆さんお揃いですね」
『あー、カナカナ』と子猫達も反応する。
今日はどこで夕ご飯を食べようか……そうだ! お爺さんも快復して来ているし山の頂上にしよう!
「皆さん、今日の夕食は何時もと違った所で食べましょう。準備は良いですか?」
「ハーイ」とリリちゃん。
「わしもいつでもいいぞ」とお爺さん。
「猫ちゃんは?」とララちゃんに聞かれる。
うーん子猫達はどうしよう。ケージで連れて行けばいいかな。
「それなら、子猫達も一緒に行こうか。みんな、お出掛けするから入ってー」
かなえはケージを取り出すと、子猫達が次々と中に入って行く。
「じゃー、出発しまーす」
かなえは皆を連れて山の頂上へ移動してい行く。
「わぁー!」
「凄ーい!」
「どこだここは!」
みんな、頂上からの眺めに驚いている。
かなえは頂上に子猫達用の柵を張り巡らせると、ケージを開ける。
『ワァー』
『タカーイ』
『すごいねー』
子猫達も感想は人間と変わらないようだ。
「かなえ、もうすぐリトくん達の帰る時間です」
「あっ、そうだ。今日はリトくん達も一緒だったね。今、どの辺に居るの?」
「9合目の山の斜面の木にとまっています。呼べば聞こえるかもしれません」
ふーん、そうか。
かなえは頂上の端の方まで移動すると、
「リトくーん、ピーちゃん」と大きな声で呼ぶ。
すると、少し間をおいて、2羽の小鳥が飛んで来てかなえの横の木にとまる。
『カナカナ、なに?』とリトくん。
「リトくんと、ピーちゃん、もう帰る時間でしょ? その前に皆を紹介するね。この人はマリーのお爺さんよ。隣のリリちゃん、ララちゃんとはもう会っているわね」
『うん、マリーのおじーさん、ぼくリトだよ』
『あたしはピーちゃんよ』
人には普通に鳥が鳴いているようにしか聞こえないようなので、
「お爺さん、リトくんとピーちゃんが、挨拶しています」
「オー、そうかい。宜しくなリトくんとピーちゃん」
「それから、大きな白い犬も今日からいるんだけど、また紹介は今度ね」
『うん、わかったー』
『ハーイ』
「皆さん、ちょっとリトくん達を送って来るので待っていてくださいね」
かなえは、2羽を肩にとまらせると部屋に戻って来る。
そして、窓の隙間から飛び立って行くリトくん達を見送る。
「また明日ねー」
すぐにみんなのいる、山の頂上に戻ると、
「お待たせ―、じゃー食事を出すね」
かなえはもう誤魔化すのが面倒なので、ポーチから直接テーブルの上に、料理を並べて行く。
今日はイタ飯屋がいいかな。
かなえがみんなに選んだのはチーズクリームリゾットと野菜のハーブソテーにグリーンサラダ、デザートはかぼちゃパイ。
飲み物はお爺さんにはハーブティーでリリララ姉妹とかなえにはアイスアップルティーを選んだ。
何も無いところから料理が次々と出て来たのを目にした、リリララ姉妹とお爺さんは、目を丸くしている。
「ワー、手品だー!」と、ララちゃん。
「かなえさん、この料理はどこから来たんですか?」と、リリちゃん。
「やっぱり、夢を見ているのだろうな」と、お爺さん。
「驚かしてごめんなさい。でも、これも私が使える機能の一つなの。料理はちゃんと買った物なんだけど、それをしまう場所があるのよ。目の見えない大きなカバンを持っていると思ってくれればいいわ」
「でもなんで、出来立てなんですか?」
「この透明な大きなカバンの中は時間の経過が無いの。だから温かい料理をカバンの中にしまったら、時間が経ってから出しても、出来立てのままなの」
「私、良くわかりません」と、リリちゃん。
うまく説明できないな……。
「とりあえず、お腹も空いてるし、冷める前に食べましょう!」
「ララ食べる―!」と、ララちゃん。
それを合図に、みんなも食べ始める。
子猫達にもお皿に離乳食を入れてあげる。
「だから、かなえさんの届けてくれる料理はいつも温かかったんですね……」
「うん、そうよ。黙っていてごめんね」
「いえ、いつも美味しい食事を食べさせてもらえて助かっています」とリリちゃん。
ララちゃんと、お爺さんは嬉しそうに料理を食べている。
「お爺さん、体調はどうですか? もしもっと消化の良い食事が良ければお粥もありますが」
「いや、私はこのチーズのリゾットが好物でな。とてもおいしいよ」と、お爺さん。
「そうですか。良かったです。この料理はイタ飯屋のなんです。とても人気があって、いつも行列が出来ているんですよ。
「そうか、イタ飯屋か。私も確か大分前に1度だけ行った事があるが、旨かったな」
お爺さんは、昔を思い出しながら遠くを見つめている。
「ララ、サラダもちゃんと食べなよ」とリリちゃん。
「うーん……」と、ララちゃんは気が進まなそうだ。
山の頂上から見える空は夕日からだんだん薄紫に変わって行く。
かなえは先程ギルド室長に聞いた学校の話をすることにした。
「……だから、オクタゴンでお絵描き教室もお料理教室もあるみたいなの。明日にでも見学に行ってみる?」
「うん、ララお絵かき教室に行きたーい」と、ララちゃん。
「はい、私も見学に行きたいです」と、リリちゃん。
「お爺さんは、明日何かしたい事はありますか?」
「そうだな……ちょっと瀬戸物の材料を手に入れて来ようかの」
「わかりました。明日10時頃迎えに来ますね。リリちゃん達もお爺さんの家に来てくださいね」
みんな一緒の食事で会話も弾み、沢山あった料理も全て無くなった。
子猫達は食事の後も暫らく遊んでいたが、今は眠たそうにしている。
かなえはケージを出すと、
「みんなー、お家に帰るからケージに入ってー」と言うと、
『ハーイ』『ぼくねむい』『おうち帰るー』と、トコトコとケージに入って来る。
食べた後も片付けると、ジャンプでお爺さんの家まで移動する。
「じゃー、また明日」
「おやすみ。かなえさん」と、お爺さんが家の中に入って行き、
「かなえさん、お休みなさい」と、リリちゃんがララちゃんを連れて、隣の家に戻って行く。
かなえは隣の小屋に歩いて行くと、ケージから眠り始めた子猫達をクッションに乗せて行く。
「はーい、もう寝ていいよー」と、かなえは目を開けた子猫の頭を撫でて眠りに就かせる。
さー、次はジジさん達ね。
かなえは雲の温泉に移動すると、グッスリ眠っている動物達にウオッシュを掛けて乾かすと、順番に移動させて行く。
リキさんと、マリーも良く眠っている。かなえは最後の2頭もそれぞれの小屋へ連れて行く。
眠っているリキさんの足に、薬を塗り込むと、
「はぁー、これで今日の仕事は終わりね」と、ひと息付いて自分の部屋へ帰って行く。
ドームシティーのこの辺は、日が沈むとたまに通る馬車の音が聞こえるぐらいでとても静かだ。
かなえは、寝る支度をするとベットに入る。
今日も色々あったなー。
かなえは今日1日で起こったことを振り返る。
お爺さんは、大分体調が良くなって来ているな。
リリララ姉妹は、アニマルドームでの暮らしにも慣れて来たようだし。
リキさんも、ゆっくり休んで足が治るといいいな。
あっ、ルークス達の事を忘れてたけど、シロンが何も言わないから大丈夫なんだろう……。
かなえは灯りを消すと、眠りに就いた。
――――――――――――――――
ポイント
プラス 1000 体力気力快復飴、老人用
マイナス 8万 食事調達 4人分
7200 お菓子3箱
残り 214万2900
パワー 497
――――――――――――――――
家具代立て替え 8万 返金済み
――――――――――――――――
給料30日目 牧場の従業員見習い 15万
動物ギルド長 20万ー6万(リリララ姉妹の残業代)=14万
アニマルドーム管理人 30万 6日後に入金予定




